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カワベ君とオカザキさん

カワベ突っ伏して寝てる
カワ「、、、。あれ?ココどこ?俺死んだ?」

「カワベよ、自らの罪を述べよ」

カワ「うぉおおお!声だけがどこかから!?閻魔さま!?ごめんなさい!そうかココ地獄か!ごめんなさい!母ちゃんの弁当が不味いとかケチつけて弁当箱投げつけた件については謝りますぅううう!!」

オカ「何寝ぼけてんのよ、私が閻魔でたまるか。ていうか人生の最後に謝る事それでいいの?ていうかまぁまぁ酷いわね、お母ちゃんに直接謝りなさい。」

カワ「んだよぉーオカザキさんかぁ。」

オカ「少しはスッキリした?さ、続きやるわよ。」

カワ「わ!何これ!さっきから一ミリも進んでない、一ミリも!地獄の方がよほどマシ!死にたい!」

オカ「寝てる間にコビトがやってくれるアレは、もはやリミッターが壊れて潜在意識化の何かが自動操縦でやってしまうくらいの領域に達した人の見る幻想であり、あなたにはまだ早い」

カワ「なにそれぇ、もー、もー、嫌だぁ」

オカ「つべこべ言ってないでテキパキやる、モチベーションが上がらない時は単純作業から。引用文献の付箋部を書き落としたりとか。小さい事やるのに飽きたんだったら全体の構成を図にして見直してみるとかすると気分転換になるよ。」

カワ「はぁい。オカザキさん鬼だなぁ。」

オカ「何言ってんのよ!誰がこんな事頼んだの!?」

二人回想シーンに入るっぽい怪しいモーション

カワ「もー、ダメです。僕死のうと思います。」

オカ「何物騒なこと言ってんの!生きて!生きてよ!」

カワ「お金はないし今週もバイト休めないし卒論終わらないし就職決まらないし彼女もいないしもう卒業出来ないんです!死にます!」

オカ「この時期にシフト入れた私も悪かったけど、お金ないって言うし仕方ないじゃない」

カワ「そうだ!シフトを入れたオカザキさんが悪い!卒論手伝って!」

オカ「えぇええっ!」

怪しいモーションで回想から帰ってくる

カワ「あ、俺か」

オカ「君だよ」

カワ「すんません」

オカ「私大学も出てないからこんなんやり方わからないのに、、、もぅー」

カワ「やー実際助かってます!ありがとございます!オカザキさん様様です!」

オカ「いつまでたっても「さん」付けなのねぇ、同い年なのに」

カワ「バイトリーダーっすから」

オカ「ま、いいけどさ。さ、早く手をつけて!」

カワ「んーやる気がねぇ、、、。オカザキさんなんか気晴らしに面白い話でもしてよ!」

オカ「散々ファミレスで寝たあげく起きてそれなの?本当にやる気ある?」

カワ「あるからお話して」

オカ「寝ぐずりのお子様ですか?じゃあ手を動かしながらですよ! 私の生まれは北海道なのは知ってたよね。こっちじゃ梅雨時期でムシムシしてる時期に、札幌じゃライラックの花が満開でね。」

カワ「ライラック?」

オカ「あれ?知らないか」

カワ「そもそも花の名前をよく知らない」

オカ「そっかー、ほらこの花」

スマホを出して検索してみせる

オカ「リラの花とも言ってね。とってもいい香りがするんだよ。スマホじゃ香りが届かないねぇ。」

カワ「なんか、よくわからないんだけど、不穏な気持ちになった、、、」

オカ「え?なんで?」

カワ「なにか、を?誰か、を?おもい、出して、る?その?感じがなんか?でも?それを?俺が?聞いちゃ?いけない?そんな?何か?」

オカ「なんだ、めんどくさいな。カワベ君が聞いちゃいけなきゃ誰が聞いて良いのよ?」

カワ「…。」
カワベ手元で作業をしているようなしていないようなクチャクチャと紙をいじって拗ねている

オカ「ちなみにね、そのライラック、英国では悲しい伝説があってね。

ある貴族に見初められた田舎娘がいて、戸惑ってはいたんだけど貴族の方もしつこいもんだからそれを受け入れて恋仲に。ところがこの貴族、町に帰ったら帰ったで派手な娘にまた目移りして田舎の娘を捨てちゃうんだねー。一途な娘は傷心のあまり死んでしまう。娘をかわいそうに思った村の娘が彼女の墓に紫のライラックを供えたら翌日には白く色が変わってたという。」

カワ「なにそれこわい!伝説っていうか怪談じゃね?」

オカ「恋の恨みは深いものですよ。ふふふ。はい、話したわよ。終わった?」

カワ「終わりはしないけど少し目が覚めて来ました!よし一気にやってしまおう!」

オカ「お、やっとその気になったか。珈琲のお代わりでも淹れてくるね」
オカザキその場からいなくなる

カワベそれを見送ってぽつりと
カワ「閻魔様、僕の本当の罪は、彼女に愛してると、言えないことです」

※カワベ君とオカザキさんは焼き肉店の仕事仲間。ちょっと後のお話になりますがまた登場いたします。カワベ君が「愛してる」と言えない理由とは…

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