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花の咲くところ

ケーちゃん-荒川沿いホームレス
ミッちゃん-隅田川沿いホームレス
タカちゃん-警官
ヨコさん-先輩警官

桜が満開の公園

桜の下を幼稚園児や、少し体に見合わない大きめの制服を着た学生たちが戯れながら通り過ぎる

画面には男の後頭部が二つ

ミッちゃん「なぁ、俺たちにもあんな頃があったんだなぁ」

ケーちゃん「え、お前あったの?俺ないよ!?え、ある?あんなもの」

ミッちゃん「あんなものってお前、、、」

ケーちゃん画面奥に動き出す
全身が映るとボロの作業着で無精髭
ホームレスのてい

ミッちゃん「おい!ケーちゃんやめときな!生水は良くないよ!あんま飲み過ぎない方がいいって!」

ケーちゃん「んなこと言ったってここならタダじゃん、水、水道から出てんだから大丈夫だ」

ペットボトルの空いたものに公園の水道水を詰めてる

ミッちゃん「や、そうだけど。わかるけど。生水良いことないぞ!」

自転車に乗った警官が通りかかる

タカちゃん「お、お二人さん今日はお揃いだね」

ケーちゃん「お、タカちゃん!」

タカちゃん「気安く呼ぶなよ」

ミッちゃん「そうだぞケーちゃん、敬意を持ってポリ公と呼べ」

タカちゃん「ひどいなお前ら」

ケーちゃん、ミッちゃん「長い付き合いじゃねぇかよ」

タカ「それよりお前らそろそろ河岸(かし)変えてみたらどうだい」

ケーちゃん「??俺が隅田川沿い行って、ミッちゃんが荒川沿い行けば良い?」

タカ「???、、、あ、そっか、二人とも川沿いにいるから河岸の意味が違う。なんだよ、ややっこしいなぁ。その意味じゃなくてココで空き缶やゴミ集めたりベンチにいるのやめてみたらどうだってそういう話だよ」

ミッちゃん「嫌だよそんなもん、俺たち何にも悪いことしてねぇよ?」

タカ「ゴミとして出されてるものはそこそこの自治体のものだ、だから本来はお前らは持ってっちゃいかんのだ。それにね、この辺の住人も気味悪がったりしてるし、お前らもバツが悪いだろう」

ミッちゃん「いや、そんな事もないよ?ヒライズミさんなんか、いてくれると防犯になって良いよいつも助かるよ、くらいの事は言ってくれてちょっとしたツマミくらい持ってきてくれるよ?」

ケーちゃん「おぉ、それに水もタダだしな」

ミッちゃん「だから、生水やめとけってんだよ!」

タカ「や、そりゃヒライズミさんはここ古いから君らの事も知ってるけど、新興住宅も増えてきたし新しい人からの相談件数が、その、、、ちょいと増えてるんだよ」

ケーちゃん「ともかく、我ら善良な小市民はここにいる権利がちゃんとある。公園はみんなのものだし。水道で身体もちゃんと洗ってるから衛生的でもある。後ろ指を指される覚えはない!」

ミッちゃん「そうだ!」

もう一人の警官が自転車で通りかかる

ミッちゃん「そこいくおまわりさん!おまわりさんが弱者をいじめるんです!現代社会にあってこんな事でいいのですか!」

ヨコさん「おい、タカ。お前またこんな所でコイツらと戯れてんのか!さっきの書類片付けたのか?」

タカ「せんぱーい、、、そんなこと言っても、、、」

ケーちゃん「お!ミッちゃん!そろそろ上野行かないと今日は稼ぎどきだよー!?稼がないまでもちょいとゴチになれるからね。出来るだけ小ぎれいにしてまいりましょ」
ツバで頭をなで付ける

ミッちゃん「ほんとだ、もうこんな時間、すっかり出遅れてるよ!」

ケーちゃん、ミッちゃん「いざ、出陣!」

ホームレス二人自分達のボロ自転車で走り去る

ヨコさん「おい!ちょっと!君たち!」

タカ「あー、行っちゃった」

ヨコさん「おい、タカ、あいつらの自転車ちゃんとチェックしたか?」

タカ「あっ!」

ヨコさん「あ、じゃないんだよ。あいつらの理屈じゃ打ち捨てられてる自転車でも持ち主がいる事もある。片隅で生きるホームレスを重大な犯罪者にしない為にも、見るとこはちゃんと見なくちゃいけないぞ。人ってのは小さな綻びから気がつかないうちに転落する。」

タカ「あの二人はもう転落した方じゃないんですかね。」

ヨコさん「タカよ。人の奈落、ほんとの底はもっと、恐ろしく、深いよ。あいつらはその最後のキワで綱渡りの曲芸師やってるんだ。」

タカ「そんなもんすかね」

ヨコさん「そんなもんだよ」

隅田川沿い
ボロ自転車二台が並んで走ってる
ミッちゃんとケーちゃんの楽しそうな顔

公園
ヨコさん「俺たちだって、いつ何があるかわからない他人事じゃないかもしれないぞ」

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