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あたおか散文

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流れ落ちるままに生み落とした「あたおか」な散文たち
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2020年7月の記事一覧

例の広場

ひゅうひゅうどろろ

ひゅうどろろ

まっ黒頭巾で隠れんぼ

どこにいるのかみつけてごらん

ラムネの笛で呼び出して

完膚なきまでにやりこめる

今日のところは許してやらぁ!

本当は僕が強いんだ!

土管の向こうで呼んだのは昨日の僕かな明日の君かな

どんどんがらりと山がなる

懺悔

てれつくてれつくてんてんてん

カエルの王様連れてきて

遠くの町まで行きました

甘露な水と引き換えに

てれつく

種を撒きました

瀟洒な家のお庭から

光の花が咲くでしょう

てんてれてんてん

蓮の上

緋色の雨粒降るとやら

てんてんてれつくてんてんてん

赤く香る山

五臓六腑が犬の餌

浜に上がった熊の背に

ちゃんこいの乗せながら

あの子山さ帰ったって?

いやいやどうも第三コーナーを回ったところだってよ

そうかぁ、じゃ今年はあんまりキビが採れんね

そうでもないさ、買い付けはうまくいったらしいから

そっかいじゃあ二遊間が楽しみだ

3回まわって甘いは美味い

揚げパン3個くださいな

兄さんの肩越しに放り投げた缶カラが

ちぃの頭を越えてった

遠く遠くの海越えて

異国の言葉を話したってさ

またあいつの事だから

今頃巾着切りでもやってんだろ

なんもなんもだ

はぁプルメリアの香りだね

オセロと切り札

メメントモリと蜥蜴が叫んで

セミの羽まで輝いて

白くて白くて寂しくて

浅間台まで乗せてください

そんなに急いじゃいないんです

あぁ長すぎる長すぎる

息も白けりゃ歯も白い

目の黒いうちとばあばの言いやる

終わりはどこだ

どこまでだ

茫漠たる前身頃

もぞもぞと服の中で恥じらう疲労

弾けて飛んだら肝臓の裏にいたアゲハチョウが踊る

ヒラヒラと舞って扇子の先にとまる花びら

あの日君とみたのはあの花だった?

もう少しで海開きだって

明滅する灯台の明かりに照らされて

十月十日の夢を見る

自滅衝動

ねぇ兄さん一杯飲んで行かないかい?

お安くしとくよこの子犬

キャンと言ったらあんたのもんだ

お好きな名前をつけてお飾り

可愛いリボンをつけてお飾り

どうなとしても構いません

さぁ持っていらっしゃいあなたの子犬

あなたの秘密を暴いて溶かす

可愛い子犬はいらんかえ

沈む鬼灯

さんさんと降る雨に

しっとりと濡れる招き猫

いつからそこにおいでだい

誰も来やしないこんな夜更けの商店街

割れたネオンがジリリと鳴って

パチンと弾けた明日への希望

落とした簪が川に流れていったってねぇ

あんた忘れてしまうのがそんなに怖いのかい

夜の裂け目

夜会巻き

髪を束ねて紅を引く

季節外れのボロのセーター

ギュッと大事に握りしめ

これが最後と腹に決め

もうもうこれで会わないよ

捨ててやるのさ虹の果て

愛に終わりはなけれども

見果てぬ夢に果てはある

そら、この手を開くだけ

そら、この指開くだけ

そうすりゃ

錆びた扉を開けゴマ

ソドムとゴモラの果ての果て

金字塔を打ち立てた野球選手

夏休みを待つ白い子犬

風の吹きやる誰も来ない洞窟

今だけ耳を貸してご覧

聞いてみたかろ本当の事を

あの子の隠した小箱の意味を

虎希

待ってたんですよ

あなたがそこから出てくるって仰るから

ずっと

この屏風の前で

待ってたんですよ

そこから出てきて私を噛み殺してくれるのを

ずっとね

今じゃあすっかり年老いて

私じゃ食べるところもなくなってしまいましてよ

ねぇそろそろ

私がそちらへ参りましょう

回転舞踊

ヒンメリの糸クルクルと

回転軸がずれていく

わたしとあなたの区別がつかぬ

右と下半身の区別がつかぬ

足と乳房の区別がつかぬ

溶けて溢れて忘れて混ぜて

も一度踊って見つけましょう

この天国にも出口はあるの

そもそも出なくちゃいけないの?

意気衝天

がめついきゅうりが西向いてわぁらった 

あははの声に応えて猪が走り出す

突き当たりの店で大人の絵本の最新刊が出たってさ
  
バッタが肩を狙ってエイやと跳ねれば

すんでのところでみよちゃんの下駄の鼻緒が切れたとさ 

あぁこの空の向こうに龍が飛ぶ

割れた舌の先に目をやって

‪うっかりと愛してるなんぞ言ってしまったばっかりに‬、ゴルゴンゾーラの卒業式を見送る羽目になってね‬

‪おや、旦那なんだってそんな事言ってしまったんです、近頃じゃ乃木希典だってそんなこと言いませんや‬

‪やぁ、本当にそうだ

しかしなんとも身長測定で鼻緒が切れてるのは哀れじゃないか‬

‪なるほどそれが旦那がモテる‬理由ってやつですな

からかわないでくれ、これで穴だらけの傘を用意するぐらいに

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