ライフシフトする体育会的平等論
みんな死に物狂いで全力でやりきれ!
辛いのはみんな一緒!
タスクはみんな同じだけやれ!
この感覚に変化があったので、書き留めたいと思います。
20代前半、体育会精神
私は大学時代、ゴリゴリの体育会系で、朝から晩までほぼ毎日、部活動ばかりしていました。
体力の限界まで追い込まれることもありましたが、それが体育会でした。
また、部活動の忙しさの原因は、練習活動だけではなく、その練習活動を支えるための事務作業もかなり多かったです。事務作業のための打ち合わせが何度もあり、打ち合わせには必ず参加が求められました。
事務作業は、誰でもできる簡単なタスクばかりでしたが、正直、面倒でやりたくないのは、みんな同じで、それに取り組むモチベーションには差がありました。
そして、モチベーションの高さからタスクに取り組む熱量の程度はまちまちで、不平不満は溜まっていきました。
あの子はやっている。
あの子はやってない。
愚痴や陰口が増えると、部の雰囲気は悪くなりました。
部の雰囲気を悪くしたくなかったら、
タスクを平等にやるしかない。
その頃から、平和のためには、「タスクは平等に割り振られるべき!」みたいな強迫観念が根付きました。
そして、みんな、やってる感を出す。
当時は、生産性という言葉も知りませんでした。
20代後半の体育会の仲間
ところが、この感覚は、20代後半から変化してきました。
それぞれがそれぞれのタイミングで結婚や出産を経て、ライフスタイルが変わっていったのです。
わかりやすい形で表に出てくるのは、結婚式の余興の準備。まるで部活動の事務作業タスクのように、みんなが思いやり、タスクを平等に負担しようとするのですが、子どもがいる人の負担は暗黙の了解で免除される。居住地が変わって遠方にいると、打ち合わせに行けず負担は免除される。
それがなんとなくの常識でした。
しかし、コロナがこの常識を覆えしました。
30代の体育会の仲間
30代に入ると私の体育会同期は全員結婚しました。私も結婚し、子どもができました。
妊娠中の人、子育て中の人、結婚式が終わった人、結婚式が終わってない人、ライフステージの多様化が一気に加速しました。
そして、最近、同期の結婚式の余興の準備が必要に迫られたのですが、どうも様子がおかしい。
コロナの影響もあり、余興の内容は、体を張った出し物ではなく、動画。
打ち合わせは、リアルではなく、オンライン。
コロナ前は、リアルで集まれる人が集まって打ち合わせをしていれば、それでよかったのに、
コロナ後は、オンラインで集まろうと思ったら全員集まれるようになりました。
ライフスタイルやライフステージの変化を問わず、参加できない言い訳の余地はなくなったのです。
オンライン会議の出欠
そして、一番違和感を感じたのは、オンライン会議の出欠調整の回答でした。
私は育休中に子連れMBAの運営ボランティアをしていたので、オンライン会議なら子連れでも参加できるのが当たり前。
22時以降にしてもらえればら子どもを寝かしつけて参加できると知っていました。
結婚式の余興の準備は、少し面倒ですが、仲間のためを思いやり、みんなで平等に協力するのが正義。参加はほぼ強制だと認識してました。
しかし、あれだけ部活動では、正当な理由のない限り、欠席は認められず、タスクの平等を強いてきた関係だったのに、
子どもがいる同期が、
「いつでも大丈夫!遅刻するかもしれないけど」
「いつでも大丈夫!急遽、不参加になったらごめんね」
と回答していました。
正直、ビックリしました。
子どもがいても、いなくても、忙しくて大変なのはみんな同じ。
だれもが遅刻や欠席しないですむように日程調整しているのに、子どもがいる人は、はじめから遅刻や不参加を前提に自分の出欠を回答している。
しかも、いつでもいいと。
やる気や責任感は感じられない。
ただの楽しいオンライン飲み会ならそれでいいと思うのだが、結婚式の余興の準備というタスクのために集まるのなら、体育会精神的には、全員参加が前提で、やむを得ない事情がある人だけが不参加を認められるのではなかったのか?
だから、どうやったら全員参加できるか考えて調整するのではないのか?
自分が参加しなければ、その分、誰かに負担がいく。
子どもがいる人がみんな遅刻や欠席をすれば、子どものいない人に負担が偏る。
そういうのが、大嫌いな価値観の集団だと思っていたのに、みんな変わってしまったのか。
ものすごく衝撃を受けました。
人間関係のあり方や信頼関係の築き方を教えてくれた体育会。
当時の人間関係はそのままでも、
これからのあり方や信頼関係の築き方は、変わっていくのかもしれない。
部活は社会の縮図
今回の一連の経験は、小さな一歩先の未来を見せてもらった気分でした。
リアルでとにかく頑張る時代は終わった。
リアルとオンラインを組み合わせて、賢く成果を出せる時代。
今後の仕事を考えると、
オンラインで働きやすくなったとはいえ、見えない在宅サービス残業が増えていくのが怖い。
目に見えたサービス残業の方がまだマシだ。
会社のオンライン飲み会は、ワーママが家から参加できるようになるが、ワーママが断りたい時に逆に断りにくくなる。
オンラインだけど、無理せず断われる
これも大事なマインドでありスキルだと感じました。
私は、子どもを理由にオンライン会議に参加できない可能性を示唆する仲間を非難したくなりましたがきっと非難してはいけない。
もっと、柔軟に、フラットに、
やりたいことをやれる。
やりたくないことはやらなくていい。
参加したいことに参加する。
参加したくないことは参加しなくていい。
苦手な事は得意な人がカバーする。
得意なことがない人も受容される。
そんな環境をオンラインでも作っていかなければならない。
リアルとオンラインが心地よく共存する時代を作っていかなければならない。
大学時代の同期から、そう学びました。
どうやら、私が追い残されているみたいです。
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