心からの「卒業おめでとう」を言いたい

クリスマスも終わりいよいよ年末の空気が漂ってきた。

あと2日で2020年。今年もあっという間だったな。

年も開けるとあっという間に3月。年度末がやってくる。


今年を振り返ると思い出す。3月、私は複雑な思いを抱えていた。

3月、大学を卒業した時点でまだ4月からどうやって自分の生活費を稼いでいくか決まっていなかった。私立大に4年通わせてもらい、一人暮らしの家賃も出してもらい、想像も追いつかないような金額を親に出してもらったにも関わらず、大企業に就職するでもなく、安定した道を選ぶでもなく、自分がやりたいことを選択したことを、決断したにも関わらず悩んでいた。親はお金のことは全く言わず「自分がその決断に納得しているのかどうか」「本当にやりたいことなのか」しか問うてこなかったけれど、それがむしろしんどかった。周りの人に「卒業おめでとう」と言われてもピンと来ず、卒業式も当日まであまり出たくなかった。


同じ3月、置かれた状況は違うけれど、私と同じように自分の進路に不安を感じる人がいた。

定時制高校を卒業していく生徒たちだ。

D×Pが関わっている定時制高校も3月、卒業式を迎えた。だけど、卒業時点で進路が決まっていない生徒がいた。1人じゃない、何人も。


このグラフを見て欲しい。

画像1

(認定NPO法人D×P HPより)

定時制高校で14.2%(7人に1人)、通信制高校で37.1%(3人に1人)の生徒が進路未決定のまま卒業していくというデータがある。

想像してみてほしい。もし自分が、進路未決定のまま社会に放り出されるとしたらどんな気持ちで卒業式を迎えるだろうか。


また、3年生で卒業単位が足らず留年する生徒も多い。

現に今関わっている3年生でも就職や進学など「未来」を考えるよりもまず「現実」、卒業が危うい生徒が何人もいる。卒業が危ういと学校としてはその生徒の就活に力を入れられない。もし卒業できず内定を辞退するとなると企業に迷惑がかかってしまうから。だから、「まずは卒業」となる。


でも、ここまで読んで「進路を決めるなんて自分が行動するだけじゃん。進路未決定とか、留年とか、自己責任じゃないの?」と思った人がいるのではないかなと思う。


そんな人は生徒たちの抱える背景にもう少し想像を巡らせてみてほしい。

画像2

(認定NPO法人D×P HPより)

定時制・通信制に来る生徒は何らかの事情を抱えている生徒が多い。金銭的に余裕がない、家庭内不和、対人関係のトラウマ、などなど、全員が全員じゃないけれど何かしら課題を抱えている生徒が多いことは事実だ。

「過去にいじめられた経験から人と関わることが怖い。だから面接が怖くて就活できない」

「家が金銭的に厳しいから進学はできない。就職しなければいけないけれど高卒求人で興味のある仕事がない」

こんな声を聞くことがある。


さらに、高卒就労には「1人1社制」という制度があるので、1人1社ずつしか応募できない。1つ会社を受けて、落ちたら次の会社を探す。もし受かったら絶対行かなければいけない。同時並行に選考を進みながら多様な選択肢の中から自由に選ぶ、そんな大学の就活とはまるで違う。


こんな状況の中で進路を決められないこと、留年することは果たして本人だけの責任なんだろうか。


この前の3月、D×Pの活動を通して関わっている定時制高校の卒業式に出席した。いつもよりオシャレしている生徒、ビシッとスーツで決めている生徒。みんながいつもよりもずうっと大人びて見えた。でも、中には卒業後の進路が決まっていないまま卒業する生徒もいた。


卒業式の式中、私は考えていた。

「卒業おめでとうって言っていいのかな…。みんながみんな行く先が決まっている訳ではない。きっと不安を抱えたままの生徒もたくさんいる。」

「卒業までにもっと何かできたのではないか。卒業後もどうにかしてサポートできないだろうか。」


そして決めた。


「来年の卒業式では卒業生ひとりひとり全員に、心からの祝福の言葉をかけたい。「卒業おめでとう」って言いたい。そのために自分にできること全部する。」


あと3ヶ月で今年度の卒業式がやってくる。時間は待ってくれない。今月も「卒業のため」と頑張って学校に来ている生徒がいた。みんなほんとにすごいなぁと思う。昼間働いて夜学校に来ること、言葉で言うほど簡単なことではないと思う。


残りの3ヶ月で何ができるだろう。生徒が進路に向かって動き出すために何があったらいいだろう。

その何かとはもしかしたら

ライブツアー(D×Pが企画する職場見学・職業体験)に行ってみることなのかもしれない。

(ライブツアーこんな企業に行ってこんなことしてます!)

いごこちかふぇで興味ある仕事をしているボランティアの人に話を聞いてみることなのかもしれない。

一緒に一人暮らしにかかる費用を計算してみることかもしれない。

奨学金制度や利用できる社会制度を探すことかもしれない。


卒業式、心から「おめでとう」って言いたい。出来る限りすっきりした心持ちで卒業できるようサポートしたい。

生徒が置かれている状況はひとりひとり違うけれど私は、D×Pは、丁寧に寄り添っていきたいと思っています。

今D×Pはクラウドファンディングに挑戦しています。目標金額500万円。500万円を達成しないと1円ももらえないオールオアナッシング方式です。このお金を資金に年度末、高校生を支えていきたいと思っています!

現在達成率19% パトロン(寄付者)数88人です。

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