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#6 体重計に乗せられていたのは私でした

少し前の話だけど、街行く男性に「女性の体重、何キロまでなら大丈夫ですか?」とインタビューをしているショート動画を見かけました。
面白おかしく仕上げるために過激なコメントの部分を切り取って編集しているのだろうけれど、はっきり言ってすごく嫌な気持ちになった。
というのも、かくいう私も体型コンプレックスで悩んできた人間だから。
今回は、そのお話をしようと思うのですが、見る人によっては不快に感じるかもしれないので、どんな内容でも大丈夫!という方は最後までお付き合いください。



体重計に乗せられていた話

私は昔から、ご飯を食べるのが大好きでした。

お母さんの作るおかずと一緒に、毎食ご飯はお茶碗3杯が当たり前。食事には困ることがないよう、父と母がいつもお腹いっぱい食べさせてくれました。ありがたいよね。
一方で運動が大の苦手。外で体を動かして遊ぶよりも、お家で本を読んだり絵を書いたりする方が好きな子どもだったから、物心ついた頃からずっとぽっちゃりしていて、加えて背も高かった。

なかなか痩せられなかった幼少期

そんな私が「自分は太っているんだ」と自覚したのが小学5年生の時。
クラスの男の子に、「おいデブ人形」と悪口を言われたことがきっかけです。私は周りの人にそんなふうに見られていたんだと、かなり大きなショックを受けました。
それから、太っている自分はなんて恥ずかしい人間なんだろう、と思うようになるのですが、体はまだまだ成長段階。とにかくお腹が空くんです。勉強や部活、アルバイトを終えて、ヘトヘトの状態で家に帰れば、母が美味しいご飯を用意してくれています。痩せなきゃいけないとは思いつつも、旺盛な食欲には打ち勝つことができず…なかなかぽっちゃり体型を卒業できないまま、中学・高校を卒業しました。

訪れた転機

大学3年生の時に、転機が訪れます。
当時お付き合いをしていた彼に振られ、このままではダメだと、本気で自分磨きをすることを決心したんです。
隠すことでもないので書いちゃいますが、当時私は身長167cmで、体重が64kgぐらいありました。この身長の女性の標準体重が61kgなので、平均よりもちょっと体が大きかったんですね。

1分1秒でも早く痩せて綺麗になりたい!痩せて見返してやりたい!と思っていた私が、どんなダイエットを行ったかというと、徹底的に”食べない”ダイエットです。
今なら絶対にやっちゃいけない行為だと分かるのですが(これを読んでいる皆さんも絶対にやらないでください)当時はとにかく手っ取り早く痩せたいという思いが強かった。

間違ったダイエット

そこで私は、毎日の摂取カロリーを500〜700kcal以内に抑えると決めて、食生活を大きく変えました。食べて良いのは鶏胸肉やささみ、サラダ、豆腐といった低カロリーな食材のみ。携帯のアプリを使って、毎日の食事のカロリーを細かく計算。

すると、体重が少しずつ減っていくんです。当たり前ですよね、食べていないんだもの。でも、当時はこれが正しいダイエットだと思い込んでいて、もっと痩せよう、もっともっと!って、ある物にまで手を出すようになります。

下剤です。

※ここからはちょっとセンシティブな話なので、やっぱり無理かもと思った方はお戻りくださいね。

追い詰められるメンタル

どんどん痩せていく自分に快感を覚えていくのと同時に、少しでも体重が増えると激しい自己嫌悪に襲われるようになったんです。

「全然食べていないのになぜ体重が増えているんだろう。そうだ、昨日食べたものが体の中に残っているからなんだ。全部外に出さなくちゃ」

そんなことを考えるようになり、ほとんど毎日のように下剤を服用しました。
とはいえ、そもそもほとんどご飯を食べていないから出るものもないんですよ。それなのに薬で無理やり腸を動かすものだから、腹痛と共に吐き気に襲われるようになったり、腸が浮腫んでいるのかお腹がパンパンに膨れたりと、体に色んな影響が出るようになりました。

生理が止まる

ダイエットを始めて約半年。この時、体重は53kgまで減っていました。
半年で10kgほど体重を落としたんです。”徹底的に食べない”という不健康極まりないやり方で。

そして、生理が止まりました。丸2年間。
排卵を促す薬を飲んで一時的に生理を起こしても、薬をやめればまた止まってしまう、というのをその後3年ほど繰り返していたので、トータルすると5年ぐらい、まともにきてなかったんじゃないでしょうか。

こうして生理が止まったことで、私の体はホルモンバランスが大きく乱れ、代謝が激しく落ち、全身の激しい冷えに悩まされることになります。また、人とご飯を食べに行けなくなったり、1口ごとにカロリーを考えて食事をするようになったり、食べ物が目の前にあると無性にイライラして目に入らないところに隠すようになったりと、体だけではなく、心まで不健康になっていきました。

婦人科に通院したり、きちんとご飯を食べるように意識を変えたりして30歳になった今では、ようやくホルモンバランスが安定してきたのですが、ここに至るまでおよそ10年という長い月日を要しました。

心も体も健康的でありたい

そんな20代を送ってきた私が今思うのは、
痩せて見た目が美しいことはとても素敵だと思うけど、心が健康的でどんな自分であっても、これが私!と自信を持てる方が何十倍も素敵だよねってこと。

自分磨きをすることが悪いとは思いません。むしろ頑張っている人を見ると素敵だなあ、自分も頑張らないとと気持ちが奮い立ちます。
そうじゃなくて、軸を他人に委ねてしまっている状態が問題だと思うんです。

誰かが綺麗だと言ってくれたから今の自分はOK、誰かに見た目を指摘されたからそんな自分はダメな奴なんだって、評価の軸が他人にある状態だと結局どこまでいっても自分を認めることはできないんですよね。
私もまだまだ自分を認められないところはたくさんあるけれど、少なくとも無理して痩せていた頃の私より、今の私の方が好きだなと思える。

毎秒、私たちは老いていって、見た目も変化していく。
だけど、過去の自分より今の自分の方が自分らしいなあと、どの瞬間を切り取ってもそう思えるように、健康的に自分磨きを続けていきたいと思う今日この頃です。

見た目のことをネタにするのは出来るだけやめていこうぜ、みんな。
人知れず悩んでいる人が、もしかしたらすぐ近くにいるかもしれない。
何気なく言ったその一言が、ナイフになって心を裂いているかもしれない。
みんなそれぞれの可愛さとかっこよさがあるから、それが分からないっていう人は私に聞いてほしい。素敵なところをいっぱい伝えさせてください。

少しセンシティブなお話しでしたが、最後までお付き合い頂いたみなさま、ありがとうございました。







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