立ち止まる
昔々、ITは完全にコストセンター扱いでした。
365日動いて当たり前で、たった1時間の停止で無事に動いていた364日23時間が無かったことにされる。
そんな世界でした。
そして、今になって「DXのための投資をしなくてはー!」と騒いでいるわけです。
うまくいくわけがありません。
そして長く人材育成もコストセンター扱いでした。
人材は勝手に育つもの。育たなかったら首切って他の人材を入れればいい。
そんな世界でした。
そして、今になって「DX人材が足りん!リスキリングだー!」と騒いでいるわけです。
うまくいくわけがありません。
私は日本に必要なのは「まず立ち止まる」ことじゃないかと思っています。
トヨタカイゼン方式では製造ラインに異常を感じたら誰でもすぐにストップすることができます。
その上で何が問題かを洗い出し、再びラインを動かします。
今多くの自治体にDX相談に入って異口同音に言われるのは「デジタルで効率化できるのはわかる。でもその効率化を進める余裕が無い。」ということです。
DXとは単にAIやらRPAやらを入れて終わりという活動ではなく、顧客や市民に対してどんな価値提供をしたいかを考える組織と従業員を生み出すこと、そして、そういう組織で自己実現できる人材を多く輩出するという「文化・組織の改革」がベースにないとうまくいかないのではないかと思います。
今行われているDXは私がよく例えに使わせていただいている「散らかった部屋にルンバを走らせまくっている」状態に等しいと感じます。
「散らかった部屋は嫌だ!ルンバで掃除できるような片付いた快適に過ごせる部屋にしたい!」と思った人がいます。
その人はお金を払って掃除人を雇い「自分が快適に過ごせるようにしてくれ!」と言いながら、自分にとっての快適がどんなものなのかはヒントを与えません。
いうことといえば「君はプロなんだから考えてくれよ。そのためにお金を払ってるんだろう?」だけ。
言われた人(職員)は仕方なく想像できる範囲でやります。
もちろん多くの場合、うまくいきません。
一人、二人と匙を投げる人が出て、時間ばかりが溶けていきます。
デジタル技術を粋を集めたお掃除ロボット「ルンバ」も部屋の隅で沈黙したままです。
これと同じようなことが各自治体で起こっている気がします。
頼まれた人材は一生懸命考えてアウトプットしますし、そのための勉強もします。
でも頼んだ側はなにも考えていないので、評価軸がブレブレです。
その間に人材はメキメキと育ちます。
今は猫も杓子もDXの時代なので、そういう人材の市場価値がどんどん上がります。
結果、転職されてしまうわけです。
立ち止まって考えてください。
どういう収納方法にしたらモノが片づけやすくなるのか、ゴミ箱をどこにおけばゴミが放置されないのか、食洗器や冷蔵庫の適切なサイズはどれくらいなのか。
ルンバを買うのはそれからでも遅くないです。
なんてことをこちらの記事を見て思いました。