見出し画像

ハロー効果と限定(非)合理性

とある町に、屋根の隅々まで見渡せるような些末な軒の低い家がありました。ときどき野良猫たちが日向ぼっこしています。ほとんどの壁はひびが入り苔が生えていていますし、毎年咲くであろう水仙がかえって侘しさを与えています。出入りする人はほとんどいません。

片やお向かいは、
毎朝、奥さんがメイドさんに「三和土(たたき)を磨いて光沢を放つようにしなさい」ときつく言いつけています。透明の花器には、奥さんが生けた向日葵が葉蘭の間に顔をのぞかせています。門構えもこの家主のように存在感を誇示するような立派なものです。出入りする客もその土地の名士ばかりです。

このような極端な例で思い浮かぶのは、心理学の「ハロー効果」です。
ある対象を評価するとき、その一部の特徴的な印象に引きずられて、全体の評価をしてしまう効果のこと(wikipediaより)
を言います。

この文章を読んだ
どなたもが、前者の家は侘しく後者の家が栄えて賑やかである、と印象づけると思います。

ところが
「限定(非)合理性」という(経済)用語だと、また違った意味合いになります。
将来が不確実な世界で将来起こりうることを正確には予測できず、かつ経済主体が機会主義的に行動すれば、紛争・契約の調整が必要になり、取引費用を発生させる(wikipediaより)

お金を持っていることにより、様々な契約や紛争に巻き込まれる可能性があり、想像もしなかった現実が不確実にやってくる、というものです。

経済学ではなかなか捉えられない問題かもしれませんが、
日本が非婚・少子化の傾向であるのは、婚活における「ハロー効果」よりももっと現実的な意味で、今後の社会の先き行きがきわめて不確実であり、
結婚して子どもを持つことについての費用が増大するなどが考えられると、ひじょうにリスキーであることが若者を中心に広がっているのだと考えます。

その他にも
「夫婦別姓」や「同性婚」などの価値観の変化を受け入れることの是非、
「事実婚」や「別居婚」などの婚姻形態でも、制度上夫婦として認めることの是非、
男性の育休や労働時間の短縮を認める、などの雇用形態の調整の是非などが非婚・少子化の原因になっている気がします。いかがでしょうか。

世界は絶えず動いています。
新しい未来を創造できるのは、若い方々です。