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ははが がん になりました。~抗がん剤治療開始~

抗がん剤治療 5日前。

最初は予定にはなかったが、CVポート(皮下埋め込み型ポート)を入れることになったと連絡が来た。
長期間の治療になるし、母は血管が見えないタイプだったので、勧められたよう。
「人工物埋めるんだって!ロボットみたいだね。なんか怖くなってきた~」と気弱な反応。
たしかに、小手術が必要だし、長期間人工物を身体に埋め込むのだから不安になるのも仕方ない。
でも、抗がん剤は血管から漏れてしまっては一大事!

FEC療法
で使われる抗がん剤は、血管炎のリスクも高いし、血管外漏出(血管から薬剤が漏れ出ること)をしてしまった場合、皮膚に潰瘍などの損傷が起こりやす薬剤・・・。
患者さんでも、治療後に血管が硬くなってしまったり、しばらく点滴部位の赤みや痛みを訴える方も少なくない。

「大丈夫だよ。差し歯と一緒。あった方がラクだから入れておきなよ~。」と半ば強引に励ました。
「差し歯って!笑 そうだね。治療終わったら取って貰えばいいもんね。明日入れてくるよ。」

母はきっと“大丈夫だよ”って励まして欲しかったのだろう。
一つ一つが初めての事。
いくら自分の身体の事とはいえ、沢山のことを選択し、決定していく事は、精神的なストレスにもなるんだろうな…。

翌日、問題なくCVポートが増設できた。と連絡がきた。
「なんか痛みもないし、案外目立たないんだね。30分で終わっちゃった。午後から仕事行けばよかった〜。」
あんなに騒いでたのに(笑)と思ったけど、苦痛が少ない事が一番。ちょっと安心だった。



抗がん剤投与当日。
病院に付き添いたかったが、母の病院は、治療中の家族の付き添いはできなかった。
朝早く電話をしてエールを送った。
「あぁー。緊張してきたよ。みんなすぐ吐くのかな?袋持って行った方がいい?あとは何必要?」
直前の緊張感が伝わってくる。
あ、そういえば、当日の準備の話はしてなかったな…

最近の抗がん剤治療は、一昔前と比べて、吐き気止めの治療は確立されつつある。吐き気のリスクが高い薬剤には、事前に数種類の吐き気止めが使われる事が多い。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/201008/100504.html
(出典:吐き気、嘔吐でがん治療を中断させない!/がんナビ)

FEC療法(フェック療法)
・エピルビシン(赤い色の点滴。見た目からして効きそう)
・エンドキサン
・フルオロウラシル
の3種類を併用した治療。
この治療は高催吐リスク分類(吐き気が出やすい薬)とされる薬剤が含まれている。
でも、こんなこと言ったら不安になってしまうだろうから、
「点滴でも飲み薬でも吐き気止めが出ると思うよ。大丈夫だから。点滴中から吐いちゃう人はほとんどいないよ。」とだけ伝えた。
この情報に嘘はない。
でも、1回目の治療後に強い吐き気があった人は、予期性嘔吐といって、2回目以降の治療の時、吐き気を思い出してしまって、治療中から吐き気が出てしまう人もいる。
だから、1回目の治療の副作用のケアがとっても大切である。
女性は、つわりが酷かった人は抗がん剤の吐き気も強くなる可能性もあるといわれている。
母はつわりが酷いタイプだったので、治療後数日間、しっかり吐き気止めを出してもらうように、主治医にお願いするように勧めた。

あと、治療中にオススメした持ち物
•軽食(食べれる施設であれば)
•飲み物
•好きな音楽
•好きな香りのもの
•タオル

多くの病院では、抗がん剤の点滴が始まると治療室から出られない所が多い。(抗がん剤の暴露対策のため)
母はお腹が空くと気持ち悪くなるタイプ(笑)なので、小腹が空いたときにつまめるものを準備するように勧めた。
あとは癒しグッズ。
初めての体験をするというだけで、心も身体も身構えてしまうもの・・・
100%リラックスするのは難しいけど、緊張が10%でも抑えられるように、普段から好きなものを1つは持っていくことを勧めた。
(母は、リラッ〇マのぬいぐるみに、好きなアロマをしみ込ませて持って行ったみたい。目を閉じて好きな匂いを嗅いだらちょっと落ち着いたそう。よかった。)

朝の10分でこれだけを伝えて母を送りだした。
あ~もっとゆっくり教えてればよかったな~・・・とちょっと後悔しながらも、母からの治療終了の連絡が来るのを待っていた。

  「おかあさん。頑張って。」

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