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分断する世界で「地政学」が大事になっている

最近にわかに「地政学」が注目されています。
ビジネス教養としての解説本や、地政学を題材にした漫画も登場しました。

・「サクッとわかるビジネス教養 地政学」 奥山 真司


・「紛争でしたら八田まで」田素弘



地政学とは、例えば世界各地で起きている様々な動向を、地理的条件でとらえ、力関係や位置関係を分析し理解する学問です。

各地で起こる紛争を、正義や悪といったイデオロギーで捉えるのではなく、パワーバランスや利害関係で実際的に(ドライに)解釈するのが特徴です。

日本は島国なので基本的に他国と領地が接しておらず、さらに戦後これまでアメリカという世界トップの超大国の傘の下にあったため、あまり国際紛争に強い関心が向いていませんでした。
何が起きても対岸の火事といった気分があったと思います。

しかし、昨今世界のパワーバランスは急激に変化しています。
相対的にアメリカの力が弱まり、中国と拮抗。新冷戦時代とも呼ばれています。そんななかで僕らにも領土問題や紛争、国際情勢といったニュースが頻繁に目に入るようになってきました。
その必要が出てきたからです。

親のように頼っていたアメリカに、どうやらあまり頼れなくなってきた。日本自体の国力も危うくなってきている。これからどうするの?と。

日本で領土問題といえば、北方領土、尖閣諸島の問題がありますが、これらの話題が増えているのも、変化する世界の力関係の、大きな流れの中にあると考えられます。

今はSNSやらネットニュースやらで、様々な世界のいざこざ情報に触れますが、どうも特定のイデオロギーに寄った、心理的な要因で情報が偏ったり、極端な解釈が蔓延したりする傾向があります。タイムラインには自分の志向に合った情報しか流れてこないので、偏り、分断は大きくなるばかりです。

上で紹介した漫画「紛争でしたら八田まで」でも "Divide and Conquer" という言葉が出てきます。分断(Divide)し、支配( Conquer)するのが植民地支配の常套手段ということです。 群衆は分断して争わせた方がコントロールしやすいから。
誰かがコントロールするために意図的に分断させられているとしたら、とても怖いことですね。

だもんで、地政学的な知識のもと、大きな視野で捉えて現実に何が起きているのかを把握する力が重要になってきていると感じます。

「サクッとわかるビジネス教養 地政学」奥山 真司 (監修)から地政学の基本を触りだけご紹介。

・バランス・オブ・パワー
地政学的観点から相手をコントロールする際によく使われる戦略。
例えば、1位の国が勢力を増した2位の国に対し、3位以下の国と協力しながら挟み込んで国力を削ぐ。
冷戦以降のアメリカは常にこれ意識した対外戦略を展開している。

・チョークポイント
現在でもエリア間の大規模な物流の中心は海路であり、国家の運営においてルートは命綱。「チョーク・ポイント」とは、このルートを航行するうえで絶対に通る、海上の関所。
世界に10箇所ほど存在し、ここを抑えることで資源を抑えることができる。
ただ最近、北極の氷が溶けたことによりロシアによって北極海を通る新ルートが開拓され、このヨーロッパとアジアを結ぶ最短航路が確立すると世界のパワーバランスが激変すると言われる。

・ランドパワー/シーパワー
地政学の基礎的な概念
「ランドパワー」はユーラシア大陸にある大陸国家で、中国、ロシアやフランス、ドイツなど。
「シーパワー」海に囲まれた海洋国家のことで、日本やイギリス、大きな島国と見なされるアメリカなど。
人類の歴史では、大きな力を持ったランドパワーの国がさらなるパワーを求めて海洋へ進出すると、自らのフィールドを守るシーパワーの国と衝突するという流れを何度も繰り返している。
国際紛争は、常にランドパワーとシーパワーのせめぎ合いで起きている。

コロナ禍で世界の分断は必然的に広がっています。物理的に国を超えた人の行き来もできなくなっていますし、間接的な情報によって疑心暗鬼になった人々が寄ってたかって誰かを糾弾したり、些細なことで怒ったり、世界に余裕がなくなってきているように感じます。

一回落ち着いて、大局を見る事が必要なんじゃないでしょうか。

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