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【感想】東京都同情塔

生成AIが使われたことで話題の芥川賞受賞作。

しかしこれは感想むずいなー。結構ファンタジーというか。存在しない人たちの存在しない状況下のはなしで。
人間の内面を深く描写しているかと言うと、でもこんな人はいないしな、となってしまい、自分の中にないコンテキストによって成立しているようで、疎外感が終始あった。

それなりに純文学好きなつもりなんだけど。まだまだ至らないものだなあ。
芥川賞作品が理解できないのは経験が不足しているからだ。悔しい。

こういうの読む際に意識して排除しなければならない「この人ずっと何言ってんの?」が頭をもたげて振り払えなかった・・・。

もちろんハッとさせられるような文学的表現は随所にあるし、
それらと生成AIで作られた文章との対比がテーマにも重なって多層の意味をなしているものと思う。多分。

しかしAIを下に見た表現になっていたのは、これでいいのかなーという感じにはなったかなあ。
それだと想像通りの使い方と言うか。
インプットを繰り返すことで人間が想像もつかないアウトプットがでてくるのがAIの面白さだし、なんかちょっといじらしさみたいなものがあると思うんだけど。そういう部分には触れられなかった。

最後の方に出てきた床屋の婆さんに唯一人間味を感じられて、そこに救われたな。
唐突だけど必要な一節。
こういうの入れられるバランス感覚すごい。

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