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泥中に咲く一輪の白い花(5)

   
お詫びとお願い
幸太郎の喋り方は、吃音者のそれです。小説を書くのに大変なので、健常者の様に書いています。
すみません。読まれる方のほうで、変換して下さい。お願いします。


デート

翌日の朝、明日がバレンタインデーだと気づく桜子。
【何かあげようかな、、、愛の告白じゃないけど、新車ドライブの助手席に選んでもらったんだもんな。】と都合よく考えた。
【あっ、そうだ。ガトーショコラでも作るか、、、】と思い、近くのスーパーへ行く。
張り切って作った。最近はこの一箱で作れるシリーズと言うものがあり、自分用に作った事もある。
夕方、100均で購入した箱に詰め包装しようとした時、有る事が頭をよぎった。
【人が作ったものを食べられる人かな、、、食べられない人かな、、、ダメじゃん。食べられない人だっら、迷惑になるじゃん。】
慌てて、もう一度スーパーへ自転車を飛ばした。
有名かどうか知らない箱入りチョコを購入した。3,000円の出費となった。

「これ、あげる。」翌朝、朝9時にコンビニの前。桜子は幸太郎へ紙袋を渡す。
「何すか?」訝し気に袋を受け取る幸太郎。
「今日、バレンタインだから。義理だけど、あげとこうかなって思って。」
「え、チョコですか?、、、やった。……俺、会社の人とか飲み屋でしか貰った事なくって、、、感激です。ありがとうございます。」
幸太郎、いたく感動している。袋の覗き込み、満面の笑みである。

「海の方へ行きましょう。」幸太郎、桜子を助手席に いざなう様にドアを開けた。
助手席に乗り込む桜子。幸太郎の股間を確認する。今日はゆったりとしたズボンの右側に寄っている。
車の中、会話と言ってもあまり無い。双方の事情聴取の様だった。
仕事は「老人ホームの介護職です。」「クレーンのオペレーターです。マンションの建築現場で働いています。」
趣味は「特に無いです。」「オーディオ作りです。アンプとかつくります。」
彼氏とか彼女とかは「いません。」「出来ません。」
これからの目標は「特に何も。」「俺も、特に」
浜辺での散歩。
興味のある事は?「健康でいる事。」「家族が欲しいです。」
「家族?お父さんとかお母さんは?」桜子、話を膨らまして来た。
「田舎は愛知です。二人ともいます。でも、俺、引き籠りだったので、高校中退で、、、両親二人とも、俺の事、厄介者扱いでした。」
「そう、」【膨らまないな、、、この話。】
「湯村さんは?」
「死んだわ。」【ね、これでお終い。】
「ごめんなさい。質問が悪かったですね。」幸太郎、恐縮している。バツの悪そうな顔と、頭を掻く仕草。
「いいえ、良いんですよ。しょうがない事ですもん。西村さんは大事にしてあげてください。」
「良いんです、もう。会わなくても、、、会いたくないし。」
「この話、やめましょう、、、、彼女とか、今までどうだったの?」
「いません、、、続いた事ないです。こんな喋り方だし、それに、、、」
「それに?」
「良く分かんないんです。女の人の事。どうしてあげたらいいのか、、、」
「教えてくれる人もいなかったの?」
「いませんでした。」幸太郎、沈んだ顔になる。「お昼ご飯、何にします?」幸太郎、話題を変えた。
「何でも良いですよ。近くの食堂でも、レストランでも。」
【どうしてあげたら良いのかか、、、、あの時の事かな?一緒に居る時の事かな?】
「少し、走ってみて、目についた所でも良いですか?」
「うん、そうしましょう。」【普通の会話に思えるけどな、、、、何を気にしてるんだろう。やっぱり話し方の事かな?】

桜子、泡姫時代には吃音者のお客さんも良く担当した。一生懸命に話す態度、理解して貰おうと身振り手振りを交える仕草。イラつく事はせず待った。誠実な人ほどやる気も出てがんばった。何かしらのハンデを持つ人ほど誠実な人が多いと思う。終わった後のお客さんの笑顔が、最高のチップだったと思い返す。

国道沿いに「お寿司、海鮮丼、うどん」看板を見つけた。そこに入る。

食事の後、土産物屋へ立ち寄る。魚やタコ、イカの干物を購入する。
「この後、何処か行きたいところありますか?」幸太郎が桜子に聞いてきた。
「うん、ある。」桜子、即答する。
「どこですか?」
「あなたとSEX出来るとこ。」


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