【エッセイ】プーさんと新たな思い出を
今日は、「『くまのプーさん』原作デビューの日」だそうだ。
世界中で愛されている黄色いクマさんのことを、私もかわいいと思う。
しかし、思い返せば、これまでの約30年の人生で、プーさんとの思い出は微々たるものだ。
たしか、3〜4才くらいの頃だっただろうか。
プーさんのビデオテープが家にあり、それを繰り返し観ていたと思う。
プーさんが友人であるラビットの家の穴(畑に出るための出入り口)にはまってしまい、抜けるまでダイエットをがんばる、というお話が好きだった。
でも、おぼえているのは、それくらいだ。
なぜ、私はプーさんにハマらなかったのだろう?
よくよく考えると、幼心に「むずかしい」と思った記憶がある。
原作の『クマのプーさん』には、哲学的な思想が散りばめられているという。
きっと、それらがわからなかったのではないだろうか。
それと、作中に登場したキャラクターが、トラウマ級に怖かった、というのもあるかもしれない。
「プーさんと大あらし」という作品に登場した、ズオウとヒイタチというキャラクターが、ものすごく、ものすっごく怖かった。
ズオウはゾウを、ヒイタチはイタチを模した架空の生き物で、プーさんの悪夢の中に現れる。
プーさんの大切なハチミツを狙う彼らは、連続的に姿を変え、色を変えながら、プーさんを翻弄するのだ。
その演出がとても不気味で恐ろしく、こちらの夢に出てきそうなほどのインパクトだった。
心が縮みあがった私は、その1回以降、「プーさんと大あらし」を観た記憶がない。
それどころか、そのままプーさんに別れを告げた。
そしてそのまま月日は流れ、プーさんと大して関わることなく三十路を過ぎたのだ。
これが、私とプーさんとの思い出。
そして、この思い出をきっかけに、新たな思い出を作ってみようかなと思っている。
「世界中で愛されるプーさんの物語を、ちゃんと知りたい」
その思いで、『クマのプーさん』(A.A.ミルン作、石井桃子訳、岩波少年文庫)を買ってみた!
原作を読んで、私もプーさんの魅力を感じたい。
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