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スタジアム観戦の魅力に溢れた "J1リーグ国立開催 "

観戦記第3弾は、J1リーグ初開催の舞台となった「国立競技場」

私は今回で国立競技場を訪れたのは5度目になる。JリーグYBCルヴァンカップや天皇杯、全国高校サッカーなど様々なサッカーの試合を観に来た。

試合当日の天気は大雨、さらに強い風も吹いていた。ゴールデンウィーク&国立開催という好条件の中での悪天候。そんな中で開催された試合について書いていく。


GW特別企画!

「ゴールデンウィークはJリーグに遊びに行こう!」という企画で約10,000人の無料招待企画が行われていた。私も応募をしてみたが外れてしまった。「TwitterやInstagramでの大々的な広告」「国立競技場での開催」かなり注目が集まり倍率が高かったのだろう。


国立といえば"松木玖生"

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今節のマッチデープログラムは高卒ルーキーの松木玖生選手。松木選手にとっては、今年の1月に行われた全国高校サッカー選手権大会で優勝を経験した場所でもある。FC東京では試合ごとにマッチデーグッズの販売を行っている。今回は国立競技場にゆかりのある松木選手のマフラーキーホルダーであった。プロ1年目からスタメンでの出場機会を獲得し、この試合でも活躍の期待される選手の一人だ。



競技場内のモニター活用

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1層コンコースには複数のモニターがあり、選手紹介映像が流れていた。試合前にメンバー入りした選手の映像は大型ビジョンに流れるが、このモニターには全選手の映像が流れている。

試合中にはピッチの様子がリアルタイムで映し出される。試合中もスタジアムグルメを買い求める人でコンコースには行列が出来ており、モニターを通して試合を観戦する様子が見られた。



スタジアム場内

2層コンコースに上がると風のテラスというスペースがいくつかある。このテラスにはベンチが置かれており、試合開始まで飲食等を楽しむ人たちがいた。サッカー盤が設置されている箇所もあり、子供たちが楽しんで遊んでいる様子も見ることができた。

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2層のコンコースは建物の中にいるような構造になっており、冷たい風も入ってこないためとても暖かかった。ただ、場内で1層と2層を行き来することの出来る階段は、両ゴール裏席付近の2つだけである。2層の席を買った人が1層のゲートから入場してしまった場合、席に到達するまでにかなりの時間がかかってしまう。

階層間の移動に関してはFC東京側が事前にお知らせを出しており、写真付きで席までの道のりを紹介してくれている。初めてスタジアムを訪れるとってかなり需要があるだろう。また、FC東京のサポーターもルヴァンカップ決勝を経験しているとはいえ、慣れない国立である。クラブ側の案内を多くの人が利用したのではないだろうか。とても親切な取り組みだと感じた。



スタジアム演出

そして今回の国立開催1番の注目ポイントはスタジアム演出である。クラブ側は事前に光や花火の演出を告知していた。これを楽しみに来ていた人も多いのではないだろうか。(当日の舞台裏も公開されています!)


選手紹介時・選手入場時をメインに演出が行われた。花火はメインスタンド側とバックスタンド側に分かれて打ち上げられた。両ゴール裏からは左右に打ち上がる花火を見ることができたようだ。スタンドにいる多くの観客がスマートフォンのカメラに花火が打ち上がる様子を収めていた。海外サッカーの決勝戦でも見に来たかのような気分にさせてもらえた。コロナ禍で歓声やチャントの禁止などで、現地観戦の特別感が薄れていると感じた時期もあった。しかし、スタジアムでの現地観戦でしか味わえない熱を久しぶりに感じることができ、改めてスタジアム観戦の魅力というものを感じ取ることができた。


選手入場が終わり、いよいよ試合開始。と思っていたところ、いきなり場内が暗転。FC東京側の円陣に青赤のライトが当たり、試合開始とともにスタジアムが明るく照らされた。

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入場者数は...

後半の試合中に発表された公式入場者数は「43,125人」であった。(最近観戦に行くと後半は入場者数が気になってソワソワしてしまう...) 天気に恵まれていれば、さらに多くの観客動員が見込めただろう。数字を見るだけだと分かりにくいが、この観客動員数はコロナ禍に入ってからのJリーグでは過去最多記録。コロナ禍でのこれまでの最多記録は、日産スタジアムで開催された横浜F・マリノス vs 川崎フロンターレの「30,657人」であった。ここから考えると1万人以上も上回っていることになる。大規模な招待があったとはいえ、遠方のチームを迎えた試合でここまでの人数が集まったのは、FC東京側の大々的な宣伝の効果だろう。(FC東京のホームスタジアムである味の素スタジアムのある京王線沿線では、各駅にポスターが貼られていた他、新宿駅などの大きな駅では大型のモニターを用いた宣伝が行われていた。この取り組みは2022シーズンの開幕に向けた宣伝以来2度目である)



・国立競技場の可能性と課題

国立競技場の最大の魅力は、何といってもアクセスの良さである。様々な路線が利用できることや新宿駅等からも徒歩圏内であることから、ほかのスタジアムに比べて足を運びやすい。当日に試合があることを知った人たちも気軽にスタジアムに訪れることができる。

今回の国立開催は成功を収めた。Jクラブの国競技場への本拠地移転を望む声も上がっているが、国立競技場の継続使用には様々な障害があるようだ。​

5月14日にINAC神戸のホームゲームとして国立開催されるWEリーグ。国立の施設使用料は警備代を含め約1500万円。広告費・ブース作成等の費用を含めると3000万円もの費用がかかるそうだ。それでもINAC神戸は、マッチスポンサーや試合への協賛などから10日間で約3000万円を集めたのだ。費用面から見ても、国立競技場を継続的にJリーグで使用していくには、かなりハードルが高いことが分かる。今回のような特別なイベント以外での国立使用は採算が合わないだろう。



・おわりに

無料招待で来場した1万人の中には初めてJリーグを観たという人も多いだろう。私の知り合いにも当選をきっかけに、初めてスタジアムに訪れたという人がいた。今回をきっかけに「また観に行こう」と感じた人はいったい何人いるのか。約1週間後の5月8日に開催された味の素スタジアムでの試合にはどれくらいの影響があったのだろうか。

現在Jクラブで活動する中で感じていることであるが、コロナ禍で観戦を控えていた人たちが徐々にスタジアムに戻りつつある。今回のイベントのように、新たなファンの獲得はもちろん、以前のファンをスタジアムに戻す取り組みの継続が必要だ。臨場感・一体感・観客同士のコミュニケーションなど、リアルでしか味わうことのできないスポーツ観戦の価値や魅力がある。その魅力を周知させるきっかけに今回のイベントはなれたのではないか。コロナ以前の盛り上がりへの回復、更にはそれ以上の盛り上がりや観客数アップといった"超回復"を期待する。

9月には再びFC東京をホームとして、京都サンガF.C.との試合が国立競技場で開催される。また、清水エスパルスも7月に横浜F・マリノスを迎え、30周年記念試合の開催を予定している。今後開催される試合にも注目し、国立競技場のサッカースタジアムとしての魅力を発信していきたい。

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