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音楽メモ《惑星》

「一番好きなクラシック音楽は?」ときかれれば、間違いなくグスターヴ・ホルストによる組曲惑星と答えるだろう。
最近、お気に入りのアルバムをLPで集めることがマイブームになっている。
そこで、この組曲についてもカラヤンとベルリンフィル、RIAS室内合唱団による録音をLPで購入して久しぶりにしっかりと聴いてみた。
聴きながらこの組曲にまつわる色々な思い出が蘇ってきたのでまとめてみたい。

ぼくがこの組曲の存在を知ったのは、小学校の音楽の授業でこの組曲の最も有名な「木星」のよく知られた旋律をリコーダーなどで演奏したときだった。
たしか先生が、この組曲は各惑星に対応した7曲からなるもので、木星の有名なメロディはそのほんの一部分に過ぎないということを説明してくれたのだった。

その頃、我が家にはプレステ2のソフト「ブラボーミュージック」があってよく遊んでいた。
指揮者としてオーケストラの演奏を指揮するこのゲームの中に「火星」が収録されていた。
5拍子のなんとも言えないリズムと、その頃ちょうど読んだH.G.ウェルズの《宇宙戦争》のように火星人が襲来するゲームの演出が相まって、小学生のぼくは一気にこの組曲の世界観に惹き込まれたのだった。

そして、地元栃木のFKDインターパークのCDショップで、この組曲が全曲収録されたCDを買ってもらうに至った。
今となっては誰の指揮のいつの演奏かなど細かいことはわからない。
2曲目の「金星」の演奏が特にお気に入りで、MDに録音して寝る前に毎日聴いていたことをよく覚えている。

中学生になってこの習慣はいつからかなくなり、しばらく惑星も聴かなくなっていた。
しかし、またもや音楽の授業で再会することとなる。
中高時代を過ごした文京区の図書館で何枚かCDを借りた。
その中には、ホルスト以外の作曲家が作った冥王星や、その他の星についての曲が含まれているものもあった。
これら追加曲自体にはそれほど惹かれなかったが、続きを作りたくなってしまう人がいるという事実がなんだか嬉しかった。

その後、再びこの組曲に違う形で出会ったのが、冨田勲先生のシンセサイザによる演奏だった。
聴き慣れた旋律が聴いたこともないようなサウンドで奏でられるこの作品は、ぼくのイメージしていたこの組曲の世界観に対して似て非なる新たな回答を与えた。
音のみであるにもかかわらず、まるで映画のようだなと思った。
冨田先生のこちらの作品もLPで持っておきたい一枚である。

こうして振り返ると、この《惑星》がぼくにもたらしてくれたものは計り知れない。
いつか生で聴くのが夢だったりもする。
これからも大切にしていきたい一作品である。

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