見出し画像

フットサルの「色の濃さ」は見えにくい〜環境の活かし方〜


フットサルをしても「センタリング」は上手くなりません。

フットサルをしても「浮いたボールのコントロール」は上手くなりません。

何がサッカーに役立つのですか?!




フットサルというスポーツが20年前に比べ、よりたくさんの人に知られ、多くの場所で楽しまれ、子どもの頃からプレーされるようになりました。




「フットサルをすればサッカーが上手くなる」「テクニックがつく」「判断が速くなる」

当時から言われていました。今もテレビから聞こえてきます。



サッカーをプレーして30年。フットサルをプレーして20年。昨年から子どもたちに、フットサルを教え出した今、何がサッカーに活かせるのか、より考えるようになりました。


今回は、フットサルというスポーツの「プレー環境」という側面から考えた話です。色濃く出ている要素を取り上げてみました。


最後まで読んでいただけると、嬉しいです。

では、よろしくお願いいたします。






①サッカーは上手くならない


フットサルをプレーし、学んだことをサッカーに活かすことができれば、サッカープレーヤーとしての質や幅を広げてくれます。

フットサルとサッカーは、「ボールをゴールへ運ぶスポーツ」という「共通なもの」として考えると、「活かせることがある」ということを何となく理解はできると思います。

画像9



フットサルを子どもたちに教えるにあたり、「フットサルをプレーすれば、サッカーが上手くなるんだ!」と煩雑に扱うつもりは全くなく、整理しなければと考えました。


フットサルをプレーすることで「身につけにくい要素」とフットサルをプレーすることで「身につけやすい要素」をノートに書き出しました。

色が「薄いところ」と「濃いところ」を取り出す作業。




整理しておかないと、子どもたちに言葉で伝える時に、より適切な台詞が、私は出てきにくかったのです。

フットサルの価値を伝えるには、価値を理解しないと始まらないと思うようになりました。

画像14





では、薄いもの(身につけにくいもの)を取り上げてみましょう。


①ボールを遠くに飛ばすインステップキック力。

【フットサルのコートは端から端まで40mなので、それ以上インステップキックで飛ばす必要はありません。40m飛ばせれば充分です。フットサルをプレーすることでは、身につけにくいです】



②浮いたボールをヘディングすること。競り合ってヘディングで相手に競り勝つこと。

【フットサルは、相手と浮いたボールをヘディングで競り合う場面が少ないです。】



③インフロントキックやアウトサイドキックでボールを曲げること。

④センタリング能力。

【フットサルでは、ほぼ使いません。ボールがそんなに曲がりません。】



⑤浮いたボールをコントロールする力。

【ボールが跳ねません】



⑥空間認知能力

【ボールが高く上がることが少ないです】



⑦ディフェンスラインを揃えること

【オフサイドがありません】



⑧90分間走りきれるスタミナ。 

【疲れたら1度交代します】



これら以外にもまだありそうです。





取り上げてみると、フットサルをプレーすればサッカーが下手になってくる。と思ってしまう。

フットサルだけをプレーする。それだけではサッカーは、より上手くは成りにくいのです。






②プレー環境の違い


フットサルとサッカーは、ボールをゴールへ運ぶスポーツという意味では「共通しているもの」ですが、「プレー環境」は数多く「違い」ます。


①コートの大きさ

②プレーする人数

(①と②については、以前の記事に詳しく書いていますので、もしよろしければ、そちらをどうぞ)

③ボールが跳ねない(フットサル)、跳ねる(サッカー)

④4秒ルールがある(フットサル)、ない(サッカー)

⑤キーパーへバックパスができない(フットサル)、できる(サッカー)


他にもまだありそうですが、私は①から⑤によって、サッカーとは「違った要素」がフットサルは「色濃く出ている」と思っています。







③身につけやすいもの


フットサルの「プレー環境」から考えた時に、サッカーよりも「身につけやすいもの」を取り上げます。



①コートの大きさ

フットサルはコートが狭いで、相手選手がすぐにボールを奪いにきます。ボールを持ってから次のプレーを決断するまでの時間が短くなります。


②プレーする人数

プレーする人数が少ないので、1人1人にかかるプレー重要度が増します。1つ1つのプレーにより責任を持ってプレーすることになります。

①と②によって【決断力が磨かれる】





③ボールが跳ねない

【決断力が磨かれる】

ボールが跳ねないので、浮いたボールをコントロールすることに意識を取られずに、周りを観る(相手のプレッシャーや味方の位置など)ことに、より注力できます。

画像10

画像11

認知に働きかけることが多くなり、決断力が磨かれます。






④4秒ルール

【決断力が磨かれる】


フットサルでは、キックイン、コーナーキック、フリーキック、ゴールクリアランス(サッカーでいうゴールキックのこと)時には、4秒以内にプレーをスタートしないといけないルールがあります。


私は、「4秒ルール」も「決断力向上にプラス」になっていると思います。




「4秒以内に」実行に移そうと思うと、2・3秒で「プレーの決断」をしないといけません。誰にパスをするのか、どんな強さで蹴るのか。


4、3、2、1と時間が減っていく中で、人は決断を迫られると、取捨選択の精度が上がります。

決断までの時間を、頭で理解し身体が覚えていくので、決断力が上がるのです。

画像1

この作業は、ボールがピッチの外に出る度に起こります。





キックインやコーナーキック時に、ボールを蹴る人だけが、判断を求められている訳ではありません。それ以外のピッチにいる人全員に求められています。


「攻撃側」は、相手守備選手の立ち位置や守り方(マンツーマンなのかゾーンなのかなど)を観て予測し、アクションを起こし、

「守備側」は、相手攻撃選手の立ち位置や動き方(スクリーンが多用されます)を観て予測し、アクションを起こします。


コートが小さくスペースが限られているので、身体のほんの少しの向きや1mの場所の違い、一瞬の遅れが命取りです。決断が研ぎ澄まされます。

画像14





コーナーキックなどのセットプレーは、今年度の全国高校サッカー選手権大会でも話題になりました。話は少しずれますが、フットサルから取り入れる部分は、これからも数多く出てきそうです。






⑤キーパーへのバックパスができない

【戦術理解力と決断力が向上する】

フットサルではキーパーへバックパスをせずに、ボールを相手ゴールへと前進させていきます(ここでは、キーパーからすぐ近くの味方選手にボールを渡した場合の話です)


自陣のゴール前6mから、数的同数でボールを前進させていきます。ボールを奪われれば、即失点です。

プレーを決断するまでの時間は、ほぼありません。相手は自分の2.3m前にいます。

4人しかいません。自身のプレーの重要度はかなり高いです。

画像5

より良い「プレーの決断」が鍵と言えます。




ボールを持っている選手は、どこにドリブルやパスをすればよいのか。周りの選手は、どう動いて、どのタイミングで走り出し、いつスピードを上げるのか。ピッチ上のフィールドプレーヤー4人のコンビネーションも、とても大事になります。


細かいところまで掘り下げ、一人ひとりが「より良いプレーの決断」をして、チームとして「再現性高くプレーすること」に繋げていくことが大切です。



再現性が向上すれば、相手の予測を超えることに繋がり、より確実にボールをゴールへと前進させる可能性が上がります。


「再現性が向上する」ということは、「決断力も上がっている」ことにつながっているのです。



スペースが少ない中、数的同数で前進させる作業を繰り返す環境でプレーすることは、【戦術理解力と決断力向上に役立っています。】






④環境の活かし方


フットサルをプレーすることで、サッカーが上手くなる。真剣にそう思っています。

子どもたちにフットサルを指導するほど、より強く思うようにもなりました。

画像12


フットサルで学んだことをサッカーに活かす。

大切なことは、フットサルのプレー環境は、サッカーの「どの要素にアプローチしているのか」を理解していることだと思います。



読んでいる方は、ご理解いただいているとは思いますが、今回の話は「サッカーの方が良い悪い。」「フットサルの方が優れている、劣っている。」ということではありません。

「プレー環境」から考えた時に、どの部分が「色濃く出ている」のか。という話です。





フットサルのプレー環境から考えた時に、色濃く出ているのは大きく2つで「戦術理解力の向上」と「決断力の向上」です。


この2つを、今より向上させたければ、フットサルの環境に身を置けば良いと思います。

画像6




「英語をより話せる」ようになるには、英語を使っている国へ行き、そこで生活すればいいのです。英語を話さないとコミュニケーションが「成立しにくい環境」だからです。


同様に、「戦術理解力を向上させ、決断力を上げる」ようになるには、より良く決断し戦術理解力が伴わないと「成立しにくい環境」に飛び込めばいいのです。







環境の活かし方で大切になることは、その環境で「身につけにくいところ」(薄いところ)と「身につけやすいところ」(濃いところ)を理解して、どの部分にアプローチすれば活かされるのか、まずは把握することだと考えています。



プレー環境から考えた「フットサルの色の濃さ」は見えにくいですが、見えにくいところにこそ「価値がある」と私は思っています。

画像7





「フットサル」と「サッカー」をフットボールという「共通なもの」として捉え、フットサルから「学んだこと」をサッカーへ「転化させる」








〜終わりに〜


私自身、サッカーはめちゃくちゃ好きですし、フットサルも大好きです。もちろん観るのもプレーするのも教えることも。

そして、日本サッカーW杯優勝を生きている間に観たい!と思っている1人です。


ブラジルでは、子どもの頃からフットサルとサッカーの両方をプレーしています。サッカー指導者がフットサルのトレーニングを観たり、フットサル指導者がサッカーのトレーニングを観たり、しているそうです。

また、世界各国のプロサッカーリーグでブラジル人が1番多くプレーをしています。


子どもの頃から、フットサルとサッカーを両方プレーし、決断力に磨きをかけ、戦術理解力を上げる。日本サッカー全体がそうなれば、ブラジルのようにサッカー大国に近づき、日本サッカー全体のレベルが上がっていくのではないでしょうか。




日本サッカーW杯優勝を観る!みんなで観る!

画像3

画像4




最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?