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『 針鼠のお気持ち表明 』










































『狼教徒のこの人になら...』と色々背負わされ......いや、それは事実と違うよね。『貴女のことをもっと知りたい』と臆病者な僕なりに真っ向から重い想いを背負いに行ったあの聖なる日のことをまだ昨日のことのように覚えてる。数秒前のことをすっかり忘れてしまって思い出すのに数十秒、数分もかかってしまう低脳な僕にも分かりやすいように付けられた大きくて深くて不快な爪痕。


誤解のないよう、5回でも何回でも言うけど、『不快』なんていうのは僕がその時どう受け取ったかという主観的な視点から評価されて付けられた形容詞でしかない。そんなの本来君にはどうだっていいことじゃないのか。本当に大切なものなら他人の評価なんて『あっそ、お前の感想なんて知らねえよ!』って一蹴してやれ。足癖が悪い君なら得意そうなことだ。あ〜、殴るじゃ足りないかもしれないから蹴ってもくれないかな。何も残らないならせめて痛みはと欲しがり屋さんな僕の悪い癖。


こんな下らない説教と性癖の告白大会で自分で自分の首を絞めてる自覚はある。身体が痛くなり過ぎるのも血を見るのも嫌で怖い臆病な僕が代替方法として選ぶ自傷行為がソレ。まだ頭の中で何度もバカでけぇ声で聞こえてくる《早く忘れちまえ》《揺らげよ》《今を見ろ前を向け》《僕を欲しがれ》《誰もお前のことなんか見てないぞ》の息の音を『はーい黙ろうね〜』と潰して殺して回ってる。そうやって地が出る、血も出る。フロアで吠えてる間は自分の本当の声で、声帯から脳に伝わる振動で擬似的に脳震盪起こしてそいつらに蓋を出来るのにな。自分なりに正しい選択だと勇気を出して選んだ行動で、更に生きづらさが増してるなんて死んでも死に切れないでしょ。でもこのあの日からずっと続いてる苦しみと痛みが途切れてしまうのも怖いんだよ、僕は。


本当は終わりなんて来て欲しくない。君に貰った姓と、僕の真名を捩った名が交わって産まれたこの生がとても糸冬しくて、同時に胸に無数の針が冬の夜風のようにチクチクと刺さる様子が存々と見えてしまうほど怖くて大嫌いだ。おわりなき物語の一部になりたかった。本当の終わりが来た時に僕は心から『今まで存がとね』と言ってあげられるのだろうか。病的なほど不安症な僕は今からそんなことを考えてる。寿命を順調に尚且つ計画的に縮めているのは僕の方でした。ごめんね。糸と針で何とかつぎはぎでも繋ぎ止めていてね、今だけは。


『不快の烙印を押したこの傷痕のこともいつか綺麗だと思える日が来るのかな』とか、そんなことをぼんやり思いながらぽっかり空いた胸のsukiを埋めるように1本火をつけて一呼吸。『君が吸うものに火をつけたら君の心にも何か燃え移ったりしないかな』『同じもので肺を満たせばそこから愛が生まれたりしないかな』なんて悲しくて叶いそうもない、言葉に起こすのも恥ずかしいことをいつも考えてる。季節外れなひぐらしのなき声。ごぉごぉと煩い換気扇が回る狭い空間に充満する甘い匂いに頭と目がゆらゆらぐるぐると揺れて悪酔いしそうになっても止まらない思考の波。止めてくれて存がと。


僕がどれだけ想いを伝えようが、君は『近過ぎるから分からない』のままでいいと思う。はっきり見えてしまってもかえって不都合なこともあるし、この前のことのように曖昧なままにしておけばいい。詰まらないことには君の貴重な脳みそのリソースは割かないでおこうよ。それでも君に会う度に、裸を見られているような錯覚を起こすくらいの高画質で僕に突きつけられる揺らぎようのない事実:
















僕は君(貴女)じゃなきゃ駄目だ。

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