ミイヒ休養を受けて 〜天才少女の育て方

NiziUのメンバー・ミイヒの休養が発表されました。

ニュースを聞いて心に浮かんだのは、驚きとか残念とかいった感情ではなく、「ひと安心」というものでした。
虹プロジェクトの韓国合宿が進むにつれ、どんどん痩せ細っていくミイヒをみて、異変が起きているのは明らかでしたが、本格デビューを目前に控え最も大事なこの時期に休ませるというのは、運営も難しい判断だったと思いますし、それでもちゃんと休養させることを決定したことに対して「ひと安心」したということです。
もちろん「もっと早く休養させるべきだった」という意見もあるかと思いますが、これまでの活動(レコーディングやMV撮影、SNS発信など)は休養をとりながらでも自由なペースで行うことが出来るものでしたし、最近の写真や動画を見る限りはミイヒの体形も徐々に戻ってきているように見えていたので、運営からの発表文にある「現在MIIHIは治療を受けて徐々に体調も回復している状態」というのも理解できるものではあります。ただ、来週から始まる本格的なカムバ活動(新曲に向けたプロモーション)で「スッキリ」や「ミュージック・ステーション」の生放送なども控えているなかで、関係各所に迷惑をかけない今の時点での発表になったのではないかと推測できます。

休養の原因については、ネットでは歯の矯正失敗とか拒食症とか勝手な憶測がいろいろ出ていますが、もちろん真実がわかるわけではありません。ただ僕は、ひとつの真実が、ミイヒ自身が語っていた言葉の中にあると思っています。

虹プロジェクトの韓国合宿3つめのミッション。チーム・バトル「Feel Special」のパフォーマンスで、ミイヒが初めてJ.Y.Parkから悪い評価を受けた際、その理由を聞かれたミイヒは、このように答えました。「最初の頃は、ただステージに立つことが、すごく楽しくて、あまり何も考えずに、ただ楽しもうと思ってたんですけど、最近というか、今日のステージもちょっと、立つ前にすごい、指摘されたこととか、いろいろ考え過ぎてしまったと思うし、あんまり心から楽しめなかったんじゃないかなと思います」。

ミイヒは、NiziUの中ではマンネ・ライン(最年少学年)なので幼く思われがちですが、インタビューを見ると、自身の考えをキチンと言語化することができる人だと思います。グループで唯一の(妹2人がいる)長女であることも関係あるのかもしれませんが、外見の可愛いイメージに反して、かなりしっかりした性格のようです。そんな彼女が、オーディションの中で苦しみながら発した言葉には、大きな真実があると思うのです。

確かに、虹プロジェクト前半におけるミイヒのパフォーマンスは“無敵”“怖い物なし”という感じがあふれていました。同じオーディションの参加者たちの、「うわぁ、こんな子が世の中にいるんだ」(スズ)、「なんて可愛い生き物なんだ」(マヤ)といった感想が大げさでないくらい、“アイドルの天才”としか言いようがない存在でした。そしてそのパフォーマンスは多分に、14歳という年齢が支えていたことも確かだと思います。全能感にあふれ、怖い物がないままに突き進み、設定されたミッションをどんどんクリアしていくことの大本には、周りを気にしないある程度の幼さが必要だったのです。
それが、陳腐な言い方になってしまいますが“少女から大人へ”となるにあたって、他者を知り、怖さを知っていくのは、当然通り抜けなければならない道であって、それが彼女の場合はオーディション~デビューという大事な時期に重なってしまったのではないかと思います。 

他のアイドルと比べるのはあまりよいことではないですが、つんくにおける後藤真希や、秋元康における平手友梨奈なんかの例を思い出しながら、天才少女をちゃんと真っすぐに大人の女性へと育てるのは、どんな敏腕プロデューサーにとっても難しいことなのだと痛感します。
でも一方で、とても残酷ではありながらも、その“少女から大人へ”の成長する姿を見られるのも、アイドルというものの醍醐味の一つであることもまた、確かなのです。16歳でデビューし、17歳で輝きを放ち、18歳でまた新しい一面を見せて~といったトップアイドルが多いのも事実です。

もちろん、ミイヒの病状や回復状況が実際どうなのかはわかりませんし、今後の予測もすべきではありませんが、彼女の心身が充実するまで気長に待ちたいと思いますし、幸いにもNiziUというグループはミイヒをいつまでも待つことができるに十分な魅力を持った箱だと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?