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013 遺言の作成における留意点

前回は、相続対策として、自筆証書遺言の作成を推奨することを述べました。今回は、遺言の作成における留意点について、述べたいと思います。自筆証書遺言に限らず、他の方法による遺言(公正証書遺言、秘密証書遺言)を作成する際も同様ですが、遺言の作成において最も重要なことは、自分の財産についてよく見直すこと、そして、まずは自分でよく考えることです。相続は、プラスの財産に限定されず、マイナスの借金についても相続人に引き継がれることになりますので、マイナスの借金も含めてよく見直さなければなりません。マイナスの借金は、借入金だけでなく、保証人を引き受けているといったマイナスの義務も含めてよく確認する必要があります。そして、専門家や部外者の意見を聞く前に、どの財産を誰に承継させようか、まずは自分自身でよく考えることが大切であると思います。どの財産を誰に承継させようか、財産の配分を考えるためには財産の評価額を知る必要があり、そのためには専門家の関与が必要ではないかと指摘される方もいらっしゃるかもしれまん。しかし、例えば、自宅不動産は、評価額が高かろうと低かろうとこの人に引き継がせたいという人がいると思いまし、その他の財産についても、その財産の特性や経緯に照らして引き継がせたい人がいるのではないでしょうか。そして、そもそも、相続による財産の配分は、公平である必要などないのです。例えば、すべての財産を妻に相続させる、すべての財産を長女に相続させる、そういった財産の引き継がせ方も、本人の意思や目的に沿うものであれば、はばかる必要はないと思います。専門家の関与があったほうがよいという場面を想定しようとしますと、それは、不動産の取扱いをどうするかを検討しなければならない場面が多いように思います。不動産は、不動産会社に査定してもらうのと、相続税の申告をするために評価するのとでは、その評価額は大きく異なりますし、そもそも、売ってお金に変えられるものなのか、売ってお金に変えることを本人の意思として許容するものなのか、不動産については判断に迷うことが多いように思います。そこで、不動産に関するノウハウを有する専門家に意見を求めることには一定の意義があるように思います。

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