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014 自筆証書遺言作成の手順

前回は、遺言の作成における留意点について述べました。遺言の作成において最も重要なことは、自分の財産についてよく見直すこと、そして、まずは自分でよく考えることです。遺言の作成は、まずは、自分の財産の棚卸しから始める、といったところです。今回は、自筆証書遺言作成の具体的な手順について、述べたいと思います。民法では、自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない(民法968条1項)、とされています。自筆証書遺言は、文字通り、全文を自筆により作成することが原則とされています。ただし、2019年1月13日施行の法改正により、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部または一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない(同法同条2項)、とする作成方法が認められることになりました。そこで、①財産を譲る人ごとにその譲る財産の目録をパソコンにより作成し(財産目録の各ページに署名及び押印をします)、続いて、②遺言の要となる本文部分を自筆により作成する、ことを推奨します。すなわち、①財産目録1(妻に相続させる財産の目録)、財産目録2(長男に相続させる財産の目録)、財産目録3(次男に相続させる財産の目録)をパソコンにより作成し(財産目録の各ページに署名及び押印をします)、続いて、②財産目録1に記載の財産は妻(フルネームを記載し、生年月日を併記して特定します。以下同様)に相続させる、財産目録2に記載の財産は長男に相続させる、財産目録3に記載の財産は次男に相続させる、とする遺言の本文部分を自筆により作成する、という手順となります。そして、自分の死後における円滑な相続手続きを期待するためには、精度の高い財産の棚卸しを行い、そして、精度の高い財産目録を作成しておくことが有効です。

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