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「Tarot card story」 4話 皇帝
〜皇帝〜
1.★無への回帰
全ての音を…
音という音を吸い上げるような静けさ…
そんな静かな夜を迎えていた。
…それは嵐の前の静けさだった。
この国の皇帝は、かねてより総力を尽くして計画していた、大規模な水路開発事業の完成を間近に迎えていたのである。
この事業が完成すれば、治水や農耕、また物流や軍事についても大きな発展を遂げる、その直前だったのだ。
突如、夜空を暗雲が覆う
「Tarot card story」 3話 女帝
〜女帝〜
★絶望
彼女は、17の時…
それまで当たり前だった王女としての日常を全てを失った。
彼女には2人の、年の離れた兄がいた。
長男は、野心家で獰猛で優秀だったが、正妻の子でなく、王から疎まれていた。
次男は、優しくおっとりした秀麗な男で、王から期待されていた。
当然の成り行きとして、長男と次男の間には軋轢が発生し、派閥が形成されていたのである。
ある夜、王は
「Tarot card story」 2話 女教皇
〜女教皇〜
★才能と躍進
彼女は孤児であるものの、高貴な生まれであろう風格を漂わせていた。
大人しくしていても、常に異彩を放ち、一際目立つ存在で、容姿端麗、才色兼備な女性だった。
そんな彼女は…
修道院で幼少期を過ごし、その中で才覚を認められ、ローマへ行く事になる。
ローマの修道院でも、彼女は突出した。
あらゆる学問を修め、瞬く間に注目を浴び、1年も経たぬうちに並ぶ者
「Tarot card story」 1話 魔術師
〜魔術師〜
★回顧
私には、特定の名が無い。
しかし同時に、”78の名を持つ者”である。
私が得た力は、魔術だ。
私自身もこの力の本質を未だ理解できていないが、その力は強大である。
善にも悪にもなり得る、強力な諸刃の剣なのだ。
さらにその力の根源が、誰でも持ち合わせている想像力であるということを、多くの人が気づいていない。
魔術に目覚めると、人は変わる。
大きな野心
『Tarot card story』 0話 愚者
〜愚者〜
★誕生
彼は…
今から14年前、最も寒い日の夜明けに生まれた。
「陛下、男児です！」
「おぉ、そうか！」
「ますます王国も繁栄することでしょう！」
そんなやり取りから5年後…
彼の教育を目的とし、多くの家庭教師が付けられた。
さらに王は、当時一流とされる魔術師を招き…
「あらゆる学を習得させねばならぬ。王政学はもちろんのこと、ありとあらゆる学