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「Tarot card story」 4話 皇帝

〜皇帝〜

1.★無への回帰
全ての音を…
音という音を吸い上げるような静けさ…
そんな静かな夜を迎えていた。
…それは嵐の前の静けさだった。

この国の皇帝は、かねてより総力を尽くして計画していた、大規模な水路開発事業の完成を間近に迎えていたのである。
この事業が完成すれば、治水や農耕、また物流や軍事についても大きな発展を遂げる、その直前だったのだ。

突如、夜空を暗雲が覆う。
そして、千年…
いや万年に一度の大嵐がこの国を襲った。

暴風は地表を剥ぎ散らかし、暴雨は濁流と土石流を生み出した。

この国は、無に帰したのである。

その大嵐の最中、皇帝は弟に暗殺された。
弟は、ドス黒く近づきがたいオーラを纏い、皇帝の返り血を蒸発させたという。



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