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黄色い花の咲く前に

ミモザの世話をすることになった。

言われた通り、毎日12Lの水をたっぷり。

本当は、12Lなんて多すぎるからちょっと嘘だと思ってた。
手元にじょうろもなかったので、バケツや小さなジョウロで
チョロチョロ水をあげるようにしていた。

本当は、時々面倒臭いので水をあげていないのを知らないふりをしていた。

台風の日は、心配なので室内に置いたままにした。

ある時から、ものすごく葉が落ちるようになった。

水をあげるのが大変なので、中にしまわなくなった。

雨の日は、ラッキーだなと思った。

雪のように葉を落とした次の日、
急に葉が茶色くなった。

怖かった。

こんなに簡単に枯れるなんて思ってなかった。
本当に枯れるから、扱いに気をつけてねと一声かけてもらっていたら
心底大切に、面倒なんて思わずに毎日水やりをしてたと思う。

意外と大丈夫でしょう。
なんだかんだ、また、すぐ生えてくるでしょう。

そんなふうに思っていた。

当たり前すぎて、生き物ということを忘れていた。

こんなにあっさり枯れてしまうのか、と思う。
この大きさまで大きくなった時間に想いを馳せ
いろんなものに申し訳なく思う。

そうして、私のこの責任感のない適当な構え方を呪った。
どうして、
どうしてこんなにいい加減なことしかできないんだろう。

私は、いつからこんな私になったのだろう。

この木はなんの木?
と聞かれるたびに、まだ見たことのない黄色い姿を想像しながら
少し自慢げに、ミモザって言って、1月には黄色い花を咲かせるの
と説明していた。

きちんと世話もできない私には、
黄色い花を見る資格がなかった。

悲しい。

この悲しさをどうしていいかわからない。

見ることのなかった黄色い花を、そっと燃やして、煙を見たような気がして、供養なんてできるのだろうか。


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そのしま・たな 1993年生まれ。小説や詩を書いたり、時々絵を描いたり。

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