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Vol5.0▶病院でもない、家でもない、第三の場所⁉ 「地域包括ケア病棟の活用術~ときどき入院、ほぼ在宅を支えます!」


田川市にある後藤寺の病院と言えば社会保険田川病院(335床)。地域医療支援病院等の認定を受けている田川地域の基幹病院である。そんな社会保険田川病院に「地域包括ケア病棟」があるのをご存知だろうか。
病院、とりわけ総合病院に対する一般的なイメージとして、「救急でかかるところ」「手術等の重病で入院するところ」といった認識を持つ人が多いだろう。あながち間違いではないが、田川病院の機能は、実はそれだけではない。なんと田川病院は、自宅で医療・介護を受けられている方々を一時的に受け入れるといった入院機能を持つ。それが「地域包括ケア病棟」である。今回のひとちゅう新聞では、この「地域包括ケア病棟」について詳しく述べていくとともに、地域住民の方々が当院の地域包括ケア病棟をどう活用できるのかについて紹介する。

介護者を支援-レスパイト入院とは?

レスパイト入院とは?

「レスパイト(Respite)」とは、“休息・息抜き”という意味であり、「レスパイト入院」は患者さんのためなのはもちろんであるが、同時に介護者の「休息」も担っている。介護が必要になった方が、施設ではなく自宅で過ごしたい。しかし、自宅で過ごすには家族の支えが必要だ。もちろん介護保険サービスを使い、訪問介護や訪問看護サービスを受けている人もいるが、日常生活では介護者である家族の支えが重要となってくる。そうすると、介護者は旅行や遠出が困難になったり、日々の介護疲れ、介護者自身の怪我や病気で介護が十分できないなど、さまざまな問題が生じるだろう。そのような問題に対処するために地域包括ケア病棟が存在する。「レスパイト入院」を活用することによって、介護者は一定期間介護から離れ、自由な時間を確保することができ、介護者の精神的・身体的健康維持や、介護負担の軽減・リフレッシュを促すことができる。
「かつて社会問題とされた社会的入院は、今、在宅療養生活を継続するために新しい形として『地域包括ケア病棟』の一つの役割として生まれ変わっている」

地域包括ケア病棟の役割

地域包括ケア病棟では、医療スタッフや看護師、リハビリテーションスタッフ、ソーシャルワーカー等が協力して、患者さんの健康管理を行う。地域包括ケア病棟には、今回紹介したレスパイト入院以外にも以下の役割がある。

退院支援と日常生活機能の維持・向上

地域包括ケア病棟では、慢性疾患の管理や緩和ケア、リハビリテーションなどを通じて、地域住民の健康を維持・向上させる。また、地域の医療機関や介護施設と連携し、必要に応じて在宅医療や訪問看護、地域の福祉サービスとの連携を行う。田川病院内で積極的な治療が終了した後に、地域包括ケア病棟に転棟し、自宅へ退院した後も介護保険サービス等を組み合わせ、安心な生活が継続できるように、リハビリ・投薬・栄養管理等の観点から総合的にケアを継続する。その間、患者さんの状態や希望を踏まえて、自宅への退院支援や適切な施設、病院等の受け入れ先と調整を図る。

他の病院からの転院受け入れ

田川地域以外の救急病院や基幹病院等から、急性期治療が終了した患者さんの転院受け入れを行っている。そうすることで、田川にお住いのご家族が、荷物の受け渡しや面会に行きやすくなる。また、受け入れた患者さんには前述の【退院支援と日常生活機能の維持・向上】を行う。

在宅・介護療養のバックアップ

自宅で医療や介護を受けている方の急変や体調不良の際、受け入れや介護休暇としてのレスパイト等を担い、自宅での療養生活を下支えする。


レスパイト入院 イメージ図

レスパイト入院の実際

どんな入院環境を整えているか?

管理栄養士

「他の患者さんと同様に、医師の指示に沿ったお食事を提供しています。例えば、体重が極端に変化しないように、摂取すべきカロリーを計算し、美味しく食べていただくために献立を考え、食事を作っています」

理学療法士

「私たちは、患者さんのADL(日常生活機能)が下がらないようにリハビリを行います。他の入院患者さんと同様に、リハビリ計画を立て、リハビリを行っています。また、レスパイト入院をするということは、介護が必要になる原因があるのだと思われます。私たちはその原因に対し、入院患者さんのADLを下げず、その他に何ができるかを見つけ出し、短期間で緩和・解消できるように日々研鑽しています。レスパイト入院は、定期的に利用することができるため、少しADLが落ちてきたなと感じたら、レスパイト入院をぜひ利用して下さい。定期的にレスパイト入院をし、リハビリをすることができますし、その間ご家族は自分の時間を作ることができます。病院の敷居が高いと思われるかもしれませんが、気にせずご利用いただければと思います。
患者さんが毎日元気に過ごせるのは、ご家族の助けがあってこそだと思います。ですので、レスパイト入院という機能を有効活用していただき、無理のない介護をしていただければ幸いです」

リハビリイメージ


レスパイト入院の使用例

最後に…

レスパイト入院の必要性

田川病院の強みは「多職種連携」です。レスパイト入院で来られた患者さんが入院前の状態より悪化しないよう、入院時に普段の生活状況などの聞き取りを行います。その情報を基に、ADL(日常生活機能)が低下しないよう、理学療法士によるリハビリテーションや、管理栄養士が患者さんの献立を考え食事を提供しています。この他にも多くの職種が連携し、ご家族に代わり看護をし、入院患者さんのQOL(生活の質)を維持します。レスパイト入院という機能自体知らないという方がほとんどだと思います。なので、この広報誌を見ていただいている方々に、田川病院にはこんな機能があるんだと知っていただき、是非ご活用していただければと思います。患者さんが住み慣れた地域や在宅での生活を継続していくためには、介護者であるご家族に休息を取っていただくことは重要です。レスパイト入院によって、これまで介護にあたられてきたご家族が介護から解放され、一時でも休養をとることができます。そのことにより、ご家族の健康と介護の継続がサポートされます。レスパイト入院は、住み慣れたご自宅、地域で医療や介護のサービスを受けながら過ごすことにつながります。ぜひお気軽にご利用下さい。

地域包括ケア病棟 看護師長
大迫 美奈穂

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