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Library,Untouchable

上品な老婦人が入ってくる。
私は受付から彼女を見つめる。

彼女は案内を乞うと見せかけて突如、鋭い突きを私の喉に繰り出す。
一瞬早く私は手にした銃から麻酔弾を撃ち込む。

その向こう、エントランスホールでは不用意に銃やナイフを装備したまま入館しようとした輩が、警備装置のレーザーに焼かれている。

まったく!

私はただの図書館司書だ。
それなのに毎日!銃撃乱闘、怪我人死人の出ない日はない。

私の戦闘力も日に日に上がるばかり。

この図書館にはなぜか、世の悪い輩が欲しがる書物が何冊も所蔵されている。
もちろん厳重に保管され、禁貸出、申請の上館内閲覧のみだ。

得られる知識は変わらないのだから、館内で大人しく閲覧して必要な部分をメモなりコピーなりすればいいものを、そういう訳にはいかないらしい。

どういう訳?

必ず館外へ持ち出そうとするし自分だけのものにしたがる。

悪魔を手下にする方法、妖刀鍛錬術、ゾンビ製造薬に神の目を得る法etc.
神の目?

確かに皆が同じ力を持っていたら、力関係は変わらないし物騒でかなわない。知識を自分だけのものにしたがるのも分かる。

だけど、ならどうしてそんなものを集めた図書館があるの?

そんな愚痴を呟きながら、エントランスホールを生き延びた男を腰だめに麻酔銃で撃つ(実弾だったかも、まあいい)

私は館長に提案した。
「本を別の場所に隠し、図書館での所蔵取り止めを案内しましょう」

ちょっと考えれば分かる、考えが甘かったって…


案内を出したその日のうちに館長は行方不明、私も四六時中身柄を狙われる身となった。

私は館の秘密を守りながら奴らの目を引き付ける囮の役割を、自らに課してしまったのだ。

毎日図書館に顔を出していた、あのちょっといい男とも二度と会えないのかな…

苛立ちを抑えながら今日も私は、足元に撃ち込まれる銃弾をかわし路地裏を走っていた。

「よう」

正面にあのちょっといい男が立ちふさがっている。

笑顔!

敵なの?味方なの?!

【続く】



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