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さん、結石したってよ(5)

はい、欠席です。だって閉じ込められちったんだもん。

前回
結石の末排尿感覚が麻痺したさん。レーザー照射もむなしく感覚は戻らない。数日間カテーテルを入れて膀胱を空にする作戦に。ついに伝説の防具・はぐれメタルのよろい、ではなくエリザベスカラーを手に入れ装備した。防御力+500

ヘッダーの写真に写っているエリザベスカラーは半透明であまり大きくない。深さも顔と同じくらいだ。これはホームセンターで購入した物で何だか色合いもしっくりくる。
だが当初、獣医さんが貸してくれたカラーはこんなソフトなやつではなかった。不透明で深さが25cmぐらいあった気がする。つまりこれを装備すると、さんの顔は横から全く見えず体の前方にエメラルドグリーンのメガホンがどーーんと25cm突き出している。
重い。ちょっと顔を動かすと、常識的な大きさのケージのどこかにぶつかり、ガンゴンゴンガン!と途轍もない音を立てる。あれはパラボラと同じ、周りの音を拾うからとにかく静かなところにケージを置け、とセンセイからも指示をされたが、あれが直接物に当たった時の内部の音は相当ひどかったのではないかと想像する。

インスタを検索したら、色も大きさのバランスもメガホンの角度も同じ感じのワンちゃんの画像が出てきたのでお借りしました。monkey handsさんとボンゴ君ありがとうございます。

そして先生が装着して下さった適切なきつさのホック(奥から2番目)でさんがケージに入ると、あっという間にカラーは抜けてしまった!!!
ここでさんのケージを見ていただきたい。

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狭くもないがさして広くもない。普段ならおしゃれなロフトの中二階がさんの定位置である。
が、このロフトの板にちょっとカラーをひっかけて首をくいっと振ると、あーら不思議!たちまちでっかいじゃまなカラーは、いくつも留めたホックもそのままに、さんの首から抜けてしまう。

イリュージョニスト!!

引田天功かよ。

話は逸れるが、もう一匹の猫、9歳・雌のまる女王もプリンセス天功の名をほしいままにする天才イリュージョニストだ。災害が多い昨今、万が一の避難所生活のためには猫にもハーネスを付けねばならない。
訓練で日頃からハーネスを付けようね♡などと言って(本当はなんとなくかわいくしてお外へ出たりしたかっただけ)、ひも状のハーネスを最初に着けてみた。嫌そうだ、固まっている。慣れだからね、などと少し放置しておくといつの間にかハーネスはどこぞに置き去りで、女王陛下はフリーにおなりだ。
それならと、ジャケット状の身体を覆う部分が多いタイプを2種類試したが、それもにいつの間にか脱ぎ捨て脱出に成功しておられる。留め具もマジックテープもどこも外れていないのに。

↓ 活躍ゼロで8年ぐらい放置されたジャケットタイプのハーネス2種。

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女王陛下にしてプリンセス天功!
我が家はまるへのハーネス装着を早々に諦め、夢も破れ、イリュージョニストの称号を差し上げたのだが、さんまでもが師匠引田天功の名を継ぐ縄抜けの天才だったとは!

一番分からないのは、別にお借りしておいた、ウレタン製の10cmくらい厚みのあるごっついやつを一番きつい位置で留めておいたのに、ケージの中でびょーんとジャンプしたら空中でするりとカラーが抜け、着地と同時にさんがフリーになっていた現象だ。どうやった?!一部始終を目にしたけれどまったく仕組みが分からない。

今でもスローモーションで鮮やかな場面が瞼によみがえる。
次の日センセイに話したら首をひねっていた。
「イリュージョニストです」と説明にもならない説明をする以外私に何ができようか。

話が一日先走った。
カテーテル及びエリザベス初日だ。
ふくろの中にはたびびとのふくとおなべのふた、ではなくごついエリザベスカラー。やくそうは仲間になったマーニャこと私のふくろに錠剤とシリンジ用が入っている。ホイミは効かない。さあ冒険だ!いや旅には出られない、ケージの中で療養ライフのスタートである。

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「お薬嫌でし~」の本人による再現

先生の指示通りケージにたくさんペットシーツを敷き詰め、最初小さめのトイレも入れ、ロフトもそのままにしたのだけれど、すぐにそれはまずいと気づいた。
まず、どでかいエリザベスカラーがあっちこっちに当たりまくる。それを嫌がるさんは、外すためのとっかかりを探している。さっきも書いたがトイレやロフトの板にカラーの端っこをちょっとひっかけてすぐに抜け出してしまうのだ。

トイレもロフトも撤収。
ペットシーツを敷いただけの四角いケージの出来上がりである。
置き場所は、静かで冷房の利く(8月の出来事だから)我々の寝室とした。

けれどさんはとっかかりがなくてもすぐにエリザベスカラーを抜いてしまう。思い切って一番きつい位置の留め具にしてみたが割とギューッと締め付ける感じで、カラーに大きさ重さもあり苦しいのではないかとすぐやめた。
その日はケージのそばにずっといて、ペットシーツがすぐ汚れてさんがかき寄せてしまうので取り換えたり、取れてしまうエリザベスカラーをつけてあげたりしたがきりがない。

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「なんでしか、これは~!」

たからばこを見つけた。さんはマナーウェアを手に入れた!

実はおしっこがぽたぽたずっと出ていると気づいた時に買ってみたのだ。猫のおむつである。この時すでにイリュージョニストの片鱗を見せいつの間にかすぐ脱いでいたのでやめてしまったのだが、ここで再登場である。

今度のマナーウェアの役割は、とにかくカテーテルを保護し、エリザベスカラーをしていないさんが口で舐めたり引っ張ったりして抜いてしまわないようにすることだ。カテーテルの端はおむつからちょっと外に出しておしっこはペットシーツに落ちるようにした。これで少しはケージのそばを離れられる。

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↑でんせつのぼうぐ すごいおむつ しっぽを出す穴がキュート


けれどうんちもしたくなるだろう。やはりできるだけおむつはしないようにそばにいることを心掛け、エリザベスカラーが外れるたびに装着させる作戦。

そうして晩ご飯の時間になり、夜は更け、さんの様子を見ながら我々も就寝時間となった。
が・・・・

静かに寝ている時間もあるのだけれどさんは時々ケージの中で暴れる。隙間から手を出し手あたり次第周りにも敷いたシーツをがさがさと掻き寄せる、ハムスターのようにケージの天井にぶら下がる、鳴く。
ええいやかましい、寝られんわ。
その都度シーツを替えたり撫でてあげたりお水をあげたりしたのだが、明け方、あることに気づいた。

さんはケージの外に置いたトイレを見て激しく鳴いていたのだ。
あっ、もしかして。
ペットシーツは敷き詰めてあるけれど箱のトイレをケージに入れてみた。さんはごそごそとうんちをしている。

・・・・・そうか。

読んでいる方はこれを書いている私を本当にバカだなぁと思われるに違いない。
私はペットシーツを敷いたのでこれでいつトイレをされても大丈夫、と思った。さんは排尿感覚が麻痺してからはずっとトイレを使っていない。必要性を感じないのだから当然だ。ペットシーツはカテーテルからの尿をちゃんと受けとめ役割を果たしている。ただしそれはさんのあずかり知らぬことだ。わたしがうすぼんやりと「さんはペットシーツを使っている」と勘違いしていただけだ。
そして排便感覚はきちんとある。
けれど猫にとって「ペットシーツを敷かれた」ことが「そこがトイレだ」とはならない。当たり前だ。

人間の感覚だけで、ここはトイレをしてもいい場所、と決めつけていた。けれどさんは、ずっと野良で成猫になってから家に保護されたのだけれど、最初から一回も粗相をしたことがない。必ず猫トイレを使ってくれる。シーツが敷いてあるからここがトイレだ、なんて思うわけがない。

ちゃんとトイレでうんちをしたい!

なんといい子だろう。そして私はなんと想像力が足りなかったのだろう。

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それに気づいてからは、さんがトイレに向かって鳴いたらケージの中にトイレを入れてあげられるようになった。以後トイレに関しては阿吽の呼吸となり、だいぶ楽になった。
もっと早く気づいてあげられなくてごめんよ、さん。

ともあれカテーテルとエリザベスカラーの最初の夜が明けた。割と地獄。反省はしたけれど。
さんのトイレの要求が分かってちょっと安心し、ラリホーが発動した。思わず熟睡して朝8時過ぎ、起きたらさんの体外に出ているカテーテルが昨日よりだいぶ長くなっている。「すごいおむつ」は脱げていて中に入っていた部分が外に引っ張り出されているようだ。抜けてしまっているわけではないが、きちんと入っているか分からない。

今日もお医者さんへGO!
退院して月~土、一週間毎日通院だ。
がんばれさん。がんばれ我々。

闘いはまだ終わらない。

続く


回復してからのさんとまる女王

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