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エゴだけで新規事業は出来ないの。


伝統工芸品が好きです。

僕は伝統工芸品が好きです。
錫で出来たぐい呑を持ってますし、地元で伝統工芸品の展示会があれば、ほぼ行きます。
あ、ちなみにサムネの桜はこないだ石神井公園で撮ってきましたが、記事の内容とは一切関係ありません。


すいません、続けます。
田舎で叔父が職人ということもあると思うのですが、その職人さんが作る唯一無二の品はかっこいい、っていう感覚はずっと持っていました。


ただ、1つずつ作るから量産はできなくて、もちろん職人の数が増えれば活性化されるとは思いますが、やっぱりやりたい人がそんなにいるわけでもなく。

なので、作業量や技術、原材料の良さなんかも相まって、伝統工芸品って価格は高くなる傾向にありますよね。


長持ちすること前提で、長期的に見れば安いと考えることも出来るかもしれませんが、やはり一回の支払いは高くなるので、購入は躊躇してしまいがちです。


良い商品なのは、分かってはいるけど、手が出しづらい。
これが消費財ならなおさら、安くたって別にいいじゃないって、なりがちです。


出来ることって何がある?

僕は伝統工芸品が好きですが、どちらかというと自ら作ることに魅力を感じるのではなく、より広めたいという感情が強いです。


だから、僕に出来ることってどうしたら色んな人にその伝統工芸品を使ってもらいたいと思ってもらえるのかを考えて実行することなんじゃないかと。


だから、考えました。
そして出た結論が、その商品のストーリーを伝えて付加価値を与えること。


どういう気持ちで職人さんが作っているか、なんで伝統を守り続けているか、実際に使っている人の感想などなど。


正しい知識を持ってもらって、とても良い商品だから、若干高いけど長持ちするし、だから手にとってほしい、それを伝えること。


これは個人的な印象ですが、職人さんて、やっぱり良いモノを作っていれば売れると思っている人が結構いると思っています。
でもそれだけだと難しいんじゃないかと。
ちょっと商業ぽくなるからイヤなんですが。


でも、「良い商品」なだけじゃ売れなくて、そこにマーケティングを持ち込むことが大事だと思っています。


つまり伝統工芸品に売れる仕組みを作ることが出来たら、商品自体のクオリティは最高なので、そりゃ売れるでしょって思うわけです。


マーケティングみたいな横文字言葉を嫌う職人さんもいるとは思うのですが、でも僕は良いものは良いって伝えたいし、それで職人さんが潤うならとても良いことだと解釈しています。


昨今のクラウドファンディングなんかは、まさにこの考え方を具現化していると思います。
ちゃんとストーリーを伝えて、理解され賛同してもらえたら支援や購入に繋げることができる。


伝統工芸品や職人さんのストーリーを伝えることはステキなことだと思ったし、自分自身が熱中して取り組めると思ったので、それを会社の新規事業として扱えないかと考えました。


具体的にはターゲットを経営層とし、職人さんのストーリーを伝えて、高価格帯商品を買ってもらうみたいなメディア型のECサイト作れないかと。


これはまた、僕がやりたいと思っている実現したいことにもつながると思っていました。


「その人にとっては魅力的な事なのに、知らなかっただけで触れたことがなく損をしてしまっている人を減らしたい」


これが出来るなら最高なわけです。


現場に確かめに行ってみると・・・

そこで、「こういうサービスあったらどうですか?」を確認するべく、職人さんがたくさん集まっている町に飛び込みヒアリングしに行ったんです。


何軒か周る中で好意的に捉えてくれる職人さんはいました。
もっと自分たちの商品を広めたい、価値を知ってほしいみたいに考えている感じです。


一方で、
それってあなたたちのエゴですよね?とか、
ストーリーなんてない、生きるために作るだけだとか、
そんなサイトなくたって、売れてるから大きなお世話とか、
ストーリーならインスタで良くない?とか


肌感ですが、聞いた中の半分以上が僕らの考えたサービスに否定的だったように思います。
甘かった。本当に。


特に心に響いたのは、「あなたたちのエゴだ」ということ。
職人さんがどう思うか、何を考えているか。
自分自身はしっかり考えたと思っていました。
でもそれは僕たちが勝手に想像して、勝手に持ち込んだ考え方でした。


恥ずかしい。
失礼だったな。

これが入り混じった気持ちになりました。
適当な質問や提案をしたとは思っていませんが、そう捉えられてしまって、大変申し訳なかったなと。

この経験からの学び

職人さんに対して失礼な提案をしてしまったこと。
これ自体も学びではあったのですが、一番は、
新規事業を立ち上げて失敗する時ってこの感覚に結構陥りがちなんじゃないかということです。
つまり新規事業が僕たちのエゴになってしまっていること。


自分がこの事業案は完璧だ!と思ってしまったら、視野が狭まってしまって、実際は課題だらけ、誰のためにもなっていない、なのにそれに気づけない。気づこうとしない。


誰かのためになる(と思っている)サービスを提供したい、やりたいと思ってることはあったとして、しかし必ずしもタメになってるわけではないんですね。
しかもやっかいなことに、否定してくる人のこと敵かよって思ってしまったり。


そんな時に大事になるのが、考えた仮説に対して、冷静に俯瞰して見て、どうやって実証していけばいいか


これは新規事業だけでなく、様々なシーンで使えると思います。
今回は実証方法が「実際に聞きに行くこと」で、僕の仮説は「実証されなかった」わけです。


逆に言うと、間違ってたことが実証はされたんですけどね。
実証されなくてもゴリ押しして上手くいくこともあるんでしょうが、僕は今回心が折れました。折れない心が欲しいです。


そうだ、物理学だってそうだったじゃないか。
理論を作って、実験をしてようやく、様々なことが明らかになる。
アインシュタインの重力波のように、中には100年近くたってようやく実証されたものもある。

あり得ないくらい急に新しい事を思いつく人もいるけど、それって稀有な事で、なんなら裏打ちされる経験や才能があると思う。
そうじゃない人は、仮説→検証を繰り返して良いものに近づける必要があるんでしょうね。精進します。


何が言いたいかというと、エゴだけで新規事業出来ないの。
引き続きよろしくお願いいたします。

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