【ショートショート】「浮気の証拠はそこに」(1,922字)
「正直に言ってくれ。俺はただ、本当のことを知りたいだけなんだ」
リビングには沈鬱な空気が満ちていた。
達也はテーブルについた両手を握りしめて、向かいに座る美智子に言った。
「だから、心当たりなんてないって言ってるでしょ」
美智子は神経質な声で言った。片手ではかなり大きくなったお腹を無意識のうちにさすっていた。あと何か月もしないうちに、可愛い赤ん坊が生まれてくる予定だった。
「そんなこと、言葉でならどうだって言えるさ」
「じゃあどうすれば信じてくれるのよ。私が浮気