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《ショートショート集》

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傑作間違いなしのショートショート集です。たまに傑作以外も混じっています。探してみてください。
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2022年6月の記事一覧

【ショートショート】「彼岸に帰るのにうってつけのスピードで」(5,894字)

 彼岸を出発して例年そこそこの長旅になるところが今年はあっという間に此岸に着いた。今年は…

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【ショートショート】「ともだち条例」(5,282字)

 加賀谷町に“加賀谷町ともだち条例”が制定されたのは二〇二一年の年末のことだった。 “加…

6

【ショートショート】「余命『 』がつくまで」(3,000字)

「あなたの余命は『 』がつくまでです」  厳かな様子で、医師はそう告げた。 「ちょっとよ…

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【ショートショート】「その男の誕生を防げ!」(5,420字)

 俺の人生がめちゃくちゃになったのはあいつのせいだ。  それまで俺の人生は順風満帆そのも…

9

【ショートショート】「鳥人間グランプリ優勝者コメント(一部引用)」(3,792字)

 鳥人間グランプリとは、一九八〇年に滋賀県の琵琶湖ではじめて開催された人力飛行機の滞空距…

16

【ショートショート】「賃貸観覧車」(3,773字)

 小さなころから観覧車が好きだった。  お小遣いを貯めては遊園地で観覧車に乗ったし、アル…

9

【ショートショート】「浮気の証拠はそこに」(1,922字)

「正直に言ってくれ。俺はただ、本当のことを知りたいだけなんだ」  リビングには沈鬱な空気が満ちていた。  達也はテーブルについた両手を握りしめて、向かいに座る美智子に言った。 「だから、心当たりなんてないって言ってるでしょ」  美智子は神経質な声で言った。片手ではかなり大きくなったお腹を無意識のうちにさすっていた。あと何か月もしないうちに、可愛い赤ん坊が生まれてくる予定だった。 「そんなこと、言葉でならどうだって言えるさ」 「じゃあどうすれば信じてくれるのよ。私が浮気

【毎週ショートショートnote】「涙鉛筆」(444字)

「鉛筆専門店なんてあるのね。あれは?」 「『あみだ鉛筆』だよ。鉛筆の側面であみだくじがで…

29

【毎週ショートショートnote】「ショートショート王様」(410字)

 ショートショート王国という国があった。  ショートショート王国の国民は皆、ショートショ…

31

【ショートショート】「歴史を変えるものは」(800字)

「お前たちの中に一人、タイムトラベラーがいる」  総帥の言葉に、官房長官・最高裁判所長官…

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