見出し画像

競争から独占へ-ピーター・ティールZERO to ONEから考える企業戦略

こんにちは。
今回はPayPalの共同創業者であり、起業家・投資家として有名なピーター・ティール氏の著書「ZERO to ONE」を読んだので、そこから学び、活かすべきポイントを簡単に書きたいと思います。

独占こそすべて

まず本書で繰り返し強調されることは独占の重要性です。
ちなみに経済学の考え方で「独占」の反対は「完全競争」ということになります。

経済学の「完全競争」はおおまかに以下3つの条件を満たす市場の状態です。

条件1:市場に無数の小さな企業がいて、どの企業も市場価格に影響を与えられない。
条件2:その市場に他企業が新しく参入する際の障壁がない。その市場から撤退する障壁もない
条件3:企業の提供する製品・サービスが、同業他者と同質である。すなわち、差別化がされていない。

ざっくり言うと、完全競争では企業間の差別化は存在せず、売り手は同一の製品を販売。どの企業も市場への影響力はなく、市場が価格決定をする。新規企業が参入すると、供給が増えて価格が下がるため、参入者の目論んだ利益は消滅するなどなど・・・

この3つの条件から導かれる完全競争の帰結は、「企業の超過利潤がゼロになる」つまり、完全競争はまったく儲からないということです。

本書においても、「完全競争下では長期的に利益を出す企業は存在しない。」と述べられています。

だから企業は(本書では起業家は)、永続的な価値を創造してそれを取り込むためには、差別化のないコモディティビジネスを行ってはならない独占は、すべての成功企業の条件だということです。

というわけで、ここから独占企業に必要な要素や築き方を見ていきたいと思います。

独占企業の特徴とは

1.プロプライエタリ・テクノロジー

自社商品やサービスの優位性。2番手より少なくとも10倍は優れているもの。

2.ネットワーク効果

利用者の数が増えるにつれ、より利便性が高まるもの。ネットワーク効果は強い影響を持つが、そのネットワーク効果がまだ小規模な時のユーザーにとって価値がないと、効果は広がらない。逆説的だかネットワーク効果を狙うには小さな市場で始めることが重要。

3.ブランディング

ブランドとは企業に固有のもので、強りブランドを作ることは独占への強力な手段となる。ただ本質よりブランドから始めるのは危険であり、ブランディングだけでは独占は築けない。

独占を築く

画像1

小さく初めて独占する

どんなスタートアップも非常に小さな市場から始めるべき。理由は単純で大きな市場より小さな市場の方が独占をしやすいから。狙うべき理想の市場は、少数の特定ユーザーが集中していながらライバルがほとんどあるいはまったくいない市場。大きな市場での壮絶な競争から利益が出ることはない。そのプロダクトを本当に必要としている人達に訴求し、まずは小さな成功を収める。

規模の拡大

ニッチ市場を創造し独占したら、次は関連する少し大きな市場に徐々に拡大してゆく。分かりやすい例としはアマゾンが最初は本から始め次にCD、ビデオ、ソフトウェアへと徐々にカテゴリを拡大していった。正しい順序で市場を拡大するには自己規律が必要で、まずは特定のニッチを独占し、次に周辺市場に拡大する。

破壊しない

破壊に拘ることは、自分自身を古い企業視点で見ることになり、必要以上に敵を意識することになりかねない。既存企業と対比で語られる会社は新たしいとは言えず、独占企業になりえない。注力すべきは価値の創造であり、周辺市場に拡大を計画を練る際も、できる限り競争は避けるべき。

ラストムーバーになる

特定の市場でいちばん最後に大きく発展して、その後何年、何十年と利益を享受できなければ意味がない。そのために、小さなニッチを独占し、そこから長期目標に向けて規模を拡大していかなければならない。

以上、ほんの一部ではありますが、企業やプロダクトの独占の重要性や独占の築き方についてポイントを書いてみました。

本書は主にスタートアップ目線での書籍ではありますが、既存の企業やプロダクトの戦略にも貴重な示唆を与えてくれていると感じます。

これから益々商品はコモディティ化し、その行き着く先は価格競争です。そして価格競争において一瞬は安く買えて購入者は嬉しいかもしれないですが、利益がでないことで企業は儲からなくなり、新しいイノベーションへの投資ができなくなり、従業員への給与も上がらず、長期的には経済的にもマイナスになります。

グローバル化が進み、昨今はサステイナブルなどの言葉が多くで取り上げられていますが、本書の言葉を借りると、イノベーションなきグローバリゼーションは持続不可能です。

そしてその為には、競合を見た競争ではなく、顧客を見て、顧客の価値を考え続けることが大切だと学んだ1冊でした。

ありがとうございました。

良かったらTwitterもやっているので見てみてください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?