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ナイキ厚底シリーズのプロモーション-わずか3年で驚異の85%のシェア獲得のゲームチェンジ-

ここ数年NIKE厚底シリーズがランニングシューズ業界を席巻しており、
さらに世界陸連による使用規制のニュースによりさらにNIKE厚底への認知、興味関心は広がったと思われる。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200116/k10012248061000.html


自分もスポーツブランドに関わる人間として、ここ数年のNIKEのプロモーションには舌を巻くばかりだが、
色々調べているうちに様々な情報が集まったので、一度整理もかねて初noteにしてみました。

まずはこちらが箱根駅伝でのシューズブランドシェアの推移

シューズブランドシェアの推移

2017年までのアシックス、ミズノの2大勢力に対して、わずか3年で驚異の85%のシェア獲得。
圧倒的ゲームチェンジです。

そして巧みなマーケティング戦略もありますが、何といってもスポーツアイテムは結果。
着用アスリートが結果を出すのが一番分かりやすい中、圧倒的な記録の数々。

2018年2月の東京で設楽悠太(Honda)が2時間6分11秒
2018年9月のベルリンでエリウド・キプチョゲ(ケニア)が従来の世界記録を1分18秒も短縮する2時間1分39秒という驚異的なタイムを樹立
2018年10月のシカゴで大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が2時間5分50秒。
2019年10月のシカゴではブリジット・コスゲイ(ケニア)が従来の女子世界記録を1分21秒も塗り替える2時間14分04秒をマーク
2019年9月東京オリンピックのマラソン代表権をかけた大会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」TOP3を独占し、上位10選手のうち8選手が着用
2019年10月マラソン世界記録(2時間1分39秒)保持者のキプチョゲ(35)=ケニア=が非公認レースで1時間59分40秒の2時間切り
2020年1月箱根駅伝では、全選手の85%が着用し。さらに青学が厚底を着用し、大会記録を7分近くも短縮する10時間45分23秒で2年ぶり5回目の総合優勝

そして、日本のモメンタムに合わせた商品ローンチとプロモーション

・9月にMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)に合わせて発売されたピンクブラスト

ピンクブラスト

・駅伝シーズンに向けて12月に発売された「EKDEN PACK」の左足がオレンジ×右足がグリーンのデザイン

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プロモーションで特に記憶に残っているのは、2019年の箱根駅伝。
当時はまさに厚底で世界で結果が出始め、いっきにシェアを伸ばしたタイミング。

そこで実施したのが、Twitterで厚底着用選手数をリアルタイムで更新していく、「厚さは速さだ 勝つ気ならナイキ」キャンペーン。
本番前、本番中、本番後とTwitterのリアルタイム性とスポーツのモメンタムを活用したことで、多くの話題性、認知をとった。

大会前:12/28-1/1
複数のクリエイティブを用い、駅伝やスポーツ、ジョギングへ興味関心のある層へエンゲージを目的とした広告を配信

大会前

大会前2

大会中:​1/2-3
期間中はリアルタイムで更新し、Tweetも拡散。キャンペーンサイトを設け、Tweetからのサイト誘導を図った

大会中

大会終了後:大会終了後はエンゲージしたユーザーに対してリターゲティング

大会終了後

そして2019年9月のオリンピックをかけた注目の大会MGCでは、アスリート達が下記ハッシュタグで投稿

もっと厚く
もっと速く
#厚さは速さだ

さらにオウンドからの下記発信は一般ランナーを強く意識したメッセージと取れました。

常識を打ち破った2人
設楽悠太の足幅は狭く、大迫傑の足幅は広い。
しかし、2人は市販モデルを履いて、常識を打ち破った。
履いた人から気づく、足幅の真実。
ナイキは、足幅を選ばない。

そして、、なんといっても、、秀逸だったのは、、「ピンク」
出走30人中16人が、ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%の新色「ピンクブラスト」を着用し、センセーショナルな“ピンク広告”が話題をさらいました。

実際現地に行っていましたが、下記の選手たちの足元には度肝を抜かれました。

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(自分撮影)


その後の2020年の駅伝では周知の通りの結果ですが、
ここへきて国産メーカーのアシックスとミズノが反撃に出ようとしています。

アシックスは、昨年2月に『メタライド』という厚底タイプを発売
ミズノも今夏の新製品発売を目指して、同社のサイトに「本気の反撃」という予告ページを開設
箱根の最終10区で区間賞を奪った創価大・嶋津雄大選手は、真っ白なシューズを着用していましたが、それがミズノのプロトタイプだったようです。

これから東京マラソン、オリンピックとスポーツのモメンタムが目白押しです。
各所の動向には引き続き注目していきたいと思います。

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