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遺産相続手続き【他者にまかせるもの】

相続とは、亡くなった方が保有していた財産(権利や義務)を相続人である配偶者や子などが引き継ぐことです。

遺された者には、前々回記事にした葬儀屋法要や納骨と同時に、
前回記事にした各種届出や手続き等や、遺産相続手続き等、期限が決まっていたり、やるべきことがあります。

今回はその中でも、遺産相続手続きについて記事にします。

亡くなった後に【他者にまかせるもの】把握したうえで、遡って、生前にできることを考えていくと、よりご自身に必要な終活のスタイルもみえてくるとと思いましたので、これらも”終活”の一部として記事にしています。

【他者に任せるもの】
1.葬儀や法要や納骨
2.届け出や手続き(年金・公共料金・世帯主変更・生命保険など)
3.遺産相続手続き
4.家財や身の回りの物の整理と処分
5.遺族の生活(遺族年金・遺族給付)

【時系列とやること】
・被相続人が亡くなった時点 で財産の相続が始まる
 (相続人全員の共有財産となる)
・遺言書を探し、内容を確認する
・相続人を確認する
・相続財産を確認する
・相続人で話しあう(遺言書がない場合)
 遺産分割協議 遺産分割協議書を作成
・3か月以内 相続放棄等の手続き
・4か月以内 所得税の準確定申告
・10か月以内 相続税の申告と納付 
・財産の名義変更・登記・手続き・処分等

●全体の期限としての注意事項
・期限を守らなければ手続きができなくなったり(ペナルティがつく)するものがある。
・相続(民法)は”相続の開始を知った日”が期限の起算日となりますが、
税金関係の起算日に関しては、”相続の開始を知った日の翌日”が、
期限の起算日となります。


被相続人が亡くなった時点で財産の相続が始まり、相続人全員の共有財産となります。
そのため ”誰が” ”どのような財産を” ”どのような割合で引き継ぐか”
が、ポイントになってきます。
また、マイナスの遺産があった場合に相続放棄等の手続きをしたり、
相続した場合は所得税や相続税の申告と納付等の手続きが必要になります。
更に、名義や登記のあるものは、遺産分割協議書を作成しただけでは相続人のものにならないため、名義変更や登記の手続きは必要です。

〇遺言書
〈遺言書を探し、内容を確認します〉
相続人が確定し、遺産分割協議書を作成した後でないと相続手続きができないため、遺言書があるとスムーズに遺産相続ができます。
 エンディングノート等に遺言書自体ががあるかないか、あるならばどこにあるかを記載し、信頼できる方に記載したことと場所を伝えておくと、遺言書を探す手間もなくなります。
下記リンクの「【自分でできるもの】の遺言や遺言書の作成の記事」にも、
作成のポイントや種類や各々の特徴を理解したうえで、それぞれにあった方法を選択できる
ように詳細を書いています。
どの種類の遺言書でも共通していることは、相続の手続きが早くでき、遺された者の負担を軽減でき
ご自身が希望される遺産配分を指定できて相続人以外にも財産を残すことができることです
また、法的に有効な遺言書がある場合は遺産分割協議を行わずに済むので、遺言を執行する遺言執行者を決めておくことで遺産分割手続きを円滑におこなうことができます。遺言書を作成して遺言執行者を決めておくことは、相続人の中に遺産分割協議に参加することが難しい人がいる場合(認知症や知的障害などにより)、その人の相続の権利を守ることもできますので、よりおすすめします。

〇相続人を確認する
亡くなった方を被相続人、その方の財産を受け継ぐ方を相続人、と言います。
相続人の対象者と優先順位は民法で決まっています。
配偶者・第一順位 子(孫)直系卑属 ➡ 第二順位父母(祖父母)直系尊属 ➡ 第三順位兄弟姉妹(甥姪)となっています。
・配偶者と第一順位の子や孫(自分より後の世代で直系卑属)がいる場合、相続人になります。
子には養子縁組をした養子が含まれ、結婚して姓が変わった子や、婚姻関係外で生まれた子(認知した子)も含まれます。子の配偶者(嫁婿)は子にあたりません。
・相続人である子がすでに亡くなっている場合は孫に相続権が引き継がれ、そのことを代襲相続といいます。
・第一順位の子や孫がおらず、父母や祖父母(自分より前の世代の直系尊属)が存命の場合は、第二順位の父母が相続人になります。
第一順位と第二順位が居ない場合は、第三順位の兄弟姉妹が相続人になります。その中に亡くなっているものがいる場合は甥姪が代襲相続人になります。
相続人が居ない場合は、亡くなった方の面倒をみていた方(事実婚の配偶者や親族)などが所定の手続きを経て遺産を引き継ぐことができます。原則は国の財産(国庫)になります。


〇相続財産を確認する
遺産分割の 対象となる財産 と 対象とならない財産 があります。
また、プラスの財産(権利)とマイナスの財産(義務)があり、どちらも含まれます。
・対象となる財産
(プラス)金融資産 不動産 会員権 貴金属 絵画 骨董 家財
(マイナス)クレジットカードの未払い金 医療費の未払金 住宅や車のローン 借金の保証人など
また、生活の資本として今までに贈与(無償で自分の財産を渡す契約)された財産 結婚時持参金 自宅購入資金 独立事業資金 などがあります。
・対象とならない財産
死亡保険金(保険金受取人の財産)
仏壇・仏具・お墓・家系図など(祭祀継承者の財産)

〇相続人で話しあう(遺言書がない場合)
相続人が定まったら、財産をどのように分けるか決めます。
(遺言書がある場合は遺言書に記載の分け方が優先になります)
・遺産分割協議
遺言書がない場合は、遺産分割協議といい、相続人全員で財産の分け方を話しあいます。
・遺産分割協議書を作成
遺産分割協議がまとまったら、全員が合意した内容を遺産分割協議書を作成します。相続人全員の住所と名前を書いて実印を押します。
・遺言書以外の方法で分ける
相続人全員と、遺言書で財産を受け取ることになっている人と、遺言執行者(遺言の内容を実現する人)等関係する人全員の承諾がある場合は、遺言書以外の方法でわけることもできます。
・法定相続分
民法によりそれぞれが相続する財産の割合が決められており法定相続分といいます。
誰が相続人になるかによって割合が変化します。
遺言書がなかったり、相続人同士で話し合いがまとまらない場合の目安です。
・遺留分
配偶者と子(孫)と父母(祖父母)に認められた最低限相続できる権利で、それぞれ法定相続分の半分が相続できます。父母(祖父母)のみが相続人になる場合は法定相続分の1/3が相続できます。
遺留分の権利は、一定期間内に請求しないと有効になりません
(相続または遺留分が請求できることを知ったとき(起算点)から1年以内)
長く音信不通で被相続人の死を後日知ったような場合などは、起算点の認識の違いで行き違いが生じることがあるので、専門家(弁護士さん)の手助けがあるとスムーズにいくでしょう。
●もし音信不通の親族等がいる場合は、いつどのように報せたか、それを証明できる人や記録はあるかなどを整理しておくと役立つでしょう。

〇相続放棄等の手続き
亡くなった方の借金やローンが多額だったり金額がわからない場合は、相続放棄や限定承認を行うことができます。
・相続放棄
相続人が単独で家庭裁判所に申し立てることができ、起算日から三か月以内に手続きを行います。
・限定承認
相続人全員で家庭裁判所に申し立てなければなりませんが、プラス財産の範囲内でマイナス財産を引き受けることになります。
●注意事項は
、相続放棄をすると、相続人ではなかったことになるので、代襲相続もなくなります。また、相続財産の一部でも処分してしまうと、期限内に手続きをしても相続放棄や限定承認ができなくなります。
財産調査に時間がかかる場合は、申請により期限を延長することもできます。

〇所得税の準確定申告
・準確定申告
亡くなった方の年金収入が400万円を超えている場合や年金以外の所得が20万円を超えている場合、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に、亡くなった方の住所を管轄する税務署に所得税の申告をします。

〇相続税の申告と納付 
相続税がかかる場合、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、亡くなった方の住所を管轄する税務署に申告をして税金を納めます。
相続税には様々な特例があり、適用すると実際には税金がかからない方が多くなりますが、その手続きのためには申告が必要になるため、専門家(税理士さん)や税務署などに相談し、相続税がかかるか、かかる場合はどのくらいかかるかを確認する必要があります。

〇財産の名義変更・登記・手続き・処分等
遺産分割後に手続きできるものとして、下記のものがあります。
名義や登記のあるものは、遺産分割協議書を作成しただけでは相続人のものになりません。
期限はありませんが、名義変更や登記の手続きは必要です。
 預貯金
 株や投資信託等
 会員権
 自動車
 不動産
 亡くなった方が契約者である生命保険
 その他の財産
「届け出や手続き【他者に任せるもの】」にそれぞれの詳細を記載していますので、あてはまるものを選択して手続きを行います。


遺産相続については、それぞれ個別のご事情もあると思いますし、専門家の資格がないとできない部分もあります。
相続税に関しては税理士さん
必要な戸籍謄本類の取得等が難しい場合は行政書士さんや司法書士さん
法律上での問題が発生した場合は弁護士さん
など、専門家のお力やお知恵をお借りしつつ行うことになります。

次回の記事では「家財や身の回りの物の整理と処分」を、更に次の記事では「遺族の生活(遺族年金・遺族給付)」について記事にしていきます。

その後、【人生の後半期を支える様々な制度の把握と整理】の中で社会保障制度・年金制度・公的医療保険制度・公的介護保険制度・高齢者住宅と施設・成年後見人制度などの内容について詳しく記事にしていきます。


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