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響け!ユーフォニアム3 第8話 感想&考察

響け!ユーフォニアム3の第8話が個人的に素晴らしかったので私が感じた感想と考察を書いていきます。

もちろんネタバレを含みますので、見ていない方はご注意を。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

毎年、恒例の合宿編。個人的には、京阪バスが出発するときの作画(1回反対側に振って切り返すところ)が作りこまれていて好きでした。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024


先生方の指導が熱くなるシーン。何度も「もう一度、もう一度」と言い、練習を繰り返すシーン。タイトル「なやめるオスティナート」にあるオスティナートとは、同一声部で同一音高の音型が反復されるものという意味である。このタイトルの意味は、このシーンにつながっていると感じています。

8話の見どころは、3つあったと感じています。
・真由と久美子の対立シーン
・緑輝と求のシーン
・オーディションの結果発表シーン

その3つに焦点を当てて、感想&考察していきます。

①真由と久美子の対立シーン

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
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脱衣場で真由が久美子にオーディションを辞退しようかと話しかけるシーン。話しかけられても真由の顔を見ず、鏡越しで話していた。それだけ久美子が真由に対して心を開いていないことや警戒心が強いことを表現している。

「オーディションの辞退」についての2人の会話は3期に入ってから何万回も観たシーンだ。自分の勝ちを確信しているような言い回しに久美子が真由に対して切れる。

久美子は、いつも傍観者でどこか冷めている気持ちがあるキャラクター性で
これだけ感情をあらわにしているシーンは全国前のあすか先輩のシーン以外なかったので個人的に驚きました。

北宇治は完全実力主義だと真由に対して説得する。真由はそれは建前の話だと主張。久美子は、「私が入学してきたときはうまい人が吹くのではなく、上級生に譲るという文化があった。でも、北宇治のみんなで変えてきた」と語る。真由は、しぶしぶ納得する。

真由は、久美子に建前について(部長としての久美子の意見)を聞きたいわけではなく、久美子の本音(奏者としての久美子の意見)を聞きたかったと感じました。「私もソリ(ソロ)の部分弾きたいからかかってこいや!!」みたいな感じを期待して本音を語れる脱衣所で話しかけたと感じています。

②緑輝と求のシーン

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
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©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
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ユーフォの師弟関係といえば、この2人を思い浮かべる人が多いだろう。
オーディション前に求に呼び出された緑輝。求は緑輝に何を伝えたのであろうか。告白かはたまた亡くなった姉と緑輝を重ねていることをはっきりと伝えたのか、アニメでは直接は描写されていなかった。

大事な話を聞いた後に緑輝が聞いていた「子犬のワルツ」は自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回る様子を表した曲。姉の幻影を追いかけていた求も、求の抱えていた気持ちを知った緑輝も、一歩前へ進んだという表現方法。

求と緑輝がどこにたどり着いたのか、凄く静かに飾らず教えてくれるこの場面、大変良かったです。

久美子に「求君になんて言われたの?」と言われたけど、教えないと答えた緑輝がいい子過ぎて、後輩の求君の尊厳をしっかりと守るために。
滝先生LOVEの麗奈が滝先生からもらった缶ジュースをあげるほど緑輝が落ち込んでいたのかはたまたは麗奈自身が成長したのか。

一方、奏は消灯後に自販機でジュースを買うという青春を謳歌していた。その帰り際に見た求の後ろ姿。何かあったことを察し、ジュースを置いて慌てて逃げるシーンがとても私のお気に入りです。いつも求に突っかかっていた奏の不器用な優しさが垣間見えたいいシーンだと感じました。

③オーディションの結果発表シーン

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

オーディション結果発表前の朝食のシーン。相変わらずこの3人のシーンは胃が持たないですね。ここで真由が奏に対して、みんなで一緒に吹けたらいいねと投げかける。それには、本心で言っています?と返す。この後のオーディション結果発表のシーンにつながってくる。府大会でさつき(先輩)を差し置いて抜擢されたすずめ(後輩)が仲良くしているシーンと対比されているシーン。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

とうとうオーディション結果発表。部内に緊張している雰囲気が漂っている。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
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まさかのさつきIN、奏OUTでチューバ4人、ユーフォニアム2人編成に変更。周りも驚いている様子だったので、奏もかなりの実力者だということが推測される。特に奏の親友、梨々花が心配そうに奏を見ているシーンが印象的でした。私は、親友が心配そうにこちらを見つめてくる視線は余計に傷つくタイプなので余計に奏がつらそうだと感情移入できました。

全国大会レベルになると、音の大きさはもちろんのこと低音多めの編成になると私の親友から聞いたことがあります。
では、滝先生はなぜユーフォニアム3人、チューバ3人編成ではなくユーフォニアム2人、チューバ4人編成にしたのか考察していきます。(あまり音楽のことは詳しくないので素人目ですが)

単純に真由と久美子のレベルが高かったと推察します。清良女子(全国常連)から転校してきた真由と互角にソリの奪い合いをしている久美子は相当レベルが高く、少なくとも全国で演奏できるレベルに達していることがわかります。逆にチューバは経験者が少ない点も見越して、滝先生の采配がこのようになったと感じています。

数値化すると、
ユーフォニアム:真由(1.5)+ 久美子(1.5)=3
チューバ:葉月(1)+ 美玲(1)+ さつき(0.5)+ すずめ(0.5)=3


©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
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各パートのソリの発表シーン。トランペットは麗奈、コントラバスは緑輝と次々とソリストが呼ばれていく。府大会とは変わり、ユーフォニアムのソリストは真由になった。
滝先生がユーフォニアムのソリストを発表するときに、久美子の口が微妙開いているシーンがとても印象的でした。心の奥底では、自分が選ばれるだろうと無意識に感じていたのかもしれません。

ソリが真由に選ばれた瞬間、部内がざわつき始める。真由が恐れていた展開になってしまった。ほぼ2人の実力差がなく、部長として頑張ってきた久美子を差し置いて、3年生から転校してきた真由がソリを奪ったら現実世界でもこうなるだろう。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

麗奈の表情で、麗奈は真由と久美子どちらが選ばれるのかわかっていたことが描写されている。

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
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©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
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ソリを奪われた久美子は呆然とした表情を浮かべる。
真由にソリを奪われたことが徐々に現実化される久美子の心情を
蜘蛛の巣にアゲハ蝶がとらえられている姿が徐々に鮮明になっていくという演出で表しているのが、すごく京アニっぽくて素晴らしいと感じました。


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