詩 その8 (20篇)
気づかない
振り返ってみたら
どうしようもないくら
無駄だと思うような
時間が懐かしくなるのは
なぜだろう
下を向いて
出した首でさえも
引っ込めたくなるような
今の僕を支えてくれている
胸を張って
前をみて生きてゆければ
どんなに素晴らしいかと
願うけれど
胸を張って
前をみて生きてゆけば
下を向いて歩くあいつの
歪んだ表情は
見えないだろう
あいつの視線の先にあるものも
あいつが背中に負ってきた人生も
あいつが肩に担っている責任も
あなたが視線の先にあるものも
あなたが背中に負ってきた人生も
あなたが肩に担っている責任も
そうして
胸を張って歩く清々しさも
前を向いて歩く大切さも
下を向いて
歯を食いしばって
何をやっているんだろうを
悩み続けた
日々の重さだけしか
気付かない
願うだけの
娘が当たり前のように
膝元までやってきて
抱っこ!抱っこ!と
せがんでくる
私は
当たり前のように
この子達の
面倒をみてやれるだろうか
この子達の一生を
見守ってやることなんて
できないから
せめて
この子達の
一生を
神様に
お願いするけれど
胸を張って
お願いするだけの
生き方を
やってきたろうか
せめて
神様に話を聞いて
もらうだけの
生き方を
今日もしなければ
信仰心
目覚めて
すぐに泣きながら
母を探しはじめる
赤児のように
目覚めてすぐに
神様に
感謝の言葉を
探すような
信仰が
僕に
あるだろうか
目覚めることも
眠ることも
息をすることも
食べることも
お話ししたり
笑ったり
どんなことも
神様のお働きだって
毎日
子供たちに
教えているのに
僕に
どれほどの
信仰心が
あるというんだろう
騒がしいモノ
騒がしいモノ
頭の中から
脳ミソの中から
耳クソをほじくるように
取り除きたくて
ウズウズする
雑音が気になってしかたがない
異臭が気になってしかたがない
目の前の光景が遮って
嫌いなモノばかり目に入る
だから
素直な心にはなれません
素直な自分にはなれません
なにかのせいにして
言い訳ばかり
心の中で繰り返します
だけど
心の中で
望んでいるモノは
決して自分だけの為じゃないと
信じたい
誰かの唖
周囲のために願いたいと願いながら
やっぱり
自分のことだけ
考えている
雑音が気になってしかたがない
異臭が気になってしかたがない
目の前の光景が遮って
嫌いなモノばかり目に入る
だけど
気にならなかったならば
きっと
なおそうとは思わないよね
だけど
気になるモノがなくなったなら
本当にイヤなモノはみえなくなるのかな
それとも
どんなことも気にならないくらい
平然とできる自分にならなきゃいけないの?
さわがしいもの
騒がしいモノ
頭の中から
脳ミソの中から
耳クソをほじくるように
取り除きたくて
ウズウズする
美しいもの
綺麗に絵画を描けるならば
美しいものを描きたいけれど
僕には美しいものが
なんなのか
実はよく
分かっていません
誰かに
綺麗だよと花や服をみせられても
本当は
うなずくフリをしているだけです
美しいと
感動したことは
人生の中でなんどもあります
それは雲海であったり
星空やお月様であったり
夕日で逆光になった
誰かの後ろ雄がたっだったりします
でも
その瞬間は突然に訪れるので
時間の経過とともに
忘れてしまうのです
だから
思い出して
描こうとしても
うまく描けないので
いらいらとして
諦めてしまいます
写真に残そうとしても
センスがないのか
現像したものは
あまり美しいと思えません
だから
せめて言葉に残そうと
言葉をいつも探しています
その瞬間、首運感に
一番相応しい言葉を
一生懸命に探しながら
その瞬間を思い描いていると
なんだか
その瞬間に
もっとも近い風景が
心に残っていくような
気がするのです
ゴミの日
ゴミの日
ゴミを出す僕は
もったいないものを入れたまま
袋に詰めていなかったか
今までに生きてきた時間の中で
身につけたものや口に入れたもの
手に入れた道具と
同じくらいの働きを
僕はしてきただろうか
恐ろしくなる
神様に
足りない分の差額を
しっかりと支払うように
言われても
支払う方法さえ
見当も付かない
せめて
いろんなものを
つつしんで
「もったいない」
「もったいない」と
神様に
お詫びをしたり
感謝したりしながら
僅かでも差が縮まるように
怠けたい気持ちと
闘っていこう
春の水面
きらりきらりと
春の水面
私の顔を映すのが
申し訳ないほどの光
二日酔いと
寝不足には
耐え難いほどの
輝きが
私の歩んできた道の
醜さを
クローズアップしているようで
日の当たらぬ
まだ寒い
場所を探しながら
歩いている
下を向きながら
川の流れが
海を目指すように
心や言葉も
流れやすい方へと
むかってゆく
ちょっとした冗談も
怒りにまかせた暴言も
流れやすい方へと
流れてゆく
孤独を嘆く人の胸には
きっと
誰かを見下したような
濁りが存在しているだろう
誰かに愚痴を聞かされる人は
幸せだ
誰かに暴言を吐かれる人も
幸せだ
誰かに叱られたり
誰かにかわかわれたりしながら
心の器を
大きくしたり
深くしたり
でも
そんなことを
理解しようと
努めながら
それでも
つい
怒りやすい方へ
怒りをぶつけて
いないか
そんなことはないと
口にしながら
仏頂面で
タタミの縁を
睨んでいないか
仮面
仮面をつけて
今日も
町へでよう
夫だとか父だとか
兄だとか
年齢だとか
ころころ代わる
仮面をつけて
身体の一部になった
眼鏡のように
ころころ代わる
仮面をつけて
今日も
町へでよう
演じる
僕に
酔いながら
ころころ代わる
仮面をつけて
今日も
町へでよう
パンクパンクパンク
パンク パンク パンク
ばく ばく
ふらふら
あたまが破裂
こころも ばっくり
がっくり バースト
カップラーメンを
待つように
三分待って
貼り付けましょう
しっかり
ヤスリもかけましょう
団扇で
頭も冷やしましょう
心の隙間を
少しずつ
縫い合わせたり
貼り合わせたり
パンク パンク パンク
ばく ばく
ふらふら
あたまが破裂
こころも ばっくり
がっくり バースト
三分待って
秋待って
身体も
心も
冷やしましょうか
疑い
一つの事件
接点は
ないはずだった
だけど
誰かを
疑ったり
疑われたり
誰かの評価が
聞こえてきたり
人の心の
暗闇も
天災のように
突然
誰かを飲み込んでゆく
嵐が
過ぎゆくまで
よどんだ空気か
浄化するまで
本当のことは
きっと
分からない
でも
暗闇の中
不安になって
誰かを
理由なく
傷つけていないか
千鳥足で
未来を考えれば
考えるほど
下を向いてしまうのは
なぜでしょう
夢見るときは
上をみてるのにね
胸を太陽に向け
闊歩するような
ガラじゃないから
紅灯の巷を
千鳥足で
歩いているのです
きっと
待ってくれる
誰かがいるから
立ち止まって
うずくまって
眠ってしまうこともなく
何もないような
顔を作って
今日も
部屋のドアを
勢いよく
開くのです
作り笑い
瞳から言葉が消えたのは
いつからだろう
目元から
メッセージが消えたのは?
表情のない世界で
不安になって
怖くなって
誰かを
嫌いになってゆく
誰の前を
横切るときも
大声ではしゃぐ
子供たちを
ピシャリと
叱りつけたあと
作り笑いを
浮かべようとして
できないでいる
カメラ
好きな食べ物には
きっと
理由があるでしょう
おいしい!!
だけでなく
思い出したくなるような
記憶が
くっついてくるんだから
なつかしい
アルバムを
手にしようと思うとき
やっぱり
好物を食べたくなります
大好きだった曲を
聴きたくなります
大好きな風景
大好きな匂い
大好きな歌
大好きな家族
どれほど大きくなって
どれほど離れて暮らすことがあったとしても
ときどき
思い出して
元気になってほしいから
だからお父さんは
今日も
君たちの笑顔を
撮っているのです
痛み
いつも誰かに責められている人は
気が小さいだけかもしれません
もしかしたら 自分勝手なところがあるかもしれません
笑われるような容姿かもしれません
もしかしたら 怠けているようにみられているのかもしれません
いつも誰かを責めている人は
責任感が強いのかもしれません
もしかしたら 孤独を紛らわしているのかもしれません
素晴らしい容姿で 大勢の仲間がいるかもしれません
もしかしたら 本当は嫌われているかもしれません
いつも誰かに責められている人
いつも誰かを責めている
心の中にある闇は
いったいどちらが深いでしょう
負った傷は
どちらが痛むでしょう
私にはわかりません
誰が正しいとか
誰が間違っているとか
私にはわかりません
だけど
誰かの痛みに気付かないと
誰もが
幸せになれないような
気がします
棘
刺さったまま 抜けないでいる棘が
胸の中に疼いて 困ります
言葉にすれば
情けないくらい
恥ずかしいようなことは
本当は
一番苦しかったりするのです
誰かを責めるような言葉は
簡単に口からでてきます
でも
誰かの痛みに気付かないまま
僕はいつも通り過ぎています
責任も
プライドも
罪悪感も
倒れそうなほど積もった恨みも
窒息しそうなほど 沈み込んだ悲しみも
そして
生きるための渇望も
過ぎゆく景色の中
消えてゆく人々に胸に
突き刺さっているのに
あの頂きに
全ての道が ローマへと続くならば
千鳥足で昨夜歩いた 路地からでも辿り着けるだろうか
すべての道が頂上へとむかうならば
明日歩いている道は 今日よりも近づいていてほしい
行き止まりの道を引き返し
袋小路で迷いながら
この道を歩いている僕は
明日が今日よりも
あの頂きに近づきたいと祈る
中腹で煙草をふかしているときも
もう登れないと弱音を吐いているときも
こころのどこかでは
あの頂きに近づきたいと祈っている
休めない
休めない
休めない
この夜は
休めない
暗闇には遠い
あかりが眠りを奪う
止まない騒音が
孤独を奪う
見たくもない紅灯が
誇りを奪う
降り続く雨が
生きる力を奪う
私が
明日を迎えることが
できなたらば
この雨は
静かに止んでいるだろうか
雨が当たらない場所
探し疲れて
泥んこの地べたに
しゃがみこんでいる
シャッターチャンス
ファインダーを覗いて
見えてくるのは
子供たちの眩しい未来
お年寄りの笑う目尻の皺
夕暮れてシルエットしか見えない鳥の群れ
ダンゴムシとにらめっこする大きな黒目
どうしても
シャッターチャンスを逃してしまう僕は
せめて
言葉で
その瞬間を
切り取ろうと頑張るのだけれども
やっぱり
どこか
ぼやけてしまうのです
遠い記憶が
子供たちが
深い眠りを探すように
遠い記憶を
辿っている
家族がひとり ふえるごと
こどもがひとり 生れるごと
幼き日に聴いた
わらべうたを
ころりころりと
思い出してゆく
娘をひとりあやすごと
ぐずつく息子が泣き出すごと
幼き日に聴いた
わらべうたを
ころりころりと
思い出してゆく
子供たちが
深い眠りを探すように
わらべうたを聴かせながら
遠い記憶を
辿っている
赤とんぼが
田園に舞うように
短編の映画のごとく
遠い記憶が
つながってゆく
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