つかまえて手術して元いた場所に戻すと地域猫が生まれる

英単語の頭文字からなる三文字略語が覚えられない。特にそれが何の略なのか、が壊滅的に覚えられない。

USA(アメリカ合衆国)がUnited States of Americaの略であることは、さすがに覚えている。SNSはSocial Networking Service、URLは……なんの略だっけ? 世界は三文字略語であふれすぎている。

そして猫歌人である僕の前に新たに現れた三文字略語「TNR」。地域猫活動の用語なのだけれど、これを機にちゃんと覚えましょう。

Lesson.1:「T」は「Trap」

「T」は「Trap」。つまり「捕まえる」ということ。
「トラップ」と聞くと、日本では「陥れる」みたいな、ちょっとネガティブなニュアンスに聞こえる。英語圏だとそうでもないのかな。日本で猫を捕まえるときには、たぶん「捕獲器」が一般的。あまり想像したことがなかったけれど、考えてみると「用心深い外の猫を捕まえる」のってすごく大変そう。温厚な我が家の猫ですら病院に連れて行くときは、逃げたり、隠れたり、暴れたりしてキャリーバッグに入ってもらうのにひと苦労なのに。

Lesson.2:「N」は「Neuter」

「N」は「Neuter」。「(動物に)避妊去勢手術をする」という意味らしい。
さすがに受験英語には出てこなそうな単語で耳慣れない。避妊去勢手術は、不幸な猫が増えないようにするための手段なのだけれど、例えばオスを去勢すると、ケンカが減って、ケンカによるケガが減って、ケガからの感染症が減って、結果として病気が減る……など副産物的にいいことがたくさんあるらしい。
……で、この避妊去勢手術のときに「この猫は避妊去勢されていますよ」という目印として耳をV字にカットするのが通例。耳がカットされていると「地域猫」とみなされて、殺処分の対象にならない、という利点もある。

外で耳がカットされている猫を見かけたら「ああ、地域猫なのだな……」と、少しだけホッとする。

Lesson.3:「R」は「Return」

最後の「R」は「Return」。釣り界隈で耳にする「キャッチ&リリース」というフレーズから「Release(解放する)」と混同しがちだが「Return」が正しい。「(元いた場所に)戻す」ということ。これ、テストがあったらひっかけ問題で出題されそう。だまされないで!

こうした活動が、各地で継続的に行われ、行政による猫の殺処分は年々減少している。数字だけを眺めてもピンとこないけれど、改めて考えてみると、外の猫を相手に、ひとりひとりが手足を使った地道な奮闘の結果なのだ。
猫のための活動をしているすべての人に、心から頭が下がる。

「T」は「Trap」(つかまえて)、「N」は「Neuter」(手術して)、「R」は「Return」(元いた場所に戻す)。

TNR:
つかまえて手術して元いた場所に戻すと地域猫が生まれる

と、短歌にすると覚えやすいでしょう。

そんなそんな。