見出し画像

アラフィフ 秋のファッション さてどうする?

若い頃は黒ばかり着ていた。

黒でなければグレー、あとは白。

80年代のバブル真っ盛りの頃、大手デザイナーズブランドに就職し、全身自社ブランド一色で店に立つ。気分は毎日がコレクションのショーのような華やかさがあった。計算され尽くしたパターン、吟味された素材、丁寧な縫製で仕立てられた最先端の洋服たちは、若い身体によく映えた。デザイナーのこだわりがいっぱい詰まったそれらはもはや洋服というより作品。一つ一つが主張を持って、いい加減な気持ちでは負けてしまうパワーを宿していた。袖を通すとピンと張りつめたような緊張感が全身に走る。3センチくらい身長が伸びたような気分になる。とても気持ちがいい。自信がみなぎるような感覚。

若い身体は背筋が伸び、全身についたバランスの良い筋肉によって服のシルエットを美しく整える。肌は透明感があってきめ細かく、髪は艶と弾力があり服の素材に負けないパワーでそのマテリアルを一層底上げする。

そう、若さゆえの着こなしというのは、否めないことなのだ。誰がなんと言おうと、美しい。特にデザイナーズブランド特有の、こだわり抜かれた黒はあの時の若さがあってこそ、着こなせたのだろうなと思う。

もちろん、ご年配の白髪ヘアにノーメーク、迫力満点に着こなされる妙齢のカッコいい先輩方もおられるが、かなりの個性でハイレベルな着こなしはかなり目立つ。色んな意味で。そっち側の方たちという、一種独特の雰囲気を纏われている。それはそれでご立派。

しかし私的には、年を取ってからはもう少し柔軟なファッションを楽しみたい。「今現在」だからこそ似合うものというのはあるはずだ。

例えば花柄。これはとても振り幅が大きい。考えようによってはかなりのハイリスクとも言える。しかし上手く取り入れればかなり効果的。これを着こなすにはどうするか。

一概に「花柄」といっても千差万別で、去年辺りから流行っているのはヴィンテージ感のある小花柄。クラシックな雰囲気のワンピースなどでヨーロッパのラグジュアリーブランドが発表したのを機に、そのような雰囲気のものを翌年以降日本のメーカーがこぞってコピるというのは常套手段だ。

この秋もヴィンテージな小花柄は沢山ショップに並んでいる。

しかしこの小花柄、意外にも難易度高し。それこそ若くて肌も髪も美しい女性が着ると、それはそれは可愛らしく上品だ。薄手で襟の詰まったヴィンテージの花柄ワンピースに、例えばレザーのショートブルゾンをはおり、ちょっとゴツめのレースアップブーツを素足に合わせたりするとクラシカルでモード感いっぱいの旬の着こなしになる。

これを私達アラフィフ世代がやるとどうなるか。・・・昭和ですね。そして肌寒いからと地味なカーディガンとタイツでも合わせようもんなら、もう単なる「寒くて重ね着しないと冷え性なもんで」の地味なオバハンになってしまう。

小花柄というのはクセモノだ。下手をするととても辛気臭い。とても地味。アラフィフ世代の皆様、お気をつけくださいませ。

では、一体どうやって花柄を楽しむか。テーマは「華やかさ」「色っぽさ」これに尽きる。自身をバラの花のように演出するのだ。かといって、本当にバラの花柄を着るのではない。本当に着ちゃったらそれこそ高島屋の包装紙を着た、どこぞの奥様?になってしまう。そしてお決まりの地味なカーディガンを合わせてしまって、またもや昭和のオバハンまっしぐら。

違う違う!そうじゃない。さてどうする?

私的に花柄を取り入れるとすると、ズバリ、ストールですね。しかもハッキリとした柄ではなく、花柄の「ニュアンス」を効果的に使う。美しい色とりどりのストールは、例えばガーゼのような軽い感触のカシミアシルクなどの素材を選ぶ。間違ってもツルツルした分厚いサテンではない。マットで柔らかくて軽くて、歩くとフワンフワンと揺れるような質感。長さはたっぷり180センチは欲しい。ぐるぐると二重に巻いても余るほどでないとニュアンスは出にくい。

花を飾るベースは、シンプルな黒のニット。秋は胸元が広く開いたハイゲージの薄手のニットなどが女らしい。それにフワフワの華やかな花柄ストールを巻いて、その上質な素材の質感を首やデコルテに直に感じるとより一層優雅な気分に浸れる。

メークは深みのある赤いルージュをカジュアルにつける。少しだけ艶のある、透明感のある深紅。間違ってもテカテカのグロスはやめよう。トゥーマッチは暑苦しい。流行りのマット口紅も私達の肌には沈んでしまう。透明感があり、細かいゴールドパールのニュアンスがあれば更に華やぐ。

まるで花束を抱えるように。美しい色とりどりの花柄ストールを、この秋は着こなしにプラスしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?