おやすみなさい

もしも、もう一度あなたに会えることができたとしたら、私は何を言うだろう。

たくさん言いたいことはあるんだけれど、多分、あなたのそのはにかんだような照れ隠しのような、口をへの字に曲げて絶対笑うもんかみたいなちょっと怒ったような顔で、俯き加減で一度自分の足元に視線を落として上目遣いに私のことを嬉しそうに見つめ、私が「こんばんは。待った？」って笑顔で聞いたら「う〜〜ん」ってどちらかわからない返事をしながら我慢できない笑顔を誤魔化すように空を見上げて私の肩をグイッと抱き寄せる、そんな可愛いあなたのことをきっと一瞬で全部許してしまうのだろう。

どれだけの時間を離れて過ごしたとしても、きっとまた会えると信じてる私は根拠の無い自信とともにいつでもあなたからの誘いに応じられるよう、今夜も丁寧に肌を磨いて髪をとかして、あなたがくれた香りに包まれてあなたの声を脳内に再生させて、目を閉じてゆっくりと眠りに落ちてゆく。

微睡む意識の中で初めて会った日のことを瞼の裏側に映し出して。あなたの声を初めて聞いた時を再現する。何度も観て全てのセリフを空で言える恋愛映画のように、私とあなたのアーカイブ映像をまた今夜もリピートさせる。

おやすみなさい。今夜も会えて嬉しいわ。

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