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高専女子コンプレックス

高専という単語を聴くと、心がひぇぇと叫んで逃げたがる。なるべく考えたくない心とは裏腹に、高専卒の人を見つけたら急にアホほど親近感が湧いてしまうようなどうしようもない愛着もある。私は中学卒業後、高専という5年間の学校に通っていた。今まで、高専について深く語ったことはない。けれど、古傷も癒えてきた今日この頃なので、思いつくことをぽつりぽつりと、羅列しながら語ってみようと思う。

高専生を隠したい

高専生であった、という事実は私の人生において闇に葬りたいような事象であり、長年隠蔽していた過去である。外行きの理由は''メイドが工学部なんてかわいくない''からだった。しかし、本音の理由は''あまりいい思い出がないしハッピーに話せなかった''からである。

高専生になってみて

制服じゃなくて私服が着たいという理由で選んだ高専。そして、男女比が丁度いいのと、作業着の色味が少し青っぽくてかわいいかも、という理由で気軽に選んだ土木学科だった。最初の半年は一般科目がメインだったから良かった。しかし月日と共に勉強が進んでいく度にもやもやが蓄積されていく。専門科目の全てに、心底興味がなかったのだついでに進路にもやりたい仕事がひとつも無かった。コンクリート構造学も土質力学も水理学も全部「土木関係の仕事に就くためのもの」であり、やりたくも興味もないのになんのためにこんな難しい問題を解いているのだろう、と毎日思っていた。でも卒業しないと中卒だし、親のお金だし辞めるわけにはいかない。日々鬱々としていた。当然そんなやつと一緒に過ごしたい人はいないわけで、5年間を共にすごしたはずのクラスメイトに、現在友達と呼べる人は1人もいない。卒業式から誰一人として顔を合わせていない。要するに高校・大学の友達が誰もいないということだ。この大問題さがお分かりいただけるだろうか。

高専生じゃなかったら

中学校時代、勉強でライバルだった子は気がつけば名大に行っていた。そんなん聞いたら、もしかして私も名大生だったかも!?とか思ってしまう。名大じゃなくても私も大学生活を送りたかった。サークルとやらに入ってみたかった。4年間の大学生活ってやつをやってみたかった。長い春休みと暇な時間が羨ましかった。オシャレな女の子の友達が欲しかった。実態はそんなでもないんだろうけど、ともかく高専よりかは幾分キラキラしたものに見えていた。

高専生の後悔

高専生は中学で進路選択をする都合上、私みたいに「なんかこの学校違ったわ」となる人は実は多数存在している。だから、学校のことを嫌に思ってる人も多くて「あんな牢獄最悪だよ」とか何とか言う。

高専生のプライド

しかし、高専生じゃない人に馬鹿にされるのは腹が立つ。「実は高専出身なんです」と人に伝えた時「え!?めちゃくちゃ優秀じゃない!‎?!」と言われることだけが高専卒カミングアウトのモチベーションの99%を占めている。同年代の''こんな風貌の子が!?理系で高専!?''みたいな反応。あるいは偉い人に対して''お!?この子は見た目より出来るやつなのかもしれない''と思われた感覚。あれは本当にいい。唯一、高専生でよかったと思える瞬間である。えへへへへとなる。だから、これから先、未来の高専生も優秀であれと願う他ない。たのむ。

高専生の生態

少し変わり者が多い学校だった。アニメキャラにガチ恋してても、女装してても、ボカロばっかり歌ってても、ドルヲタでも、太っていても痩せていても何も言われない。変わり者が変わり者として扱われないから、いじめとかは全くなかったのは素晴らしいことだ。多様性を受け入れてる。

高専男子は女子に優しい

男の子はみんな女の子に優しかった。早口でオタク構文を話すような子でも、かなり太っていても、目に見えるような悪口なんて言わない真摯さを持っていた。そして、なんというか全体的にピュアだった。顔面が特にかわいくなくても性格が良くてにこにこしていたら男子寮でとても褒められる。逆に可愛くても調子に乗ってると裏では悪口を言われまくる始末であり(しかし直接はやさしい)内面で判断してくれる人間性を持っていた。

高専病になりたくない

当然、男の子たちは生物学上女である私にも優しかった。そしてまぁ、そこそこ愛嬌があるタイプだった上に、一番可愛いとかじゃなかったのでお手軽だったのだろう。有難いことに、まずまずモテた。

しかし、高専には高専病というものが存在した。

男子▶︎女子が少ないが故にどんな子でも可愛く見える病気。女子▶︎私はかわいくてモテるんだと勘違いしてしまう病気。

この存在を知っていたから、皆女の子だから優しいだけであって、私は特別可愛いわけじゃないんだと心の底から信じていた。ここでモテても現実ではだめに違いない、勘違いする女になりたくない、可愛いと思われているわけがない、当時謎に低かった自己肯定感がそう言い聞かせていた。

そういう訳で告白をうけても「この人も目がおかしくなってしまったんだな...かわいそうに...申し訳ないな...高専を出たら捨てられるに違いない...要するに未来は無い...結婚を考えられない人とは付き合えない!」と高専男子全員に対して思っていたため、お断りした。いやこの女重すぎ。
今思うと失礼なやつである。最悪最低だ!勇気を踏みにじってごめんなさい!と誰も絶対みない(みないでくれ)ここで謝っておく。


高専女子(私)の恋愛事情

1年生▶︎1年生ブランドで(多くの高専女子がそうであるように)人生1モテる。周りの雰囲気に流されて1回付き合う。好きじゃなかったのでなにもしたくなく申し訳なくなって1ヶ月で別れる。なのに、以降「○○の元カノ」と言われ続けるのが鬱陶しすぎたため「高専生で次付き合うなら本当に結婚したいと思えるくらいの人にしないといけない」と決心する。
2年生▶︎告白されても、嬉しいけど結婚はできないな、と振り を繰り返す
3,4,5年生▶︎こいつは無駄だとわかられたのか、性格に難ありだったのか、ともかくあまり告白されなくなる

高専生の優良物件たち

普通の学校にいたらめちゃめちゃモテそうな、気配りもできて明るくてええな、みたいな男子にも普通に彼女がいないことが多かった。
男女比について、私の学科は7:3くらいだったけど、全体で見ると8:2くらいだったから総数が少ないのでそれも頷ける。彼らが今どうなったか知りたい気持ちがあるが、前で述べたように友達がいないし、クラス会などを開かれそうな雰囲気は今後100年間はなさそうなのでそのうちに死ぬ。みんな平和だったらいいな。


高専生にはなりたくない

小中学生と成績は悪くなかったはずだった。私には無限の選択肢が広がっていた。なのに、私服目当てで高専というよくわからないところに入ってしまったが故に、選択できる将来の可能性を1/5000くらいには狭めてしまったような気がしていた。もう一度選べるなら、高専生にはなりたくない。


高専生とメイドカフェ

ただ、メイド・コンセプトカフェの世界に入れたのは高専生だったからという理由は大きい。私の専攻は土木で、縁下の力持ちのような仕事だった。それと全く逆のことがしたくて、学校をサボった日にメイド喫茶に入ることになった。そして今がある。

↑そのことについて書いてある。

そういう訳では、やはり、高専に入ってよかったのかもしれない。

まとめ:高専生は選ばないけど

以上が初めて話す、高専生活の全貌である。
本当に不思議な5年間だったなぁ。

今回述べた以外にも色々な思い出したくないエピソードがあり、数年前は''高専''というワードは本当に聞きたくないくらい苦手だった。けれど、最近は高専卒なんです、という話題で話せる人もいると気付いたり、ギャップを面白く思ってくれる人がいたりと使える持ちネタであるのかも、と思えるまでになった。

もう一度、中学生に戻って選べるのなら、やっぱり高専生にはなりたくない。だけど、過去は変えられないのだから、面白く可笑しく調理して、私の楽しい味の1部にしてやってもいいのかなと、今は思っている。

読んでくれてありがとう。
当時より可愛くなりました とても。

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