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天才少女画家と言われた加清純子さんと言う人

かえるちゃんの母上は読書するのにあまり高尚な嗜好を持っていなくて三浦綾子とか渡辺淳一の文庫本が結構実家にあったんです。
このおふたりは北海道出身の作家なんですが、三浦綾子は宗教じみてるし渡辺淳一に至ってはただのエロおやじにしか思えなくてかえるちゃんはこのふたりの小説はあまり読みませんでした。
話はそれますが、かえるちゃんの親はミーハー的に文学を捉え、川端康成がノーベル文学賞を受賞した年に生まれた男の子に「ヤスナリ」と命名するみたいな感じでした。
母上も通俗的でしたが、父上はもっと激しくてエロ本しか活字は読まない人でした。

渡辺淳一が医師なのは有名なんですが、この方は札幌南高出身なんです。
札幌の北高、南高と言えばツートップで学力の高い高校で、かえるちゃんは南高の近所に住んでいた時期があります。
地下鉄駅が近くて中島公園も近くて、市電の停留所も近くて、歩いてススキノまで行ける最高のロケーションで、南高まで行ける人たちって言うのはこんな便利な環境に通学できるんだなって感心しました。

時代はずいぶん違うんですけど、南高に通った渡辺淳一の小説に「阿寒に果つ」と言うものがあって、かえるちゃんもなぜか読んだことがあるんです。

札幌南高に通っていた渡辺淳一の同級生、加清純子さんと言う女学生との初恋について描かれた小説なんです。

純子さんは中学生くらいから絵の才能を開花され、高校生の頃にはいくつもの絵画展に入選されていて、天才少女画家と言われていた方ですが、18歳で阿寒湖のそばの雪の中で睡眠薬を飲んで凍死されました。

純子さんは学制改革で札幌南高に編入となったので、特に受験戦争サバイバーと言うわけでもなく、戦後の混乱期ですから睡眠薬も簡単に手に入ったんでしょう。
で、また睡眠薬自殺が可能だった時代なんですね。

純子さんは早世されたわりにはウィキペディアでも丁寧な記述になっていて、阿寒に果つに描かれていたエキセントリックな美少年設定には反して残っている写真は昭和の普通の女学生の顔です。

阿寒に果つは映画にもなっていて、五十嵐淳子が主演していて、まぁおきれいなんですがセリフ回しが雑で、この映画は当たらないだろうとわかる感じでした。

ウィキペディアでの記述を見ると、純子さんと言う人は学校にはあまり来なくて、男出入りが激しく、オキシドールで髪を染めているような女学生だったみたいで、アプレゲールと言ってる方もいましたが、いやその前にちょっと精神病んでるだろうと思いました。

幼少時から絵で自己実現を図り早熟と呼ばれて一定の評価を得ていたけれど、自分の能力はこれ以上伸びないと純子さんは知っていたんじゃないですかね。
学校もちゃんと行かないようなお嬢さんが「このままだと自分はただの人になってしまう」と焦っての自殺かなと思うんですが、思い当たる方は多いんじゃないでしょうか。
自分を特別な存在と感じて、ただの人になるくらいなら死ぬよ、みたいな厨二病思考の人だったんじゃないかと思います。

近年加清純子さんの回顧展が北海道で開催されてかなりの人数を動員しているみたいなんですけれど、泥臭くても平凡でもいいから生を全うする心の強さを持ってほしかったと思っています。

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