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勝手に10選〜タイトルに名前が入るイカした曲編(後編)〜


(前記)

それでは、張り切って後半に移る。


・Gloria

ZIGGYによって1988年に発表されたシングルで、ドラムのタイアップとなり1989年にシングルとして再びシングルとして発売された曲だ。

筆者は元来あまりドラマという分野に疎い。
特にこれといって避けている訳でも無いのであるが、歌番組は時間があったりすると観ていたが、ドラマに関してはあまり毎週楽しみに観る、などという事には乏しかった。

従って、ことドラマの主題歌となると、その曲が浸透し始めてヒットに至ると、少し遅くなって自身の耳に入って来るケースが殆どである。

この曲が、その典型例である。
40年近く前の事で記憶が曖昧なのであるが、いつの間にか自身のプレイリストに入り込み、どっかりと腰を下ろし、居座り、今でも大好きな最高にイカしたロックになって、その座を揺るぎないものとしている。

爽快感に満ち溢れるビートの効いた、全く無駄の無い、もう非の打ち所がないロックナンバーと言い切って良いだろう。
実に気持ちが高揚し、清々しさまで感じる。

イントロにおける4発のドラム、前奏のギターにおけるカッティングのリフ、ピアノも絶妙なスパイスとなり、ブレイクを入れAメロへ。

実に気持ちの良いメロディラインがAメロの肝となり、コーラスワークもイカしている。Bメロは短めにトーンダウンし、サビへの見事な緩急となる。

ブレイクを挟み、怒涛のサビへ移行するが、疾走感、何処までも突き抜けるメロディ、シンプルでありながら実に美しく気分が高揚させられる。実に気持ちが良い、素晴らしいメロディラインを兼ね備えるサビだ。

間奏もベースがメインのパートと、ギターのソロのパートの緩急が素晴らしく、2回目のサビではトーンダウンすりするパートもあり、これら見事な緩急も全く隙も無駄もない。

ストレートなラブソングであるが、単語のチョイス、構築されるフレーズが実に見事に曲に融合している。

日本のロック界における大名曲であり、宝であり、歌い継がれねばならない、素晴らしいロックなのだ。



・Jim&Janeの伝説

1989年にチェッカーズのシングルとして発表された曲だ。

切なさと煌びやかさと疾走感を兼ね備えたミドルテンポの実にイカしたロックナンバーだ。

1986年にシングル"NANA"を皮切りにシングル、アルバムをメンバーによる作曲、藤井郁弥(フミヤ)さんが殆どの作詞を手がける方向に舵を切り、セルフプロデュースへの道を歩み出したチェッカーズが、1987年に初の全曲メンバーによるオリジナルアルバム"GO"を率いて年間80本を超えるツアーを敢行し、目を見張るスキルアップと自信を兼ね備え、1988年にはアルバム"SCREW"にて16ビートも取り入れ、多様性の実力も発揮したチェッカーズの、ある種乗りに乗っている時期のシングルだ。

作曲は鶴久政治さんで、シャングリラスの"Leader of the Pack"を意識して作曲し、藤井郁弥(フミヤ)さんによる歌詞の内容も、暴走族のリーダーであるジムとその恋人であるジェーンの物語である。

ジムはバイクでハイウェイのコーナーでガードレールを突き破って亡くなってしまう。
そして、どうしてもジムが亡くなった場所を見たいというジェーンを、バイクの2ケツで主人公が連れて行く、という切ないストーリーだ。

歌詞のインスピレーションは紡木たくさん著作の暴走族マンガにおける不朽の名作"ホットロード"から受けた内容だと郁弥(フミヤ)さんも語っている。

実に煌びやかな藤井尚之さんによる1人サックスの二重奏が切なくて美しい前奏だ。

煌びやかで切ないAメロを経てBメロで切なさから徐々にバイクのスロットルを回す様にサビへの架け橋となり、ボーカル陣の実にイカした掛け声とともにサビが始まる。

煌びやかな切なさに伴い疾走感が伴うサビであり、まるで風を切るバイクのタンデムに座っているかの様であり、どこまでも切ないが、どこまでも疾走感のある素晴らしいサビだ。

この曲の様なストーリー性を持ち、映画を観ている様なイカしたロックはチェッカーズの真骨頂でもある。

筆者はバイク乗りである。
バイクに乗っている時にいつも頭の中をこの曲が流れている。
行こうぜ、ピリオドの向こうへ、は不朽の名フレーズである。


・ロビンソン

1995年にスピッツがシングルとして発表した曲で後のアルバム"ハチミツ"に収録された。

作詞作曲はボーカル、ギターで中心人物の草野マサムネ(クレジットでは草野正宗)さんであるが、高校時代からギタリストとしてバンド活動を始め、大学に進学し軽音学部に入部しスピッツの母体が結成された。

バンド結成時はむしろパンクバンドであったが、ブルーハーツの"人にやさしく"を聴いて、やりたい事の先を越されたショックで、一旦音楽から疎遠になってしまうが、程なくして再開する。

この頃もまだパンクを引き摺ったスタイルであったが、知人からのアドバイスもあり、また草野さん自身もドノヴァンに影響され、アコースティックギターを手にし、バンドも今は定着しているスピッツのアコースティック路線になった。

実にタイトでミニマムな無駄の無い、美しく煌びやかな曲だ。
秀悦してキャッチーなメロディラインが実に引き立つ素晴らしいオケである。

歌詞は散文的な印象で解釈にも諸説ある様な事も耳にした事があるが、結局は散文的であるが故に、聴き手の解釈がそれぞれで、聴く者に合ったか聴こえ方をするのが、この曲の魅力ではないだろうか。
筆者にとっては、あらゆる情景に少しのメタファーを加えた素敵なラブソングである。

ところでタイトルのロビンソンであるが歌詞とは全く関係がない。仮タイトルがロビンソンだっただけであり、これはよくある話である。

作詞作曲を手掛けた草野さん曰く"いつものスピッツにおける地味な曲"、"ポップ過ぎる"などと本曲を評しており、未だに大したタイアップも無くこんなに売れたのか解らない、と首を捻るそうだ。



・ロメオ


1998年にブランキー・ジェット・シティによって発表されたシングル"左ききのBaby"のカップリングであるが、同年に発表されたアルバム"ロメオの心臓"に収録されてアルバムの表題曲の役割を果たしているとも言える。

筆者にとってスリーピースのバンドでは、やはりブランキーが群を抜いている存在で、3人の個性からファッションまで実に独自の世界観を持ち、全て1発撮りによるその楽曲におけるグルーヴ感が実に素晴らしい。

ギターリフが主軸となる疾走感と重厚感を兼ね備えた、シングルカットこそされていないが、ブランキーの代表曲のひとつである。

実にカッティングによるギターリフが素晴らしく、ミドルエイト以外はほぼギターリフで構成され、構成としてはAメロ、サビ、間奏、ミドルエイトからなる。

歌詞は散文的であり、フレーズのひとつひとつの積み重ねからこの曲の世界観を形成している印象だ。
聴き手の受け取り次第であり、どう解釈するのも自由であるが、浅井健一さんにしか記せない独特の世界観は共有できるだろう。

浅井健一さんは、解散後もブランキーの曲をライブで披露している。
理由は、俺がやらなきゃ誰もやらないだろうし。いい曲はやりたいから、という事であるが、凄く的を得た素晴らしい理由である。

浅井健一さんはグレッチのテネシアンという魔法の杖を用いて、聴く者、観るものの心を掴み続けている。



・ジェニー


1998年にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT(ちなみに、ここまではバンド名は小文字表記であった。)により発表されたシングル"スモーキン・ビリー"のカップリングとして発表された曲だ。

最高にイカしたロックンロールだ。
疾走感と明るさが全面に炸裂し、ポジティブな歌詞も相まって最高に気持ちの良いロックンロールである。

実にゴキゲンなギターリフによる前奏と間奏、Aメロとサビからなるシンプルな構成で曲の最初から終わりまで駆け抜ける快感が堪らない。

歌詞はジェニーという女の子を、嵐の中、船を出してドクロの旗をたてて、7つの荒海を制覇して探し出せ、という実にスケールの大きなユーモアのある内容だが、実に曲と相まって気分が高揚する。

ひとつ筆者の私見であるが、このジェニーを、自分自身、とか夢、に置き換えて聴いてみると、自身を更に高揚させてくれるのだ。

なお、曲の冒頭で肋骨が折れていた件があるが、これは遅刻癖のあるチバユウスケさんが、あんまりチバさんが起きないのでマネージャーが蹴りを入れたら肋骨が折れた、というエピソードが都市伝説的に有名である。

ゴキゲンなロックンロールの最高峰に位置するだろう。
ロックンロールの素晴らしさを堪能できる大名曲である。


(後記)

今回も楽しいながら難儀な選択であった。
まだまだ自身の置き手紙として、記したい名曲は、この括りにおいては沢山の楽曲があり、またこれからも沢山出会う事に期待をし、是非続編に挑む次第である。

読んでくださった方々へ
ありがとうございました。

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