見出し画像

勝手に10選〜タイトルに名前が入るイカした曲(洋楽編)〜後編


(前記)

張り切って後編へ移る。

・Gina

1989年にストレイ・キャッツによって発表されたアルバム"Blast Off!"に収録された曲だ。

実にキャッチーで陽気な、聴いていて心が踊る素敵なロカビリーである。

ストレイ・キャッツといえば、ネオロカビリーの中心的な存在であり、特にグレッチの6120をトレードマーク、アイコンとして、ブルースやカントリーの奏法も香るギャロッピングなど卓越したブライアン・セッツァーのギターテクニックで聴く者のハートを掴み続けている。

しかし、ブライアン・セッツァーは少年時代にビートルズのジョージ・ハリスンを目の当たりにしてギターに興味を持ったという。
その後はエディ・コクランやジーン・ヴィンセントなどのロックンロール創成期に出現したロカビリーに傾倒したのだ。

もはやブライアンのアイコンであるグレッチの6120は元々はジャズギターであったギターをエディ・コクランがロックンロールに持ち込み、エディ・コクランのアイコンだったギターをブライアンが真似をし、今や自身の立派なアイコンとなっているのだ。

そんなブライアン・セッツァー率いるストレイ・キャッツであるが、1980年にデビューするも、1984年に解散してしまうが、1986年に再結成を果たす。

このアルバムは再結成後初のオリジナルフルアルバムであり、筆者が音楽に目覚めた後の事で、初めてストレイ・キャッツの新譜がリアルタイムで手に入った事に興奮したのが懐かしい。

実に陽気かつ軽快でキャッチーなロカビリーだ。
テクニカルな事は控えめに、シンプルなギターリフ、テンポも軽やかに、曲の構成もサビとBメロ、間奏のみのソリッドな仕上がりで、スッと心を躍らせてくれる名曲である。

再結成した後に、ひとつ山を超えた末に得た余裕みたいなものまで感じる、シンプルイズベストな底抜けに明るいロカビリーである。


・Maria

2002年にグリーン・ディのシングルとして発表された曲だ。

1994年にアルバム"Dookie"でメジャーデビューを果たし、"Dookie"は1500万枚超えのセールスをもたらし、破竹の勢いでロック界を駆け抜け、2015年、早々にロックの殿堂入りを果たした3ピースのモンスターバンドであるグリーン・デイだ。

当たり前であるがギター、ベース、ドラム、ボーカルのみである。
そんな限られた条件の中で、続々とイカしたロックンロールを世に送り出し、難解なフレーズも無く、実にストレートさがシンプルに胸を突き刺してくれるバンドが、今の時代ではあまりグリーン・デイ以外見られないのが残念なのだか、グリーン・デイが他の追随を振り切って凄すぎるのかは良く解らない。

しかし、聴いた者の気分が自然と高揚して、エレキギターを弾いてみたくなったり、バンドをやってみたい、などとシンプルに思わせてくれるのは、グリーン・デイの様なバンドではないだろうか。

この曲も実にタイトかつストレートなロックンロールである。
ギターとベースのバッキングが映えるAメロ、突き抜けるメロディが実に気持ちが良いサビ、ドラムによって曲に緩急をつけるCメロ、間奏もテクニカルな事も無く、潔く、実に気持ちの良いロックンロールだ。

グリーン・デイは現代におけるロックンロール界の宝であり、そのスピリットは受け継いでいかなければならないのだ。



・Lyla


2005年にオアシスのシングルとして発表された曲で、アルバム"Don't Believe the Truth"からの先行シングルでもある曲だ。

オアシスが1990年代を代表するロックバンドの1つとしてロック史に燦々と輝いているのは間違いない。

筆者は10代後半にリアルタイムでオアシスを経験しているが、当時は、ビートルズの再来、などと言われていたのが懐かしい。
同じイギリス出身でオアシス自体がビートルズから多大な影響を受け、カバーもしている事には間違いないが、そんな肩書きは余計なお世話であり、ビートルズ対ストーンズなどの論争と同等に下らない事である。別のバンドだ。

そのバンドには、そのバンドしか出来ない唯一無二の曲、グルーヴがあるのだ。影響はあっても、比較やら再来などとはナンセンスなのだ。

実に気持ちの良いアコースティックギターとエレキギターのストロークから曲は始まる。
イントロで否が応でもイカしたロックを予感させる。

曲の構成はAメロ(Bメロもありか)、サビのシンプルなものであり、Aメロは重厚感がありながら、天気の良い荒野の様な広大さを持ち、サビもシンプルにコーラスが加わり突き抜ける広大さを感じる気持ち良さを存分に発揮している。

この曲の気持ち良さの重要なマテリアルはドラムである。
2回目の間奏以外は終始2拍子でテンポを保ち、曲に安定感と心地良さをもたらし、他の楽器、ボーカルの見事な引き立て役となっている。

歌詞も、これまた広大な宇宙規模のラブソングと筆者は解釈する。
この楽曲に、この歌詞あり。
さすがオアシス、ここにあり、の大名曲である。



・Henrietta


2006年にザ・フラテリスによって発表されたデビューアルバム"Costello Music"に収録され、シングルとしても発売(日本は未発売)された曲だ。

かれこれ昔の話であるが、お世話になっていたライブバーにてDJナイトのイベントに参加した際に、この曲を初めて聴いて大変驚き、DJの元に慌てて誰の曲が聞きに行った思い出が懐かしい。
完全なる一目惚れでフラテリスを知る事となった。

フラテリスはスコットランド出身でスリーピースのロックバンドであり、ラモーンズの様に全員が苗字をフラテリを名乗っており、イタリア語でフラテリは兄弟を示す。

2005年にフラテリスは結成され、2006年に本アルバム"Costello Music"を発表するや否や、全世界でセールスが200万枚を超え、日本ですら20万枚のヒットを叩き出し、派手なデビューを飾った。

そんな本アルバムのオープニングを飾るのがこの曲である。

裏拍のスカも香るギターのゴキゲンなカッティングから曲は始まり、ブレイクを挟み、前奏からAメロまで陽気なテンポで曲が続く。
そして、Bメロに入るや否や疾走感と明るさを兼ね備えた雰囲気にさらりと変わる。この緩急に気持ちが良い。
その勢いを更にヒートアップさせサビに突入する。更に重厚感も加わり、メロディラインも素晴らしいサビである。
もはや、どのパートがサビと言っても良いだろう。

歌詞はただ人妻のヘンリエッタを誘っている、それで十分なのだ。

パート間の遊び心や間奏などを含め、ゴキゲンで完璧なロックンロールを見せ付けてくれた、と言っても全く過言ではないだろう。

実に気持ち良く、気分が高揚する陽気なロックンロールなのだ。


・Layla

1971年にエリック・クラプトン率いるデレク・アンド・ザ・ドミノスのシングルとして発表された曲だ。

筆者は、様々な角度から楽曲をセレクトし、その曲の素晴らしさを"勝手に10選"というシリーズに記している。
そんな中、10曲をセレクトし発表する際に、この曲が大トリがとる事が、振り返って数回あった印象である。

それは自身の中で様々な観点、角度から聴いてみて、この曲が如何に突出した素晴らしい存在である、という事なのだ。

親友であるジョージ・ハリスンの妻であったバディ・ボイドを愛した、苦悩や、葛藤、バディに対する激しい愛情。
それらが集約して1つのパッションとなり、この大名曲が生まれた訳である。

世界のロック史に輝くギターのリフから幕を開け、勢いと重厚感を兼ねもち、切なさをスパイスをした前奏、勢いをそのままにAメロに入り、激しさの中に切なさが垣間見える様な演奏とボーカルが繰り広げられ、そしてこの曲の主軸となる前奏と同じギターリフに乗ってクラプトンの叫びとも言えるサビへと移行する。

この曲は前半がロック、そしてロックのパートが終わると実に夜明けの太陽の様に美しく、優しく、やはり切なさを兼ね備えたピアノを主軸とし、ギターも実に煌びやかなバラードが入る。
その緩急が実に素晴らしく、聴く者の心に響きわたるのだ。

ロック史に燦々と輝き続けるギターリフ、楽曲の重厚感、激しさ、美しさが、エリック・クラプトンの心の叫びであり、聴く者の心を鷲掴みにしてしまうのだ。


(後記)

まだまだある。素晴らしい曲達が。
今後、続編に挑む次第である。

読んでくださった方々へ
ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?