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勝手に10選〜タイトルに名前が入るイカした曲(洋楽編)〜前編

(前記)

様々な観点から、条件を頭の中で構築し、自身にとって欠かせない曲をピックアップする企画であり、前回はタイトルに人の名前が入る曲との邦楽編を勝手に10選した。

となると、名前ならば、やはり洋楽編を是非ピックアップしてみたく、今回はタイトルに人の名前が入るイカした楽曲の洋楽編を勝手に10選する。


・Peggy Sue

1957年にバディ・ホリー・アンド・ザ・クリケッツのシングルとして発表された曲だ。

眼鏡をかけて、端正なルックスと甘い歌声で、フェンダーのストラトキャスターをロック界に持ち込み、ロックンロールの創成期の大きな一端を担った偉大なロックンローラーである。

1956年にデビューを果たすもレコード会社(デッカ・レコード)との折り合いが悪く、翌1957年にレコード会社を移籍し、シングル"That'll Be the Day"にてブレイクを果たすが、デッカでの契約上、名義はクリケッツとなった。

この曲はそんな1957年にリリースされた。
筆者は小学生の頃からチェッカーズのルーツがオールディーズという事もあったが、この曲をどんな経緯で初めて聴いたのかは覚えていないが、とにかく楽曲の素敵さが衝撃的であった事ははっきり覚えている。

軽快なドラムのパラディドル、Fが1度だけ使われるが、ほぼ3コードでシンプルかつタイトであるが、時代背景を鑑みると、ドラムのパラディドルやバディ・ホリーの抑揚のある甘いボーカル、ミニマムなギターソロ、などトラックや機材などがまだ限られた状況で、アイデアとスキルとパッションで、こんなに素敵で陽気なロックンロールが生まれるのだ。

1959年の"音楽が死んだ日"と呼ばれる2月3日に、"La Bamba"で有名なリッチー・ヴァレンス、"Chantilly Lace"で知られるビッグ・ホッパーとバディ・ホリーが搭乗した飛行機が墜落し、バディ・ホリーは22歳という早過ぎる死を迎える。

実質の活動期間は短かったが、名曲や残したレガシー、影響は非常に大きい。
アマチュア時代になけなしのお金を払い、"That'll Be the Day"を初めて録音したグループがクオリーメン、後のビートルズだ。
バディ・ホリーの亡くなる3日前のステージを最前列で観賞していた17歳の少年ボビー・ジマーマンは、後のボブ・ディランだ。
ローリング・ストーンズのアメリカでのデビュー曲はバディ・ホリーの"Not Fade Away"だ。

ジョン・レノンは後にこの曲をカバーしているが、歌い方、歌声、アレンジからいかにバディ・ホリーをいかにリスペクトしているか、よく解る。



・Johnny B. Goode


1958年にチャック・ベリーのシングルとして発表された曲だ。

ジョン・レノンはこう言った。
"ロックンロールを別の言葉で置き換えるとチャック・ベリーだ。"と。

チャック・ベリーはロックンロール創成期に欠かす事の出来ないアーティストであり、特にギターという楽器に特化すればロックギターの生みの親である。

パワーコードの高い方の音を動かすバッキングスタイルを発明した功績は大き過ぎる上に、この曲を代表するイントロ、ギターリフ、ロックギターにおける全ての基本を生み出していると言っても全く過言では無い。

チャック・ベリーが存在しなかったら、世の中におけるロックにおけるギタリスト存在そのものや、奏法は如何なるものになっていたのか、想像するのは実に難しいのだ。

本曲であるが、ロック好きなら誰もが知るイントロ、ギターリフ、バッキング、3コードの軽快で陽気なイカしたロックンロールの基本や魅力が集約された、まさにロックンロールのバイブル的な存在であり、ロック史において永遠に語り継がれる大名曲であり、大発明なのだ。



・Happy Jack

1966年にザ・フーのシングルとして発表された曲だ。

ザ・フーといえば英国におけるビートルズ、ストーンズとともに3大バンドと称され、モッズカルチャーの象徴であり、イメージとしては、爆音、ブンブンとマイクを振り回すロジャー・ダルトリー、ピート・タウンゼントのウィンドミル奏法、演奏後のピート・タウンゼントとキース・ムーンによる楽器の破壊、などがイメージとして目立つ印象である。

だがしかし、筆者にとってのザ・フーは、この曲や"I'm A Boy"など非常に軽やかかつ陽気でストレートなロックンロールも幅広く発表しているキャッチーなバンド、という認識である。

始まりの前身バンドがスキッフルがメインであり、アマチュア時代はビートルズや、ベンチャーズ、シャドウズなどをコピーしており、ピート・タウンゼントにはジャズの血も流れており、例えばローリング・ストーンズの根底にはブルースが欠かせない唯一無二の絶対的な存在であり、それがストーンズの最大の魅力の1つなのだが、シカゴ・ブルースもルーツにあれどザ・フーの楽曲の軽やかさの由来は、ストーンズの様な泥臭さ、根のど太い基盤が薄い部分から発せられているのでは無いだろうか。

本曲であるが、陽気で愉快なギターリフから始まり、曲は2つのパートから構成され、共に非常にキャッチーであるが、最初のパートが実にタイトにミニマムなギターリフとベースが心地よく絡み合い、サビになるとキース・ムーンのドラミングが際立って、疾走感を増しコーラスも美しく、このパート毎の緩急が見事な曲である。

不思議な歌詞であるが、これはピートが幼い頃にマン島を旅行した際に見かけたおかしな人々がベースとなっている。
この不思議さが曲に見事にはまり、異国の陽気な童謡を聴いているかの様なハッピーな曲となっている。


・Ziggy Stardust

1972年にデヴィッド・ボウイによって発表されたアルバム"The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars"に収録された曲だ。

まず、このアルバムであるが、滅びゆく地球の為に火星からやって来た地球外生命体であるバイセクシャルであり、サウスポーのギタリストであるロックスターのジギー・スターダスト、を主人公としたコンセプトアルバムである。

しかし、コンセプトアルバムという事に加えて、この時期だけはデヴィッド・ボウイ自身がジギー・スターダストになりきっており、ジギー・スターダストとバックバンドであるスパイダーズ・フロム・マーズを従え、1年半に渡るツアーを敢行し、1973年7月のツアー最終日にジギー・スターダストの終焉を宣言した。

そんなジギー・スターダストの表題曲が本曲である。

イントロからギターによるカッティングのリフが実に心地よい。
曲はAメロとサビからなるシンプルな構成で、Aメロのミニマムにデヴィッド・ボウイが語るかの様に控えめに進行するのに対し、サビは演奏においてはギターのカッティングやボーカルも激しく熱量が増し、その緩急が実に素晴らしい。間奏が程よい口直しになっている。

歌詞の内容は、火星からやってきたサウスポーのギタリストであるジギー・スターダストとバンドを結成するがジギー自身が神がかり的な自己陶酔への道を進み最終的に殺害されてしまう内容である。

映画の様にジギー・スターダストの世界観に身を委ねるのが実に心地よいのだ。



・Roxanne

1978年にポリスのシングルとして発表された曲だ。

筆者自身の音楽遍歴を振り返ると、中学生位の頃からポリスを愛聴しているが、しかし、ポリスを好きになったきっかけが解らない、思い出せないのだ。

ポリスの活動期間は1977年から1986年であり、少なくともリアルタイムでは無い。
当時は丁度チェッカーズ、ビートルズ、オールディーズに没頭していたのだが、何をきっかけに、ポリスを知り、全てアルバムを所有する程にハマっていたのか、今をもって謎なのだ。

恐らスリーピースのロックバンドとしてミニマルでタイトなポリスの演奏するロックを気に入っていたのだろう。今も筆者のプレイリストにどっかりと居座り続けている。

そんなポリスのデビューシングルと同時に代表作の1つが本曲である。

タイトでシンプルなギターのカッティングから曲が始まる。
ドラム、ベースが加わるとスカの香りもする。
序盤に笑い声が聴こえるが、これはベースのスティングが、レコーディングの際にキーボードに腰掛けてしまい、不協和音と笑い声がそのまま録音されているが、それも結果的に雰囲気と合った良い味となっている。

曲の構成としては、Aメロとサビからなるシンプルな構成であり、単調なカッティングと絡み合うベースがミニマムに絡め合い、静寂を見事に曲に取り込んだAメロ、そして対極の様に音が増し、疾走感を持ち合わせて突き抜ける気持ちよさとコーラスも見事なサビとの緩急が実に活かされている。

歌詞の内容は娼婦に対して恋をした主人公が娼婦に対してメッセージを送っている内容だ。
これはスティングがパリの歓楽街を歩いている際にアイデアが浮かんだものである。

なんとなく、Aメロが夜の歓楽街の雰囲気を、サビが切実な求愛の叫びにも聴こえるのだ。

実にソリッドで無駄の無いクールなロックである。


(後記)

後編へ続く。

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