よつばと!のとーちゃんになりたい
理想の結婚相手を聞かれたらいつも「『よつばと!』のとーちゃん!」と答えていた。
これに共感してもらえると、嬉しい。
一度、「あそこまで出来た人はなかなかいないよ」と言われた時は心の中でガッツポーズした。
でも今は、どちらかというととーちゃんに「なりたい」。
とーちゃんの魅力
とーちゃんの魅力は、一言でいえばおおらかさだと思う。
とーちゃんは、5歳の女の子「よつば」と一緒に暮らしている。
年齢はよくわからない。翻訳の仕事をしているらしい。在宅勤務だ。よつばとは多分血が繋がっていない。外国でひろって、育てることになったという。とにかく謎が多いが、そんなことはどうでもいい。
小岩井さんはいい感じに「とーちゃん」をしている。
そのとーちゃん具合が、とってもいい。
とーちゃんとーちゃんと呼ぶのが申し訳なくなってきたので、これからは小岩井さんと書く。
小岩井さんは、キラキラ系イケメンではない。
でもそう悪い顔じゃないと思う。
少し長めのあまり手入れされていない髪に、時折無精ひげを生やしている。
パンツを何日も干しっぱなしだったり、洗い物を溜めていたり、家事は適当なほうだ。
家の中ではティーシャツにトランクス。寒い季節はジャージも履く。そして時々、パンツマンになる。
超すてきだ。
そう、小岩井さんの魅力の話だった。
好きな話にホットケーキを焼く回がある。
そこでよつばが人生で初めてホットケーキを焼く。
5歳だから、なかなか上手に作れない。
ホットケーキミックスをこぼすし、牛乳もこぼすし、混ぜている間に汚れた手をそっととーちゃんのTシャツで拭いていたりする。
生地を流し込めばいびつになるし、上手にひっくり返すことができない。
用意した生地を全部使っても思っていたようなホットケーキを作れなくて、よつばは癇癪を起こしてしまう。
そこで小岩井さんはどうするか。
私が思いつくのはこのくらいだ。
しかし、小岩井さんは。
小岩井さんは、めちゃくちゃ自然に、残っていた袋をあけて、生地を作り始めるのである。
正直ひと袋ぶんつくったら、2人で食べるには充分だ。途中で小岩井さんの友人のやんだが遊びに来るが、それでもちょうどいいくらいだろう。
それでも小岩井さんは躊躇なく袋をあける。
しかもよく見たらボール2つぶん。2袋も開けている。たっぷり、納得いくまでよつばが焼けるように。
そもそもよつばがホットケーキつくる!と言い出したからってホットケーキミックスを何箱も、たぶんスーパーに置いてあったの全種買ってくる適当さもなんだか真似できないところなんだけど。
そして、生地をよつばにさしだすと、真ん中に落とすんだよ、とか、持ちあげるのちょっと早かったかな、とかアドバイスをしてよつばを励ます。
途中、ひっくり返そうとして体だけかたむいていたり、ばーん!!!と勢いよく叩きつけてしまうよつばが可愛いく、そしてなんともリアルなのだが、とにかく小岩井さんの寄り添い方がすごくいい。
拗ねて「こんなにいっぱいつくってもおなかいっぱいでたべられないでしょ!!」と言うよつばに「食べれる!」「とーちゃん本当はホットケーキ大好きマンだ!」という小岩井さんはめちゃくちゃかっこいい。
独特のテンポで自然体で
最後、ようやく上手にホットケーキを焼けたよつばは、キラキラした目でしあわせそうにホットケーキをほおばる。
たくさんの失敗作を食べる!と宣言しておきながら、小岩井さんは「ホラやんだもっと食えよ」「なんか食い過ぎて頭痛くなってきてさ」と言って友人のやんだに押し付けるんだけども、そういうゆるいところもいい。
飄々としているとも、淡々としているのとも違う、独特のたたずまいで、なにごとも「あーー、そうか、うん」みたいな感じで受け止める。
等身大のままよつばと対等に触れ合い、おちゃめさやユーモアもあり、それでいてちゃんと大人として教えなければならないことがある時は大人の役割を果たしている。
いい加減だけど、いい加減なところが良い。
家事が適当でも、家ではトランクス姿でも、小岩井さんは、めっちゃかっこいい素敵な人なのである。
で、私は小岩井さんと結婚したかったのだけれども、子どもが産まれ、育ってきてからはまじで小岩井さんになりたい。
小岩井さんリスペクトである。
リスペクトって言葉がいまいち似合わないけど……。
これは漫画で、理想の世界だから、なんて言ってくれるな。
「よつばと!」はよつば目線での瑞々しい世界を描いているお話で、そのよつばの瑞々しさをひとつも損ねず、寄り添い、時に一緒にバカをし、振り回され、適当に生きてる感じがすーーーっごく憧れるのである。
私はどちらかといえば真面目で肩肘張っちゃう方なので、最近は小岩井さんになりたいと切に願う。
人生は無い物ねだり。
ちなみにうちの夫は、結構小岩井さんに近いです。(そう考えると家の中にとーちゃんは2人もいなくていいのか…?)
ほんとねぇ、憧れずにはいられないのですよ、とーちゃん。
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