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時を超えたプレゼント

来月、息子の誕生日がある。

おもちゃの山に場所をとられているので、はて今年はプレゼントどうしようかなと考えていると、息子がおもちゃ入れの奥底から

「うーーん、よいしょっ」

と苦労して懐かしいものを引っ張り出した。

木製のキャリアカーのおもちゃだ。

一階建てから二階建てに変形することができ、赤、青、黄、緑色の車もついている。

「これと、これと」と、付属の車も探し出して、変形させたり、車を乗せたりして遊んでいる。

あぁ、そういえば、と

「それはねぇ、息子くんの1歳の誕生日プレゼントだったんだよ」

と話すと

「へ〜そうなのぉ~〜」

と息子がほこほこ嬉しそうな顔をした。

息子はえびす様みたいに目尻をくにゃんとさせて笑う。おでこがつやつやでかわいい。

当時はまだ小さかったから、プレゼントを渡したとき、
そんなに反応はなかったはずだ。

けれど、すっかり車好きになった4歳の息子が今、あの時のおもちゃでおおいに遊んでくれている。

時を超えて想いが伝わったようで、私も嬉しくなってしまった。


***


と、ここまではいい話なのだが書いていて思い出した。

これを渡したときの記憶の中の息子と、先ほど写真をスクロールして見返した1歳の誕生日の息子が違う。

渡したとき、息子はもっと小さかった。

そう、これは、夫と一緒に選んだ、初めてのクリスマスプレゼントだったのだ。

初めての、クリスマスイブ。
息子はまだ0歳だった

厳密には生後4ヶ月を目前にした3ヶ月児。

そりゃあ、反応も薄いというものだろう。

それにしても、乳児期は過酷すぎて記憶があまり残らないとはいえ、ここまで記憶が混乱していることに
我ながらびっくりした。

そうそう確か、「まだ小さいけど一応プレゼント用意する?」とか言って、夫とどうしようと話して、一緒にいくつか候補を挙げて、最終的に決めたのがこのおもちゃだった。

車好きになるかわからないのに、車のおもちゃを贈るのは、車好きの夫のエゴだなぁなんて思ったものだ。

夜、すやすや眠る息子の枕元に置いて、喜ぶかなぁなんて親の方がそわそわして。

一応、ラッピングもしてもらったはず。

そうだ、そうだった。
何で忘れていたんだろう。

子育てをしていると、自分が子供の頃のことを思い出し親への感謝の念が湧いてきたりするけれども、既に、自分の子育ての記憶が蘇るとこまで来てしまった。

まだ育て始めて5年もたっていないのに。

一粒で二度おいしい的なやつだな。うん。

とりあえず帰ったら「あのキャリアカー1歳の誕生日じゃなくって、初めてのクリスマスプレゼントだったわ」と息子に訂正しよう。

「えー!なんだよー!まちがってるじゃん!」と言いながらも、えびす顔になってくれそうな気がする。

※訂正したら「その頃からサンタさん来てくれてたんだぁ……」という雰囲気でほこほこ感慨深そうにしていました。かわいい。

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