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息子の選んだランドセルは"赤"

ランドセル商戦のピークはゴールデンウイーク頃だという。

昨年12月だっただろうか、保育園からのお便りのなかに、初めてランドセルのカタログが入っていた。

ランドセル……!!

確かに来年、年長さんになるけれども。ラン活という言葉も聞いたことがあるけれども。えっ、もうランドセルを検討する時期なの!?と動揺して調べると、概ねゴールデンウィーク頃から商戦が始まるとあった。

帰宅した夫に話すと、ちょうど夫の職場で流れているラジオでもそんなことを言っていたそうだ。

お互い小4くらいでランドセルを使うのを辞めてしまった夫婦であることもわかったので、そんなにバカ高いのじゃなくてもいいよね、身体に合いさえすればそれで、と話し合い、結局最初にカタログを見たメーカーの展示会に行ってみることにした。

「黄色がいいな〜〜」

「やっぱり水色!!」

「水色がいい」

と事前に言っていた息子は、会場につくとまずパステルな水色のランドセルを背負い、何か違ったのだろう、あっさり下ろすと、次に赤いランドセルに駆けていった。

「これにする!」

即決である。

一応、他のデザインのものも見せてみたり、他の色も勧めてみたりしたけれど、彼の心は変わらなかった。

赤いランドセルで息子は大丈夫なの?

「息子が選んだものにしよう」と思っていたはずなのに、私は動揺した。

赤、赤かぁ。そう来るとは思ってなかったな。

息子からすると、「赤」は「強くてかっこいい、ヒーローの色」。

今ハマっている仮面ライダーも、その前ハマっていた戦隊ものも、主人公は「赤」で、息子が好きなキャラクターは変身するとみな赤くなった。

その影響だろうなとわかっていても、赤いランドセルの男児は少数だろうし、いじめられたり、揶揄われたりしないだろうか、学年が上がったら飽きてしまわないだろうか。安い買い物ではないから、買い替えはしたくないのだが……。

などと悩み、私はすぐに赤いランドセルを買うことができなかった。

ランドセルが多様化してるのは女の子だけでは説

それ以来、近所の子のランドセルの色をつい目で追ってしまうようになった。

女の子は割と色とりどりのランドセルを背負っているが、男の子は圧倒的に黒が多い。
よく見ると、ダークめの青、という子もいた。
唯一明るめの色だったのは、ベージュと黄色の間みたいな上品な色の子。
すでに購入したという保育園のお友達も軒並み「黒」だった。

男の子のほうが保守的なのだろうか?
それとも親が?

セイバンの統計によると、例年男の子の66〜67%が黒いランドセルを選ぶという。

それに対し、女の子の方は1番人気はピンク系(27%)で、2位はパープル(紫)系(26%)、3位ブルー(青色)系(16%)、4位ブラウン系(11%)、5位赤系(10%)と男子より購入色がばらけている。

私も自分の子が女の子だったら、何色を選ぼうと心乱されなかったかもしれない。なんなら娘が黒いランドセルを選んでも「かっこいいじゃん」とここまで悩まなかった気がする。
自分の中に性差によって判断を分ける部分が確実にあることに気づいて辟易する。

女だから舐められることも多いけど、甘くされている面もあるのは自分も知っている。たぶん、これもそういうことだろう。逆に、男社会でわかりやすく異端であるとどうなるのか、女の私にはわからない。

ランドセルごときで想定外に悩んでしまった。
でも、目に浮かぶのは展示会での息子の姿。
最終的には赤一択だったし、実際に背負わせてみたら他の色や黒に赤ステッチのランドセルよりも、明らかに赤いランドセルの方が似合っていたんだよなぁ。

赤とともに行け

そして結局、我が家にはぴかぴかの赤いランドセルが届き、静かに出番を待っている。

「たぶん、男の子は黒や青のランドセルが多くて、赤い子は少ないと思うけど平気?」

と息子に確認したときは「ええっ!?」という表情をしていたが、しばらく時間を置いて確認しても彼の答えは「赤がいい」で変わらなかった。

私も迷いながら色々調べたものの、「赤いランドセルの男の子は少数派なぶん、印象に残りやすく、犯罪に巻き込まれにくい」という文章を読んで買う気になった。

もちろんランドセルメーカーの記事だ。
が、その発想はなかったので面白かった。
どんな角度でもいいからユーザーの不安を取り除くのは大事ですねぇ。

ちなみに夫は一貫して「息子の欲しいやつでいいじゃん?」というスタンスだった。
周りを気にしないというか、芯があるというか。

実際学校に通い始めたらどうなるかわからないけれど、「自分の主張を受け入れてもらえなかった」と子どもに恨まれるより「主張通りにした結果を子とともに引き受けていく」方向でいきたいと思う。
(まだ小さいからフォローはする心づもり。)

このランドセルとともに、息子が楽しい日々を過ごせたらいい。「やっぱヤダ」は無しでお願いしたい。

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