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フォードvsフェラーリに燃える。

(フォードVSフェラーリのネタバレを含みます)

すごい映画だった。
身体が痺れるシーンが幾度となくあった。
特にデイトナでエンジン回転数upを指示するシーンと、やはり後半のルマンは胸熱な展開の連続。
職人気質の人間が、大企業の禄を食んだときに起きる化学反応は今の世でも全く同じ。
理不尽に我慢を重ねた末に感情を爆発させるカタルシス、その作劇の緩急が素晴らしい。

そこまで車好きという訳ではないが、もう少しあとのスーパーカーブームやそのあとのF 1ブームを体感してきた世代としては、それなりに知っている名前や物語が散りばめられていた。シェルビーやケン・マイルズ、マクラーレンなんて名前もなんとなく覚えてる。あとエンツォ、フェラーリ。
耳にした事がある人たちに、このようなドラマがあったことは初めて知った。
登場するマスタングという車も自宅で乗っていたので、そのフォルムが懐かしかった。
そしてなんといってもリー・アイアコッカ。一時期、日本の本屋さんの店頭はこの人の本で平積みにされていたから、その顔はよく覚えている。
「なんだろう、この笑ってる白人のおじさん」と思ったものだ。
それが当時フォードから追放されてクライスラー立て直しを図り、経営の神様と崇められた人であることを程なく知る。
バブル当時の日本では有名な財界人だった。
昨年、訃報が流れた時にも様々な評論家の人たちが彼の成し遂げた功績や、足跡について語っていた。自分の中では背広組の人というイメージだったので、この作品で描かれている若きアイアコッカ氏はかなりインパクトが強かった。
こんなに熱い人だったのか、と。
この作品内では敵に見える人間でも、実は各々がそれぞれの目的意識を完遂させるためにプロの仕事をしている事がきちんと描かれている。
自分の仕事のベストエンディングを見据えて、何が一番大事かを皆が知っている。
皆、オトナである。
だからこそ後腐れがなくノーサイドでエンディングを迎えられるのかもしれない。

パンフにスタッフの皆さんに聞いた「最初に乗った車は何?」というコーナーがあり、楽しく拝読できた。
ちなみに自分が最初に乗った車はスバルのアルシオーネだった。
今でもコンソールの位置とか一緒にドライブした人たちの顔を思い浮かべられる。
車は家族の歴史に密接に結びついている。
だからこそ思い出深いし、懐かしい。

手に汗握るレースシーンが満載のこの作品、劇場で観ることを強くお勧めします。

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