旅[インスタントフィクションその28]

喧騒に包まれたため発射台に佇む一つのロケット。
「3、2、1、テイクオフ」
スピーカーから流れる合図と同時に凄まじい音と光を放ちながらその身を徐々に上昇させていく。
「行くぞ!音を届けに」
船長の一言に私たちはその顔に喜色を浮かべる。
「そうだ。私たちは音を運ぶんだ。」
何もない空間を貫き、目標到達点へとたどり着いた私たちはそのまま内部へと入っていく。ここからは徒歩だ。扉を叩いてきたことを告げ、カタツムリに挨拶をしてさらに奥へ、私たちは音を届けにきたんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?