思考[インスタントフィクションその10]

長い一本の道がある。見えるのはそれだけ。仕方なしに歩いてみる。たった1人でより深く、より遠くへ。
「!?」
突然現れた横道に驚愕が隠せない。こんな道はさっきまでなかった。先に進まなければならないのだが、とてつもなく興味をそそられる横道。先に進みつつも見ているのは横道の先。まっすぐ進んでいるのに見えてくるのは横道の先。私は今どこにいる?どこを歩いている?どうやってここまできた?何もわからない。ただ一つわかることは、横道の先が見えたと言うこと。ではここは横道か?いや違う、私はまっすぐ進んでいた。わからないまま彷徨う。
いつのまにか岐路に戻っている。今度はよそ見せずにまっすぐ進む。大丈夫、ここは一本道。迷うことなどありは…。なぜだ。気づけば真横に伸びる道。とてつもない魅力を持った横道。目を逸らすことは許されない。
私は前に進む。ゆっくりと、着実に。

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