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台湾 立法院で「激烈肢體衝突」!

台湾の国会にあたる立法院で、17日夜、大乱闘が起きました。タイトルのカギカッコ内は台湾メディアがつけた見出しの一つで、日本の漢字にすると「激烈肢体衝突」。激烈な肉弾戦が繰り広げられたというわけです。

かつて台湾立法院ではこの種の乱闘が珍しくなかったのですが、近年はグッと減っていたように思えます。背景や、中国・習近平指導部の目にどう映る可能性があるか、少し掘り下げてみます。


頭から落下して病院送りも

それにしても、確かに激しいバトルでした。
こちら ↓ の「台視新聞網」の記事を開いていただくと、動画もあるのですが、まあすごいです。

タイトルにある「頭著地」は「頭から着地した」という意味です。与党・民進党の沈伯洋(しん・はくよう)議員は、おしくらまんじゅう状態になっていた多数の議員の上を強引に乗り越えて、議長席の机に上がりました。
しかし、すぐさま他議員から引きずり降ろされ、けっこうな高さがある議長席から逆さまに落下。担架に乗せられて病院に直行となりました。

この沈伯洋議員、名門・台北大学の犯罪学研究所准教授から政界に入ったそうなので、おそらく普段は理知的な人物なのだと推測します。それが、頭から議場の床に落ちる…よほど激高していたのでしょう。

結局、民進党5人、国民党1人の計6議員が病院送りとなりました。

劣勢の与党

沈伯洋議員はじめけが人の多くが民進党に所属している、というのがポイントです。
というのも、この日の大乱闘が起きた理由は、先の選挙で第1党の座を奪還した最大野党・国民党が立法院の改革関連法案を強行採決しようとし、それに民進党が激しく抗議したことでした。

第3党となった民衆党も国民党と連携する姿勢をとっているので、民進党は数の力では勝てなくなっています。勢い、腕力に頼らざるを得なくなる…

もちろん乱闘によって議会運営が決まってしまうようでは民主主義の機能不全。ましてや、東アジアにおいて民主主義のお手本と称賛されることが多い台湾にとって、この日の大乱闘が世界に報じられたのは面目ないところでしょう。

ただ、これは韓国の国会にも通じるのですが、国の基本である安全保障政策をめぐって国内に大きな対立があると、議会は荒れがちです。
台湾は中国とどう向き合うか、韓国は北朝鮮とどう向き合うか。

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