解読せよ 「7-278242」
中国と北朝鮮との国境を流れる鴨緑江(おうりょくこう)が氾濫し、両国の人々に被害が出ています。
中国側の丹東は、中朝両国を結ぶ鉄道と道路の橋があり、両国間の人やモノの往来が活発です。かつて北京に駐在していた頃、取材でたびたび訪れました。
中朝ともに被害
こちらは中国国営メディアが撮った写真。かなりの洪水です。
対岸の北朝鮮北西部・新義州(シニジュ)なども洪水に見舞われました。社会インフラが中国より脆弱なだけに、こちらの方が被害は甚大なようです。
北朝鮮の国営メディアは、7月29日、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が現地で指揮をとって孤立状態に陥っていた5000人の住民を救助し、地元の幹部たちを叱責した、と伝えました。
最高指導者が被災地に入って陣頭指揮にあたるのは悪いことではありません。「その指導者をアテンドするのに人手が割かれる」という側面があるのも確かですが、国家が被災者のことを真剣に考えているというメッセージを発信するのは不可欠です。能登半島地震や7月に山形・秋田両県を襲った大雨の被害などをみていると、日本政府はそうした姿勢が足りないと言わざるを得ません。
鴨緑江に近い中朝両国の住民たちの被害が拡大しないことを願いつつ、この記事では大手メディアとは全く違うポイントに注目します。
それは、金総書記が乗った車のナンバープレートです。
「7-278242」が意味するのは何か
北朝鮮国営メディアが配信した写真の中に、この一枚がありました。
タイヤが水面の下に隠れてしまうほど水が溢れた道を進む金総書記の乗用車。種類はレクサスLX600だということです。
ちなみに、トヨタ自動車のレクサスは国連安全保障理事会の制裁によって北朝鮮に輸出することが禁じられています(「ぜいたく品」に該当するため)。しかし、監視の目をかいくぐって多数が北朝鮮に渡っています。レクサスだけでなく、ベンツなども。
本題は、この一枚に写ったナンバープレート「7-278242」。
彼が乗る車に、ランダムに割り当てられた番号がつけられることはありません。必ず意味のある数字です。
では、読み解いていきましょう。ここからは宮塚コリア研究所の新井田実志専門研究員による考察がベースです。
まずは「7-27」。これは日付です。朝鮮戦争の休戦協定が調印された1953年の7月27日。北朝鮮では、この日は「戦勝記念日」だと主張しているのです。
え?断定できるの?という声が聞こえてくるようですので、こちらの写真も紹介しましょう。
この車は、6月に訪朝したロシアのプーチン大統領が金正恩氏にプレゼントしたロシアの高級車・アウルス。ナンバープレートにご注目。「7-271953」。1953年7月27日そのものです。
プーチン訪朝については、以前、何本か記事を書きましたので、ご参考になれば。
問題は「8242」
というわけで、前半の「7-27」は解読できました。さて、後半の「8242」はどうでしょう。再び新井田さんの分析です。
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