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続・不適切にもほどがある

ここしばらく韓国総選挙の取材や発信に追われて、この話を早く書かねばと思いつつ、ちょっと遅くなりました。
以前お伝えした、再生エネルギーに関する内閣府の会議で「自然エネルギー財団」が提出した資料に中国の電力会社「国家電網公司」の企業名やロゴがうっすらと表示されていたという一件です。

騒ぎは早期に終息すると思って、このときはタイトルや内容でやや軽めの描写を多投したのですが…

甘かったです。というか、ネット社会の陰湿さや無責任さへの理解が足りませんでした。本当に残念なことに、騒ぎは酷くなり、文字通り不適切にもほどがある事態になっていました。


エスカレートした誹謗中傷

「自然エネルギー財団」は4月8日にリリースを出しました。そのリンクです。

お時間があれば全体に目を通していただきたいのですが、私が暗澹たる気持ちになったのは、以下の部分。

主にSNS上で、中国政府・中国国家電網との関係について、当財団に対する根拠のない誹謗中傷、役員・職員に対する個人攻撃が行われています。特に大林事業局長に対しては、全く事実に基づかない中傷が繰り返され、脅迫まがいのメッセージが送りつけられるに至っています

https://www.renewable-ei.org/activities/information/20240408.php

全く事実に基づかない中傷が繰り返され、脅迫まがいのメッセージ…

この手の話を伝えるとき、難しい問いに直面します。そうした中傷や脅迫じみた発信の「現物」を紹介すべきか、どうか。
話の根拠をクリアにするためには、紹介したほうがいいのでしょうが、そうすると不適切にもほどがある主張を拡散させかねません。
ジレンマです。

今回は、中傷のさらなる拡散になりかねない懸念に重きを置いて「現物」はここでは入れません。「自然エネルギー財団」によれば、最も被害に遭っている大林ミカ事務局長に関しては名前が「ミカ」さんであることをとらえて「国籍不明だ」「日本人ではないのでは」といったガセネタがネットで拡散しているとのこと。
どういう人たちが騒いでいるのか想像がつきます。

こうした低レベルの誣言(ぶげん)、政府は無視して単なる資料作成上のミスだったで終わらせればいいはず。
ですが、経産省などは「特定企業の強い影響を受けているとの懸念が払拭されるまでの間、財団から意見聴取を控える」という措置をとりました。

こうしたネットのバカ騒ぎに政府まで引きずられる事態に、大林事務局長は政府に戸籍を提出することまでして、フェイク情報の払しょくに労力を割いている状態です。

誘発した政治家の責任

この騒動についての前回の記事でもお伝えしましたが、責任の一端は陰謀論めいた根拠なき主張を発信した政治家たちにあります。
とくに国民民主党の玉木代表は公党の代表でありながら「これは言い逃れできない」といった投稿をして大林事務局長に対する誹謗を誘発したといえるでしょう。

玉木代表こそネットでの陰謀論拡大や個人に対するバッシングを煽った責任について「言い逃れできない」と思うのですが、こうした普通でない主張を連発した背景には、政治的な計算が透けて見えます。

それは、騒ぎの舞台となった内閣府の会議(再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース)を所管する閣僚が河野太郎氏であることです。

大林氏をタスクフォースの委員に就任したのも河野氏による推薦があったことが分かり、このロゴをめぐる騒ぎは政界で「河野叩き」の格好の材料となったわけです。

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